病院・診療所
マイナ保険証の利用率で点数を上げるべき?(後半)
利用に積極的な施設ほど患者に経済的なメリットを
株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺 優
■ 加算要件にマイナ保険証の利用率を加えれば、マイナ保険証の利用促進になるのか
前回はマイナ保険証、電子処方箋などの医療DX推進体制を評価する 「医療DX推進体制整備加算」 について病院・診療所別、都道府県別の届け出状況を見た。今回は、10月から医療DX推進体制整備加算がマイナ保険証の利用率により段階化されることに対する患者の行動心理について考える。
まずマイナ保険証の利用促進策として、利用率の実績を求める意図は理解できる。しかし、それで利用が進むのかは大きな疑問を感じる。患者視点では、今まで紙の保険証を出すだけで済んでいたものが、マイナ保険証で認証を求められ手間取るケースが後を絶たない。さらに追い打ちをかけ、10月からは利用率が高い医療機関ほど、必ずしも利便性が高いなどのメリットがあるわけではないのに患者負担額が高くなる。医療機関の視点も同様に、マイナ保険証を使う患者ほどトラブルも多く、手間がかかる(慣れてくれば、負担は減るはずだが)。つまり、患者・医療機関双方がメリットを感じず、むしろ患者の金銭的負担が増えるデメリットを設けてしまうのは非常に疑問である。
まずマイナ保険証の利用促進策として、利用率の実績を求める意図は理解できる。しかし、それで利用が進むのかは大きな疑問を感じる。患者視点では、今まで紙の保険証を出すだけで済んでいたものが、マイナ保険証で認証を求められ手間取るケースが後を絶たない。さらに追い打ちをかけ、10月からは利用率が高い医療機関ほど、必ずしも利便性が高いなどのメリットがあるわけではないのに患者負担額が高くなる。医療機関の視点も同様に、マイナ保険証を使う患者ほどトラブルも多く、手間がかかる(慣れてくれば、負担は減るはずだが)。つまり、患者・医療機関双方がメリットを感じず、むしろ患者の金銭的負担が増えるデメリットを設けてしまうのは非常に疑問である。
■ マイナ保険証の利用に積極的な施設ほど患者に経済的なメリットを
最後に、現実的なマイナ保険証の利用率の要件クリアを考える。現状、マイナ保険証の利用率は沖縄の4.49%から富山の16.07%まで、地域により大きな開きがある=グラフ1=。マイナ保険証の利用率と後発医薬品の使用割合の関係性を見ると、沖縄を除くと、弱いながらも関係性が見えてくる。積極的に後発医薬品を使うような地域はマイナ保険証にも積極的と考えると、マイナ保険証を使った方が患者に経済的メリットがある状態にする方が好ましいと考える。
後発医薬品の使用割合から読み解く患者の行動心理に基づけば、マイナ保険証を利用した方が経済的な負担軽減になる取り組みをすべきである。
それにも関わらず、医療機関に実績要件を課し、患者に負担増となる加算を設定することは、患者の行動心理に完全に逆行している。
後発医薬品の使用割合から読み解く患者の行動心理に基づけば、マイナ保険証を利用した方が経済的な負担軽減になる取り組みをすべきである。
それにも関わらず、医療機関に実績要件を課し、患者に負担増となる加算を設定することは、患者の行動心理に完全に逆行している。
負担のかかる妊婦に対する診療報酬が 「少子化の時代に妊婦だけ医療費を高くするのか」 と批判を受け、即廃止に追い込まれた妊婦加算や、敷地内薬局や門前薬局など病院に近いほど安くなる傾向のある調剤基本料など、医療機関に対する適正な評価と患者の行動心理がうまく噛み合わないケースがある。グラフ1から見えてくるのは、この医療DX推進体制整備加算もその悪い例になる可能性が高いのではないかという懸念である。
逆にマイナ保険証の利用率に応じて、加算を引き下げるとする。これでは医療機関に何のメリットもないため、利用実績に応じた一時金を大幅に引き上げるべきである。ただし、一時金の引き上げに対し、積極的に利用しているところよりも、利用していないところを支援する方が底上げにつながるといった意見があることも事実である。一筋縄ではいかない難しさを感じるが、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証の利用率による段階化は反対である。
グラフ1 都道府県別 後発医薬品使用割合とマイナ保険証の利用率(2024年6月)の関係

中央社会医療協議会 総会(2024年7月3日開催)資料、厚生労働省 調剤医療費(電算処理分)の動向(2023年度2月)を基に作成
【22024. 9. 15 Vol.600 医業情報ダイジェスト】
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