財務・税務

医療機関の固定資産管理について考える②

現物確認の実施方法を考えてみる
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之
前回は、固定資産管理の重要性について考えました。改めて、医療機関の固定資産管理が不十分だった場合、①情報漏洩リスク、②盗難発見リスク、③不必要な契約、税金の支払い、④業績判断の誤りをはじめとする問題が生じることを確認しました。今回は、固定資産を適切に管理するために必要な固定資産台帳に残しておきたい情報、固定資産実査(現物確認)の実施方法について考えます。

1.固定資産台帳にあったら助かる情報を考えてみる

固定資産台帳を作成する目的には、所有する固定資産を正確に把握する、減価償却費を正確に計算するなどがあり、医療機関で言えば、例えば資産を管理する管財課や経理課が利用したい情報を台帳上で整えてあげる必要があります。台帳にどのような情報があれば、あるいはどのように台帳登録すれば各課で利用しやすい台帳になるのか、全体で検討し整理することが大切になります。
ここで、固定資産台帳に記録される基本的な情報と言えば、以下の情報が考えられます。
  • 資産番号・固定資産名称・資産区分(医療機器・その他器械備品・車両運搬具等)
  • 取得年月日・取得金額・耐用年数(減価償却で使用する年数)
その上で、資産管理をする管財課の立場であれば、資産の場所(管理エリア)、固定資産管理ラベルの貼付状況、資産の利用状況(壊れている、現在は使用していない等)の情報が固定資産実査の結果から上がってくれば、より管理の幅が広がってくると思います。経理課の立場であれば、管理会計のために管理部門が台帳に漏れなく正確に登録されている、一部の資産を除売却しても問題ないような資産登録をしてもらいたいなど、経理上の数値を適切に処理把握できるための台帳であってほしいと思います。
このような意見を整理集約し、固定資産台帳に登録すべき情報が何かを整理すること、そして、どのようなルールで固定資産実査を進めるかを決めることが大切です。この際、重要となるのが後述にも影響しますが、固定資産の管理エリアの設定(薬剤部・5階北病棟・5階南病棟など)です。将来的には固定資産を普段使用している現場職員が固定資産実査するほうが効率的であり、その区分けをする上でも管理エリアの設定は重要となります。

2.現物確認の実施方法を考えてみる

少しでも経験された方には共感していただけると思いますが、固定資産実査(現物確認)が固定資産管理を進める上で最もハードルが高い作業になります。当然ですが、病院であれば、あちこちにある固定資産を確認し、今ある台帳と突合するため、膨大な作業時間と労力が発生します。しかし、ここを乗り越えなければ、正確な固定資産台帳管理が実現できないのも事実です。では、この実査をどのようにクリアしていくべきか順を追って考えてみたいと思います。

① 資産台帳の情報を更新しやすいような実査リストを考える
下図は、固定資産台帳管理がスムーズに行えるようになった医療機関で、定期的に管理エリア別に固定資産実査をお願いする際に配布している実査表のイメージになります。例えば、5階北病棟の管理責任者に以下のような実査表を配布できるようになれば、以後は担当者にその情報で誤っている箇所だけ追記してもらい、回収することで最新の固定資産の状況の情報が上がってくるようになります。
可能であれば、このような現在の固定資産台帳を加工した実査表を各管理エリア責任者に配布し、各エリアの状況に合わせて固定資産実査を順次進めていくことになります。
このほか、②中長期的なスケジュールで全ての実査を完了することを心掛ける、③固定資産実査責任者と各管理エリア担当責任者は、実査が一巡するまで固定メンバーで実施することを心掛けることもポイントです。これらの説明及び固定資産台帳のメンテナンス方法については、次回取り上げたいと思います。




【2025. 2. 1 Vol.609 医業情報ダイジェスト】