保険薬局

薬局の地域貢献って何だろう?

社会的責任の一環として公共の利益のために
開局薬剤師 岡村 俊子
地域貢献とは、事業者が規模や地域特性等に応じ、社会的責任の一環として公共の利益のために、自主的・主体的に取り組むべきものである。提供するものは「資金」「物資」「施設」「人材」等がある。

具体的な例としては、下記のようなものが考えられる。

  • 共感する活動への寄付
  • 地域行事への参加
  • 地域内で行うリサイクルへの協力
  • 公園などの清掃活動
  • 地域ボランティアへの参加
  • 災害時・イベント開催時に施設開放

【薬局が行う地域貢献活動とは?】

薬剤師の知識と技術を生かすことにより、第一次予防や、疾患を持ったまま社会復帰やQOLを向上するための第三次予防までも含めた予防医療の分野にも貢献する。高齢社会の包括的医療の一端を担う。地域医療貢献型かかりつけ薬局を目標とする。

具体的な活動としては・・・

教育・啓発・情報共有
  •  学校薬剤師として児童・園児・学生が過ごす施設の環境衛生を守る
  •  一般市民・児童・学生への薬物乱用防止講座
  •  薬学生の教育(後進の指導)
  •  お薬出前講座に人材派遣
  •  薬薬連携( 病院薬剤師・薬局間薬剤師との情報共有)
  •  医療・介護従事者への医療情報提供
  •  治験のエビデンス維持

各薬局でできる活動
  •  夜間・休日の調剤対応
  •  健康啓発活動(対面・SNS・デジタルサイネージ等)
  •  子どもの誤飲事故予防
  •  スポーツファーマシストによるアンチドーピング活動
  •  献血サポート薬局として、献血啓発・献血できなかった方へのアドバイス
  •  お薬・健康相談会を開催
  •  新型コロナウイルス抗原検査キット販売
  •  新型コロナウイルス治療薬調剤および配送
  •  医療的ケア児の調剤・配達・在宅訪問
  •  ターミナルケアへの貢献
  •  認知症・がん等のケアカフェ開催
  •  オンライン診療における緊急避妊薬対応
  •  使用済のインスリン注射針回収
  •  ポリファーマシー対策
  •  セルフメディケーションの普及
  •  生活習慣病の予防・減少により医療費削減
  •  オンライン資格確認制度の普及

行政・自治体への協力
  •  警察や自治会と協力した『こども110番』活動
  •  警察へ爆発物原料購入者の情報提供
  •  災害対策(備蓄・人材派遣・物資提供・AED訓練等)
  •  夜間・休日診療所への協力
  •  認知症サポーター養成
  •  行政主催の健康イベントへの参加 Etc.

もっと他にも地域貢献の方法はあると思うが、ざっと挙げただけでもこれだけあり、薬局薬剤師が地域に貢献できる守備範囲は広い。過去に、かかりつけ薬剤師届出の算定条件として「医療に関わる地域活動に参加していること」という項目が提示されたときに、地域薬剤師会が参加する健康イベントに応募者が殺到し、選考基準に頭を悩ませたこともあった。今はそれぞれの薬局で独自の地域活動の方法を見出していると思うが、地域貢献とは継続的に汗を流し、知恵を絞り、奉仕することではないだろうか。ローマへの道は一日にしてならず。薬局の地域貢献もしかり。「私は地域貢献しています」ではなく、「あの薬局は、あの薬剤師は地域に貢献してくれている」と住民からの評価を受けてこその地域貢献だと思うのだが、いかがだろうか。


【2023.5月号 Vol.324 保険薬局情報ダイジェスト】