病院・診療所
学ばない職場に成長はない -“学習する文化”を根付かせるポイント-
クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦
【相談内容】
大阪府内の内科クリニック開業10年目の院長からのご相談です。
「受付スタッフが業務はこなしてくれているのですが、新しい知識やスキルの習得にはあまり関心がないようで業務がマンネリ化しています。医療制度や保険請求の改定が頻繁にあるなか、今後も患者さんに喜ばれる対応と、クリニックの経営に役立つ質の高い医療事務業務を行えるよう、個々のスキル向上させるために当院に学習する文化を作りたいと考えています。これまでにもいろいろな取り組みをしましたが、なかなか学習する文化は醸成できません。どうすれば“学習する文化” を根づかせることができるでしょうか?」
「受付スタッフが業務はこなしてくれているのですが、新しい知識やスキルの習得にはあまり関心がないようで業務がマンネリ化しています。医療制度や保険請求の改定が頻繁にあるなか、今後も患者さんに喜ばれる対応と、クリニックの経営に役立つ質の高い医療事務業務を行えるよう、個々のスキル向上させるために当院に学習する文化を作りたいと考えています。これまでにもいろいろな取り組みをしましたが、なかなか学習する文化は醸成できません。どうすれば“学習する文化” を根づかせることができるでしょうか?」
【回 答】
1) 「学ぶ人」 ではなく 「学び続ける人」 を育てるには
日々の業務を回すだけで精一杯。医療現場では、そんな言葉をスタッフから耳にすることも少なくありません。特に受付事務スタッフは患者対応、電話対応、会計業務など日々の業務に追われ、学ぶ時間の確保は難しいのが実情です。
しかし、どんな仕事も “学ばない職場” に未来はありません。
少子高齢化が進み、医療制度も変化を続けるなかで、受付業務の質がクリニックの印象を大きく左右する時代になりました。患者対応の丁寧さはもちろん、保険制度や診療報酬への理解、電子カルテやITやAIへの対応力など、 「学び続ける姿勢」 が患者満足度と収益に直結するのです。
では、どうすればスタッフに 「学び続ける」 習慣を根づかせられるのでしょうか?
しかし、どんな仕事も “学ばない職場” に未来はありません。
少子高齢化が進み、医療制度も変化を続けるなかで、受付業務の質がクリニックの印象を大きく左右する時代になりました。患者対応の丁寧さはもちろん、保険制度や診療報酬への理解、電子カルテやITやAIへの対応力など、 「学び続ける姿勢」 が患者満足度と収益に直結するのです。
では、どうすればスタッフに 「学び続ける」 習慣を根づかせられるのでしょうか?
2)クリニックに「創造の30運動」を! ~学習の習慣化を実現する 「小さな仕組み」 5選~
創造の30運動とは、仕事、業務の生産性を向上するための時間管理ノウハウが満載の名著 『知的生産性向上システム-DIPS』 (1992年、ダイヤモンド社)で紹介されたノウハウの一つです。具体的には、毎日30分をスキル向上のために確保し、1カ月ごとの達成可能な目標を設定して習慣化する仕組みです。人は長期的成果が見えないと努力を継続しづらいため、目標は短期で区切ることが重要です。この考え方を医療現場向けにアレンジすると、次のような学習環境の整備が見えてきます。
① 朝礼での「1分間ミニ講義」
毎日の朝礼で、持ち回りで 「最近気づいたこと」 「知ったこと」 を1分間でシェアしてもらう制度を導入します。
→ 学びの共有が“話す習慣” になり、スタッフ同士 の知識交換にもつながります。
② 月1回 「ワンポイント勉強会」
レセプト点検の注意点、マイナ保険証の確認方法など、現場に直結するテーマで週1回15分だけ勉強会を行います。
→ 院長やベテランスタッフの知識を “言語化” して 共有することがポイントです。
③ 業務の 「気づきノート」 設置
受付カウンターの裏など、誰でも記入できる 「気づきノート」 を用意。
「この操作、もっと簡単にならないか」 「患者さんが混乱していた場面」 などを自由に書き留めてもらいます。
→ 小さな気づきを見える化することで、改善意識が高まります。
④ 月末 「振り返りミーティング」
月末に30分程度、業務の中で 「できたこと」 「学べたこと」 「改善したいこと」 を共有します。
→ 振り返りを仕組みにすると、自分の成長を実感しやすくなります。
⑤ 「 ミニ目標シート」 制度の導入
各自が1カ月ごとに 「○○を覚える」 「△△の操作を習得する」 といったミニ目標を設定し、月末にチェックします。
→ 目標管理を習慣化することで、学習に目的意識が 生まれます。
① 朝礼での「1分間ミニ講義」
毎日の朝礼で、持ち回りで 「最近気づいたこと」 「知ったこと」 を1分間でシェアしてもらう制度を導入します。
→ 学びの共有が“話す習慣” になり、スタッフ同士 の知識交換にもつながります。
② 月1回 「ワンポイント勉強会」
レセプト点検の注意点、マイナ保険証の確認方法など、現場に直結するテーマで週1回15分だけ勉強会を行います。
→ 院長やベテランスタッフの知識を “言語化” して 共有することがポイントです。
③ 業務の 「気づきノート」 設置
受付カウンターの裏など、誰でも記入できる 「気づきノート」 を用意。
「この操作、もっと簡単にならないか」 「患者さんが混乱していた場面」 などを自由に書き留めてもらいます。
→ 小さな気づきを見える化することで、改善意識が高まります。
④ 月末 「振り返りミーティング」
月末に30分程度、業務の中で 「できたこと」 「学べたこと」 「改善したいこと」 を共有します。
→ 振り返りを仕組みにすると、自分の成長を実感しやすくなります。
⑤ 「 ミニ目標シート」 制度の導入
各自が1カ月ごとに 「○○を覚える」 「△△の操作を習得する」 といったミニ目標を設定し、月末にチェックします。
→ 目標管理を習慣化することで、学習に目的意識が 生まれます。
3)院長・院長夫人が 「教える」 ではなく 「応援する」 姿勢を
スタッフに学んでもらいたいと願うあまり、どうしても 「教える」 「監督する」 スタンスになりがちです。
しかし、学習の習慣化は “上からの押し付け” ではうまくいきません。
スタッフ自身が 「このクリニックにいると成長できる」 「自分の役割に誇りを持てる」 と思えるような雰囲気づくりが何よりも大切です。
例えば、スタッフが提案した改善策をすぐに実行して 「ありがとう、助かったよ」 と一言添えるだけで、本人の学習意欲は大きく変わります。
しかし、学習の習慣化は “上からの押し付け” ではうまくいきません。
スタッフ自身が 「このクリニックにいると成長できる」 「自分の役割に誇りを持てる」 と思えるような雰囲気づくりが何よりも大切です。
例えば、スタッフが提案した改善策をすぐに実行して 「ありがとう、助かったよ」 と一言添えるだけで、本人の学習意欲は大きく変わります。
4) 「学習する文化」 は一日にして成らず
学びの文化を定着させるには、 “強制ではなく、自然と学びたくなる雰囲気” の醸成がポイントです。DIPSの 「創造の30運動」 はそのためのヒントを数多く含んでいます。
一つひとつは地味で小さな取り組みですが、1日30分の行動が習慣化されれば、スタッフの知的生産性は確実に高まり、組織全体が前向きな 「成長の連鎖」 を生み出します。
一つひとつは地味で小さな取り組みですが、1日30分の行動が習慣化されれば、スタッフの知的生産性は確実に高まり、組織全体が前向きな 「成長の連鎖」 を生み出します。
最後に ―院長の一言が文化をつくる―
「今日もありがとう。受付の対応を患者さんが喜んでたよ」
このような日々のねぎらいの言葉が、学ぶ気持ちを支えます。受付スタッフが学びを重ねる姿勢は、患者の信頼とクリニックの未来を支える礎となります。学習するスタッフを育てるのは、仕組みであり、雰囲気であり、そして経営者の姿勢です。
【2025年7月1日号 Vol.5 メディカル・マネジメント】
このような日々のねぎらいの言葉が、学ぶ気持ちを支えます。受付スタッフが学びを重ねる姿勢は、患者の信頼とクリニックの未来を支える礎となります。学習するスタッフを育てるのは、仕組みであり、雰囲気であり、そして経営者の姿勢です。
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