保険薬局

【続き】医療DXに係る薬局での取り組みについて

マイナ保険証の利活用は医療提供サービスの質の向上に貢献
たんぽぽ薬局株式会社 薬剤師 緒方孝行
医薬品の販売制度の検討会などでも取り上げられていたが、現在一般用医薬品のオーバードーズが社会問題とされており、早急な対応が必要である。特に若年層において強く問題視されており、日本において精神科医療施設で薬物依存症の治療を受ける10代の主たる原因薬物は、一般用医薬品が56.4%を占める(2020年の調査結果)。2014年においては危険ドラッグが48.0%を占めていたことから、主たる原因薬物が覚醒剤や大麻、危険ドラッグから一般用医薬品へと移行していることがわかる。このことからも行政として濫用等のおそれのある一般用医薬品のトレーサビリティを重要視しており、その打開策の1つとしてマイナンバーカードの利活用を検討している。オーバードーズ問題に対しては、薬剤師や登録販売者の関与を促すと同時に、濫用等のおそれのある医薬品の管理をシステム的に行いたいという狙いがある。
ただこちらは一朝一夕に実現することではなく、マイナンバーカードが義務化されていないことや医薬品アクセスの過度な制限につながりかねないという懸念もあることから慎重に議論されることになるとは思われるが、一般用医薬品を購入する際にマイナンバーカードでの登録が求められる未来がくるかもしれない。

こういった社会問題の対応策にも医療DXは関係しており、薬局とも非常に深いかかわりがあることがみてとれる。ただ我々は利用率を上げれば良いわけではない。収集した情報を基により良い医療サービスを提供する必要があり、情報を活用できていなければ、情報共有の輪から外れてしまうことになりかねない。これからの薬剤師の業務として、必要な情報を効率的に収集し、薬学的管理に活かし、提供される医療サービスの質の向上に貢献することが求められていると言えるだろう。


第4回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム(令和5年8月30日)


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【2024.8月号 Vol.339 保険薬局情報ダイジェスト】