介護

【続き】通所介護は微風ながら、実質減算改定に

要支援の運動器、事業所評価加算廃止
株式会社メディックプランニング  代表取締役 三好 貴之

▼ADL維持等加算のハードルアップ

前回の改定で、要件緩和に加えて報酬が10倍となったADL維持等加算ですが、今回は、ADL維持等加算の計算式に入れて算出される「ADL利得(Ⅱ):60単位/月」の指数が「2」から「3」にハードルが上がりました。もともと算定できている事業所は少ないと思いますが、さらに算定できる事業所は減少することが予測されます。

▼要支援の運動器、事業所評価加算廃止

①運動器機能向上加算の包括化
通所リハビリと同じく、通所介護でも運動器機能向上加算が、基本報酬に包括化されました。ここで注意が必要なのは、「運動器機能向上加算:225単位/月」がそのまま基本報酬に組み込まれているわけではないことです。要支援1は「1672単位/月」から「1798単位/月」と「126単位」しか上がっておらず、要支援2は「3428単位/月」から「3621単位/月」と「193単位/月」です。要支援のなかでも、要支援1が多い通所介護で運動器機能向上加算を算定していたところは、実質、大幅な減算となります。

②事業所評価加算の廃止
介護度の改善を評価した「事業所評価加算225単位/月」ですが、こちらも通所リハビリ同様に廃止となりました。これに関しては、ただ廃止になっただけなのでそのまま減収になります。

以上、総合事業はこのように算定できる加算が減少してきているため、実質的には、報酬が下がってきています。また、各自治体のローカルルールでさらに減算している事業所もあるでしょう。

▼弊社事業所は15万円減収

筆者が経営している地域密着通所介護の「リハビリテーション颯倉敷(定員18名×2単位)」では、今回の改定で15万円ほどの減収になりました。弊社事業所のように、短時間リハビリ型の通所介護では、要支援の利用者が多いため、総合事業の減算は、収益に大きなインパクトを与えます。弊社事業所はまだ、要支援のなかでも要支援2の割合が多かったため、減算は最低限度に抑えられましたが、要支援1が多い通所は大ダメージだと思います。

しかし、弊社事業所のようにリハビリ専門職と看護師を配置し、さらに要支援の重度化予防をしているにも関わらず、そこを減算するのは介護保険の基本理念である「自立支援・重度化予防」と逆行する改定だと言わざるを得ません。今後、通所介護では、加算や基本サービス費のさらなる減算が考えられるため、より効率的な運営が求められます。


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【2024. 5. 15 Vol.592 医業情報ダイジェスト】