組織・人材育成
院内勉強会に参加したスタッフに給与を払わなければならないのか?
クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦【相談内容】
関西の整形外科クリニック(開業5年目)の院長からのご相談です。当院では、業務終了後にスタッフが自主的に集まって勉強会を行うことがあります。今回、勉強会への参加を管理職が強く呼びかけたところ、一部のスタッフから「参加が強制されるのであれば時間外手当を支払ってほしい」という声が挙がりました。自主的な勉強会に対して、賃金(時間外手当)の支払いは必要でしょうか?
【回 答】
1. 実質的に参加が強制されているか否かがポイント
勉強会に参加しないことで不利益な取り扱いがあるなど、実質的に参加が強制される場合、その時間は基本的に労働時間と扱われ、賃金(時間外手当)の支払いが必要です。そのため、労働時間として扱わないのであれば、自由参加であることや不参加の場合でも不利益がないことを明確にしておく必要があります。
医療や介護の現場では、患者等へのサービス向上に向けた取り組みや新しい機器等の導入に向けて、通常の業務終了後にスタッフが集まって自主的な研修や勉強会を行うことが少なくありません。ところが、そうした研修や勉強会の時間が労働時間に当たるのではないかというトラブルになるケースは多いです。
労働時間については、労働基準法上では明確な定義がされていませんが、最高裁判例(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁一小・平12. 3. 9 判決)において、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を労働時間とする」と示されています。つまり、今回のご質問における研修や勉強会の時間が「使用者の指揮命令下に置かれている時間」に該当する場合には、その時間は労働時間となります。
医療や介護の現場では、患者等へのサービス向上に向けた取り組みや新しい機器等の導入に向けて、通常の業務終了後にスタッフが集まって自主的な研修や勉強会を行うことが少なくありません。ところが、そうした研修や勉強会の時間が労働時間に当たるのではないかというトラブルになるケースは多いです。
労働時間については、労働基準法上では明確な定義がされていませんが、最高裁判例(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁一小・平12. 3. 9 判決)において、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を労働時間とする」と示されています。つまり、今回のご質問における研修や勉強会の時間が「使用者の指揮命令下に置かれている時間」に該当する場合には、その時間は労働時間となります。
2.実務的な判断は?
実務的な判断においては、「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない(昭26.1.20 基収第2875 号)」という行政通達が発出されており、参考になります。
また厚生労働省は、平成29年1月20日付で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は労働時間であると示しています。その上で、「休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならない」と、実態に即して労働時間の判断を行うことを求めています。
以上から今回のケースについては、管理職から強く参加を求められた状況から考察すると、労働時間として扱うことが妥当と考えられます。今後も自主性を重んじた研修や勉強会を実施するのであれば、自由参加を明確化すると同時に、管理職による干渉は最小限に止めておくことが望まれます。
また厚生労働省は、平成29年1月20日付で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は労働時間であると示しています。その上で、「休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならない」と、実態に即して労働時間の判断を行うことを求めています。
以上から今回のケースについては、管理職から強く参加を求められた状況から考察すると、労働時間として扱うことが妥当と考えられます。今後も自主性を重んじた研修や勉強会を実施するのであれば、自由参加を明確化すると同時に、管理職による干渉は最小限に止めておくことが望まれます。
3. 今一度、自院の働き方と賃金規程をご確認ください!
下記事項に該当しないかぜひチェックして頂きたいと思います。
- 所定労働時間外に会議や朝礼、掃除、業務の準備などをさせていませんか?
- それらをさせている場合、時間外労働として扱っていますか?
- そもそも、それらの仕事は本当に所定労働時間外にする必要がありますか?
働き方改革法案など、今後の働き方について見直す機会が増えてきていると思います。
上記事項をご確認いただきチェックがついた場合、専門家と相談し、今後の対策をご検討いただきたいと思います。
【2023. 5. 1 Vol.567 医業情報ダイジェスト】
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