保険薬局

2022年度調剤報酬改定で今後の薬局経営に求められること

調剤報酬改定2022
開局薬剤師 岡村俊子
4月1日より、2022年度調剤報酬改定が実施された。
3月31日までにレセプトコンピューターに算定予定の項目について設定を終え、翌日は問題なく入力できるかを見守るのみ・・・のはずだった。ところが突如31日の夜に厚生労働省より連携強化加算について「PCR等検査無料化事業として登録され、当該事業を実施していること」という具体的な事務通知があった。

それに気が付いた薬局は慌てて翌朝に設定を変更したが、通知に気づかず4月1日は連携強化加算を取ってしまった薬局もあったようだ。このドタバタ劇の原因は不明だし、「きっと連携強化加算の条件は○○であろう」という予測段階で設定してしまったことも甘いといえば甘いが、もう少し早い段階で通知が出せなかったのだろうか。それに、PCR等無料検査所だけでなく、その他に新型コロナウイルス感染症内服治療薬供給施設として登録した薬局、新型コロナウイルスワクチン接種に際して協力した薬局・薬剤師も多かったはずだ。ともかく「行政にとって役に立つ」薬局の見せ方の例になるだろうし、施設・人件費を投じて協力してくれたことへの返礼と捉えても良いのかもしれない。
ともあれ、施設基準は4月20日必着で届出ないといけないので、薬局は情報集めと添付資料作成に集中せざるを得ない。

4月になって患者の一部負担金の下がり方に驚いた薬局も多かったのではないだろうか。今回の改定では、全国的に使用量の多い薬剤の下げ幅は先発品・後発品ともに今までとは比べようもなく大きかった。内服薬の種類が多くて長期日数になるほど減額幅は大きく、外来服薬支援料2(一包化)も長期日数の場合は頭打ちになるので、内服薬のある処方の大方で一部負担金は下がったはずだ。そうなってくると、ますます細やかな調剤後服薬フォローとフィードバックが必要となり、地域支援体制加算を算定できるように努力しないと今後の薬局経営は大変になってくる。

地域支援体制加算2の要件(3項目以上)(年間)
  1. 夜間休日等加算 ………………………… 400回以上
  2. 麻薬調剤加算 ……………………………… 10回以上
  3. 重複投薬・相互作用等防止加算 …………40回以上
  4. かかりつけ薬剤師指導料 …………………40回以上
  5. 外来服薬支援料1 ……………………………12回以上
  6. 服用薬剤調整支援料1・2 ………………… 1回以上
  7. 在宅(単一建物)患者への薬学的管理および指導料…………………24回以上
  8. 服薬情報等提供料 …………………………60回以上
  9. 多職種会議 ………………………………… 5回以上

今までは、患者の一部負担額が増えるため、実施していても算定していなかった薬局もあると思うが、今後は十分に患者に説明し、毎月コツコツと算定していく取り組みが必要だろう。特に⑥服用薬剤調整支援料は関係する医療機関に対する提案であるから、該当医師とのコミュニケーションを良好にしておかなくてはいけない。

 行政の求めていることは「服薬状況等の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理および対物業務の効率的実施を前提とした、対人業務」であることは間違いないので「効率的実施」のためのシステム化が進んでいくだろう。オンライン服薬指導・自動ピッキングマシン・大型全自動錠剤(散薬)分包機・・・2年後の2024年は診療報酬・介護報酬同時改定になるが、医療と介護でどのように生産性を向上させていくのか今後の動向から目が離せない。


【2022.5月号 Vol.312 保険薬局情報ダイジェスト】