保険薬局
2025年問題、薬局・薬剤師に求められる役割とは
次世代薬局のポイント・オブ・ビュー
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行
長年にわたり指摘されてきた 「2025年問題」 。いよいよその年を迎え、社会の変化を実感せずにはいられません。
2025年問題とは、戦後の高度経済成長を支えた団塊世代(約800万人)が後期高齢者(75歳以上)となり、国民の5人に1人が後期高齢者となる超高齢社会を指します。これに伴い、社会保障費の増加や労働力不足など、社会全体に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
このような環境の変化の中で、薬局の役割や薬剤師のあり方も、従来の枠を超えて進化していく必要があります。今回は、2025年問題によって生じる課題を振り返るとともに、これからの薬局・薬剤師が果たすべき役割について考察します。
2025年問題とは、戦後の高度経済成長を支えた団塊世代(約800万人)が後期高齢者(75歳以上)となり、国民の5人に1人が後期高齢者となる超高齢社会を指します。これに伴い、社会保障費の増加や労働力不足など、社会全体に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
このような環境の変化の中で、薬局の役割や薬剤師のあり方も、従来の枠を超えて進化していく必要があります。今回は、2025年問題によって生じる課題を振り返るとともに、これからの薬局・薬剤師が果たすべき役割について考察します。
■2025年問題によって生じる課題
・社会保障費の増加
団塊世代が後期高齢者となることで、医療や介護の需要がさらに高まり、それに伴い社会保障費の増大が避けられない状況となっています。一方で、労働力人口の減少による税収の減少が進み、社会保障費の確保が大きな課題となっています。
このような状況の中で、国民皆保険制度をどのように維持するのか、また診療報酬制度のあり方をどのように整理していくのかは、今後の医療・介護制度を支える上で極めて重要な論点となります。
このような状況の中で、国民皆保険制度をどのように維持するのか、また診療報酬制度のあり方をどのように整理していくのかは、今後の医療・介護制度を支える上で極めて重要な論点となります。
・医療・介護人材の確保
医療・介護の需要が高まる一方で、人材不足が深刻化し始めています。私自身もその影響を実感しており、採用が年々難しくなっている状況です。特に地方では、必要な人材の確保が一層厳しくなっています。
また、介護をしながら働く従業員の増加により、短時間勤務を希望する人が増えている現状もあります。さらに、医療・介護従事者の高齢化も進んでおり、定年後も引き続き活躍される方が多く見受けられます。今後いかにして医療・介護人材を確保し、持続可能な雇用環境を整えるかが大きな課題となるでしょう。
また、介護をしながら働く従業員の増加により、短時間勤務を希望する人が増えている現状もあります。さらに、医療・介護従事者の高齢化も進んでおり、定年後も引き続き活躍される方が多く見受けられます。今後いかにして医療・介護人材を確保し、持続可能な雇用環境を整えるかが大きな課題となるでしょう。
・後継者不足による廃業
開業医や薬局において、後継者不足による廃業が増加していることを実感しています。同時に、M&Aを活用した承継支援も進んでおり、案件の紹介数も増加傾向にあります。しかし、開業医側に後継者がいない場合、薬局の承継にもリスクが伴い、やむを得ず断念せざるを得ないケースも少なくありません。
特に地方では、医療・介護の需要が高いにもかかわらず、医療機関の数が限られており、 「医療過疎」 地域が存在します。こうした地域で後継者不足による廃業が進めば、地域住民の生活に大きな影響を及ぼすことになります。
特に地方では、医療・介護の需要が高いにもかかわらず、医療機関の数が限られており、 「医療過疎」 地域が存在します。こうした地域で後継者不足による廃業が進めば、地域住民の生活に大きな影響を及ぼすことになります。
■薬局・薬剤師が果たすべき役割
2025年問題によって、超高齢社会の進展とともに、医療・介護の需要が増大し、社会構造が大きく変化します。その中で、地域に密着した薬局・薬剤師の役割はますます重要になります。ここでは、特に求められる3つの役割について解説します。
・地域包括ケアシステムの一翼を担う
2025年問題に対応するためには、住み慣れた地域で医療・介護・生活支援が一体的に提供される 「地域包括ケアシステム」 の構築が不可欠です。このシステムの中で、薬局・薬剤師には、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師としての機能強化が求められます。地域の中で、在宅医療のサポート、医療機関及び介護事業所との連携も求められてきます。チーム医療の一員として地域の健康を支える必要があります。
・健康サポート機能の強化
未病・予防医療に対する取り組み、薬局が地域の健康拠点となることも期待されます。薬剤師が生活習慣病予防や介護予防の相談に応じることで医療機関にかかる前の健康管理を支援することができます。OTC医薬品の適正使用をサポートし、セルフメディケーションの促進を行うことも重要です。軽度な不調は医療機関を受診せずに対処できるよう助言することで、医療費の適正化にも貢献します。
・地域における医療アクセスの維持
後継者不足による医療機関の廃業や、人口減少による医療アクセスの低下が進む中で、薬局が果たすべき役割は大きくなります。医療過疎地域において、薬局が数少ない医療提供拠点となるケースもあります。そのような地域では、薬剤師が地域住民の健康相談や医薬品供給の中心的な役割を担う必要があります。遠隔地の患者に対して、オンライン服薬指導を積極的に活用することで、地域医療を支えるケースも増えていくでしょう。
今回は、2025年問題によって生じる課題を振り返るとともに、これからの薬局・薬剤師が果たすべき役割について考察しました。今後、さまざまな課題はありますが、地域に密着した薬局・薬剤師の役割はますます重要になっていきます。単に薬を渡す場から地域の健康を支える拠点へと、地域住民の健康を支える存在として役割を担っていきましょう。
【2025.3月号 Vol.346 保険薬局情報ダイジェスト】
今回は、2025年問題によって生じる課題を振り返るとともに、これからの薬局・薬剤師が果たすべき役割について考察しました。今後、さまざまな課題はありますが、地域に密着した薬局・薬剤師の役割はますます重要になっていきます。単に薬を渡す場から地域の健康を支える拠点へと、地域住民の健康を支える存在として役割を担っていきましょう。
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