病院・診療所
身体的拘束最小化について運用の留意点
請求業務のポイント解説
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
身体的拘束は、人権の問題だけではなく、高齢者の寝たきりにつながり、QOLを損なう危険性があります。2024年診療報酬改定では、入院料の通則に、身体的拘束最小化と意思決定支援が追加され、7原則となりました。
本稿では、本年6月から減算が実施され、医療機関からの質問が増えている 「身体的拘束最小化」 について、運用の留意点をお伝えいたします。
本稿では、本年6月から減算が実施され、医療機関からの質問が増えている 「身体的拘束最小化」 について、運用の留意点をお伝えいたします。
●Point:施設基準を満たしていない医療機関が減算
それぞれの入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料の所定点数から、1日につき40点の減算になります。減算の対象は、拘束を実施した患者ではなく、入院している全患者です。
施設基準通知のいずれか1つでも満たさない状況になった場合は、体制が整備されていないという判断になります。
施設基準通知のいずれか1つでも満たさない状況になった場合は、体制が整備されていないという判断になります。
身体的拘束最小化の基準 施設基準通知
(1) 当該保険医療機関において、患者又は他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならない。
(2) (1)の身体的拘束を行う場合には、その態様及び時間、その際の患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
(3) 身体的拘束とは、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。
(4) 当該保険医療機関において、身体的拘束最小化対策に係る専任の医師及び専任の看護職員から構成される身体的拘束最小化チームが設置されていること。なお、必要に応じて、薬剤師等、入院医療に携わる多職種が参加していることが望ましい。
(5) 身体的拘束最小化チームでは、以下の業務を実施する。
ア 身体的拘束の実施状況を把握し、管理者を含む職員に定期的に周知徹底する。
イ 身体的拘束を最小化するための指針を作成し、職員に周知し活用する。なお、アを踏まえ、定期的に当該指針の見直しを行う。また、当該指針には、鎮静を目的とした薬物の適正使用や(3) に規定する身体的拘束以外の患者の行動を制限する行為の最小化に係る内容を盛り込むことが望ましい。
ウ 入院患者に係わる職員を対象として、身体的拘束の最小化に関する研修を定期的に行う。
(2) (1)の身体的拘束を行う場合には、その態様及び時間、その際の患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
(3) 身体的拘束とは、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。
(4) 当該保険医療機関において、身体的拘束最小化対策に係る専任の医師及び専任の看護職員から構成される身体的拘束最小化チームが設置されていること。なお、必要に応じて、薬剤師等、入院医療に携わる多職種が参加していることが望ましい。
(5) 身体的拘束最小化チームでは、以下の業務を実施する。
ア 身体的拘束の実施状況を把握し、管理者を含む職員に定期的に周知徹底する。
イ 身体的拘束を最小化するための指針を作成し、職員に周知し活用する。なお、アを踏まえ、定期的に当該指針の見直しを行う。また、当該指針には、鎮静を目的とした薬物の適正使用や(3) に規定する身体的拘束以外の患者の行動を制限する行為の最小化に係る内容を盛り込むことが望ましい。
ウ 入院患者に係わる職員を対象として、身体的拘束の最小化に関する研修を定期的に行う。
●Point:身体的拘束に該当する用具等の基準
【離床センサー、赤外線センサー】
患者が動いた際にブザー音がなり、行動を制限する製品であれば身体的拘束に該当します。感知した動きをナースステーションに伝達するための製品であれば身体的拘束に該当しません。
【四点柵】
患者の行動・運動を制限するため、身体的拘束に該当します。
【ロック付きオーバーテーブル】
四点柵のように、患者の動作を制限している状態のものであれば身体的拘束に該当します。
●Point:日々の記録と実施判断に留意
①身体的拘束を実施した場合は、日々の患者の状態、身体的拘束が必要と判断した根拠、必要な時間、拘束の方法、身体的拘束の開始・中止等の記録が必要です。
適時調査の「当日準備資料」に含まれる「身体的拘束に関する態様及び時間等が確認できる書類(直近1か月分)」で確認されます。
②身体的拘束の可否の確認結果は、日々記録に残す必要があります。
※身体的拘束の実施(開始、解除等)については、従事者個々の判断ではなく、院内の規定・指針に基づき、医師および看護師等の複数職種による判断が必要となります。また、夜間・休日等の主治 医不在の場合は、院内で勤務している当番医等の医師の判断を仰ぎ、身体的拘束開始もしくは中止 の指示を受ける必要があります。
適時調査の「当日準備資料」に含まれる「身体的拘束に関する態様及び時間等が確認できる書類(直近1か月分)」で確認されます。
②身体的拘束の可否の確認結果は、日々記録に残す必要があります。
※身体的拘束の実施(開始、解除等)については、従事者個々の判断ではなく、院内の規定・指針に基づき、医師および看護師等の複数職種による判断が必要となります。また、夜間・休日等の主治 医不在の場合は、院内で勤務している当番医等の医師の判断を仰ぎ、身体的拘束開始もしくは中止 の指示を受ける必要があります。
●Point:開始時に再度説明して同意を得る
入院時に事前に医師から説明を受け、家族の同意を得ている場合であっても、基本的には、身体的拘 束開始の判断を医師がした時点で、改めて説明、同意を得ることが適切です。
Q:休日に身体的拘束を開始した場合、家族への同意取得は翌日でよいでしょうか。
A: 説明と同意は、休日に関係なく、身体的拘束開始と判断された際に必要です。同意書の取得が難しい場合は、家族等に電話等で確認し同意を得て、その旨をカルテに記載します。後日家族等に同意書を記載いただいて下さい。
【参考】
認知症ケア加算
通知(4)身体的拘束について (一部抜粋)ウ 身体的拘束を実施するに当たっては、以下の対 応を行うこと。
(イ) 実施の必要性等のアセスメント
(ロ) 患者家族への説明と同意
【参考資料】
厚生労働省「身体的拘束ゼロの手引き」
【2025年7月15日号 Vol.6 メディカル・マネジメント】
Q:休日に身体的拘束を開始した場合、家族への同意取得は翌日でよいでしょうか。
A: 説明と同意は、休日に関係なく、身体的拘束開始と判断された際に必要です。同意書の取得が難しい場合は、家族等に電話等で確認し同意を得て、その旨をカルテに記載します。後日家族等に同意書を記載いただいて下さい。
【参考】
認知症ケア加算
通知(4)身体的拘束について (一部抜粋)ウ 身体的拘束を実施するに当たっては、以下の対 応を行うこと。
(イ) 実施の必要性等のアセスメント
(ロ) 患者家族への説明と同意
【参考資料】
厚生労働省「身体的拘束ゼロの手引き」
【2025年7月15日号 Vol.6 メディカル・マネジメント】
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