組織・人材育成
「この研修で変わったの!?」驚くリーダーの研修への向き合い方
学びを自分の言動に活かしていくかどうかは本人次第
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
2024年度同時改定でも指摘されていた通り、今後は現役世代の急減に突入することで、より良い組織作りはますます重視されていくものと思います。より良い組織作りを目指した研修を自組織で企画する医療機関も増えてくるでしょう。
今回はそんな 「研修の受け方」 について、とある院長先生が気付きを得たケースをご紹介したいと思います。
今回はそんな 「研修の受け方」 について、とある院長先生が気付きを得たケースをご紹介したいと思います。
ケース:
とある医療法人で行ったリーダー研修でのお話です。
このリーダー研修は患者と地域住民、そして働く職員にとってより良い組織作りを目的に、法人内にあるクリニックや病院などの管理職が集まり月に1回行われており、その日はリーダー研修のまとめを行うために集まった日でした。
少人数のグループ毎に司会と書記を決め、グループのメンバー1人ひとりがリーダー研修の学びを振り返る時間の際に、病院所属のリハビリ部門の部長が発言をしました。
リハ部長 「私はこの研修で自分自身のあり方を振り返ることができました。私が 『スタッフのために』 と思い込んでいたことに気が付いたり、自分のコミュニケーションの課題に正面からぶつかったりすることができました。まだまだ未熟な私ですが、先日複数のスタッフから『話しかけやすくなった』と言ってもらえたのです。以前、パワーハラスメントの疑いがあると注意を受けたことのある私です。涙が出るかと思うくらい嬉しかった。私の年齢でも変わることができたのだと思うと本当に嬉しかった。まだまだより良くなっていきたい」
このリハ部長の発言に頷いたり笑顔になったりする参加者がいる反面、このグループで司会をしていたクリニックの院長先生は思わず声が漏れたという様子でこんな発言があったのでした。
院長先生 「この研修で変わったの!?」
この日から少し経ち、上記発言をしたクリニックの院長先生に呼ばれた筆者はこんなお話を聞いたのでした。
院長先生 「私は正直言ってこの研修で自分が変わったという実感はありません。他の参加者もそうだと思っていました。でも自分が考える以上に変化を感じる人が多かったことに衝撃を受けました。私はこのことが忘れられず、しばらく考えていたときにふと 『変わろうとしていなかったのは、学ぼうとしていなかったのは私自身だ』 と気が付きました。…ダメな参加者で申し訳ない…講師である上村さんには私の気持ちをちゃんと伝えないといけないと思って時間をとっていただきました」
筆者の目には、自身と向き合おうとする院長先生の変化が見て取れたのでした。
このケース、どのような感想を持ちましたか?
研修講師の話術などの技術や知識により、学びやすい環境を整えることはできていても、その学びをどう自分の中で消化し、次の自分の言動に活かしていくかどうかはご本人次第です。組織作りは過去に私たちが義務教育で教えられていたような 「答えがある学問」 ではありません。答えがあるとすると、常に個々人の中にあるはずです。
組織は個人の集合体ですから、個人のストーリーが組織のストーリーを作ります。従って、個人の言動がより良く変化することが、組織のより良い変化に繋がるのです。つまり、個人がどのような言動を選択することがより良い組織に導けるのかという答えは、今までの自分自身を振り返ることでより良い答えを導くという、個人の気付きにかかっているということです。この 「個人の気付き」 に蓋をしたまま 「何か変えてくれるものが研修にあるのだろう」 と受け身で研修に挑んでしまうことで、この院長先生のように 「何も得るものが無い」 「変わっていない」 という認識になってしまうことがあるようです。
研修は自分を 「変える」 場ではありません。研修は 「気付き」 の場です。気付きから自分を 「変える」 という、受け身ではなく能動的に 「変わる」 ことで結果が変化していきます。研修への挑み方を今一度振り返ってみませんか?私自身、研修講師としての技術と知識をもっともっと磨いていくぞ!という宣言と共に、このケースをご紹介いたしました。
【2024. 6. 15 Vol.594 医業情報ダイジェスト】
このリーダー研修は患者と地域住民、そして働く職員にとってより良い組織作りを目的に、法人内にあるクリニックや病院などの管理職が集まり月に1回行われており、その日はリーダー研修のまとめを行うために集まった日でした。
少人数のグループ毎に司会と書記を決め、グループのメンバー1人ひとりがリーダー研修の学びを振り返る時間の際に、病院所属のリハビリ部門の部長が発言をしました。
リハ部長 「私はこの研修で自分自身のあり方を振り返ることができました。私が 『スタッフのために』 と思い込んでいたことに気が付いたり、自分のコミュニケーションの課題に正面からぶつかったりすることができました。まだまだ未熟な私ですが、先日複数のスタッフから『話しかけやすくなった』と言ってもらえたのです。以前、パワーハラスメントの疑いがあると注意を受けたことのある私です。涙が出るかと思うくらい嬉しかった。私の年齢でも変わることができたのだと思うと本当に嬉しかった。まだまだより良くなっていきたい」
このリハ部長の発言に頷いたり笑顔になったりする参加者がいる反面、このグループで司会をしていたクリニックの院長先生は思わず声が漏れたという様子でこんな発言があったのでした。
院長先生 「この研修で変わったの!?」
この日から少し経ち、上記発言をしたクリニックの院長先生に呼ばれた筆者はこんなお話を聞いたのでした。
院長先生 「私は正直言ってこの研修で自分が変わったという実感はありません。他の参加者もそうだと思っていました。でも自分が考える以上に変化を感じる人が多かったことに衝撃を受けました。私はこのことが忘れられず、しばらく考えていたときにふと 『変わろうとしていなかったのは、学ぼうとしていなかったのは私自身だ』 と気が付きました。…ダメな参加者で申し訳ない…講師である上村さんには私の気持ちをちゃんと伝えないといけないと思って時間をとっていただきました」
筆者の目には、自身と向き合おうとする院長先生の変化が見て取れたのでした。
このケース、どのような感想を持ちましたか?
研修講師の話術などの技術や知識により、学びやすい環境を整えることはできていても、その学びをどう自分の中で消化し、次の自分の言動に活かしていくかどうかはご本人次第です。組織作りは過去に私たちが義務教育で教えられていたような 「答えがある学問」 ではありません。答えがあるとすると、常に個々人の中にあるはずです。
組織は個人の集合体ですから、個人のストーリーが組織のストーリーを作ります。従って、個人の言動がより良く変化することが、組織のより良い変化に繋がるのです。つまり、個人がどのような言動を選択することがより良い組織に導けるのかという答えは、今までの自分自身を振り返ることでより良い答えを導くという、個人の気付きにかかっているということです。この 「個人の気付き」 に蓋をしたまま 「何か変えてくれるものが研修にあるのだろう」 と受け身で研修に挑んでしまうことで、この院長先生のように 「何も得るものが無い」 「変わっていない」 という認識になってしまうことがあるようです。
研修は自分を 「変える」 場ではありません。研修は 「気付き」 の場です。気付きから自分を 「変える」 という、受け身ではなく能動的に 「変わる」 ことで結果が変化していきます。研修への挑み方を今一度振り返ってみませんか?私自身、研修講師としての技術と知識をもっともっと磨いていくぞ!という宣言と共に、このケースをご紹介いたしました。
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