保険薬局
(1)処方箋がなくても相談OK
元気な薬局になろう
薬剤師 産業カウンセラー 荒井 なおみ 今号より「元気な薬局になろう」というテーマで身近な話題をお届けします。働くスタッフが元気であれば、薬局全体に活気が生まれ、切磋琢磨することで薬局のレベルが向上します。いいことずくめですね。「生き生きとした薬局」を目指して出発しましょう!
1.事例紹介【バファリンを飲んだら】
先日、お子さんに付き添って来られたお母様の相談をお受けしました。娘さんの服薬指導を終えた後、お母様から「子供の薬のことではなくて、自分のことなのですが。ドラッグストアで買った薬のことを聞いてもいいですか」と声をかけられました。薬剤師である以上、どなたの薬であっても薬の相談に乗ることは当たり前。早速、お母様からお話を伺いました。
今回対象となった市販薬と状況は以下の通りです。
ご相談内容は、「またバファリンAを飲んでも大丈夫か」「他の痛み止めにした方がよいか」ということでした。
数か月前(頭痛時に服用) バファリンA 2錠服用 → 目が腫れた
最近(頭痛時に服用) バファリンA 2錠服用 → 目が腫れた
では、経緯を確認していきましょう。お母様は数か月前に頭痛がして『バファリンA』を2錠お飲みになったそうです。約30分後、いつもだったら痛みが取れても良い頃に、何かおかしいと思って鏡を見たら目が腫れていたとのこと。次第に目の腫れは良くなったので、薬のせいではないと思ったそうです。そのため、数か月後に再び頭痛がしたときにも『バファリンA』を2錠お飲みになりました。そうしたら以前と同じように目が腫れてしまったそうです。「そういうこともあるのでしょうか」というお母様の訴えでした。
今回対象となった市販薬と状況は以下の通りです。
ご相談内容は、「またバファリンAを飲んでも大丈夫か」「他の痛み止めにした方がよいか」ということでした。
数か月前(頭痛時に服用) バファリンA 2錠服用 → 目が腫れた
最近(頭痛時に服用) バファリンA 2錠服用 → 目が腫れた
では、経緯を確認していきましょう。お母様は数か月前に頭痛がして『バファリンA』を2錠お飲みになったそうです。約30分後、いつもだったら痛みが取れても良い頃に、何かおかしいと思って鏡を見たら目が腫れていたとのこと。次第に目の腫れは良くなったので、薬のせいではないと思ったそうです。そのため、数か月後に再び頭痛がしたときにも『バファリンA』を2錠お飲みになりました。そうしたら以前と同じように目が腫れてしまったそうです。「そういうこともあるのでしょうか」というお母様の訴えでした。
2.非ステロイド性鎮痛消炎剤(NSAIDs)の有害事象
『バファリンA』は、ライオン株式会社さんが出している解熱鎮痛剤です。どのドラッグストアにも置いてあることでしょう。解熱鎮痛剤は『バファリンA』以外にも、たくさんのさまざまな工夫を凝らした製品が出ていますね。
◆【バファリンA】とは、どんな薬?(ライオン株式会社HPより)
- 成分と含量: アスピリン(アセチルサリチル酸) 660㎎、合成ヒドロタルサイト( ダイバッファーHT) 200㎎
- 用法用量: 成人(15歳以上)1回2錠 1日服用回数(2回を限度とすること)15歳未満 服用しないこと
さて、お母様が仰っていた「目が腫れる」という症状は、『バファリンA』によって起きたものでしょうか。1回飲んで目が腫れて、再び飲んだ時にもまた目が腫れていますから、何かしら関係があると考えた方が良いでしょう。
厚生労働省が出している「重篤副作用疾患別対応マニュアル」から【非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、解熱鎮痛薬)によるじんま疹/血管性浮腫】を見てみましょう。
(4)患者もしくは家族などが早期に認識しうる症状:①早期に認識しうる症状:主に顔面や頚部、四肢に軽度のじんま疹から始まることが多いが、口唇や眼瞼、顔面の軽度浮腫から始まるケースもある。
解説によると「その機序は、アレルギー機序に基づくのではなく、NSAIDs がプロスタグランジン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することにより生じる、いわゆるイントレランス(不耐症)とされる。このNSAIDs 不耐症は、小児には少なく、成人に多い後天的過敏体質である。」とのこと。ご相談のあったお母様は、NSAIDs 不耐症によりまぶたの腫れが出ていた可能性があります。今後は『バファリンA』だけでなく、NSAIDs全般を服用しないことが大切ですね。比較的安全な代替薬としてアセトアミノフェンが挙げられており、使用可能かどうか検討し服薬指導する、となっています。
3.処方箋がなくても相談できる薬局に!
保険薬局は、処方箋なしでちょっと立ち寄るという雰囲気ではないかもしれません。でもがっかりせずに、できることから始めましょう。調剤薬を受け取るとき、相談しやすい雰囲気はありますか。事例のお母様のように、ご家族の薬をもらいに来たときに気になっていることを質問してもらえたらいいですね。このような積み重ねによって、いずれは処方箋なしでも馴染みの患者さんが手ぶらで相談に来てくれることでしょう。そのためには、次のようなことを心がけましょう。
- 親しみやすい、話しかけられやすい薬剤師になる → 相談できそうだな、話を聞いてくれそうだな、と感じてもらいましょう。そのためには、薬局全体の雰囲気が良いことが何より大切です。
- 自薬局で扱っている薬や商品の知識を持っている → 多少なりとも商品の知識を持っていることは、信頼を得るための入り口です。
- 扱っていなくても、有名なものについては知っている → 広告を見たり、ドラッグストアを覗いたりするのも楽しい! 世の中の流れを掴んでおきましょう。
今回は、相談しやすい薬局について考えてみました。市販薬は馴染みがない薬剤師の方々もいらっしゃることでしょう。こんな小さなことでもスタッフみんなで分かち合い、職能を刺激してわくわくしてみませんか。
【2022.5月号 Vol.312 保険薬局情報ダイジェスト】
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