診療報酬

「一般名処方加算」の傾向と対策

一般名処方加算はどの程度算定されているのか?
株式会社メデュアクト  代表取締役 流石 学
医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置として、一般名処方加算、外来後発医薬品使用体制加算等について、追加の施設基準を満たす場合、令和5年4月~12月の期間限定で、点数が上乗せされることになった。

外来後発医薬品使用体制加算などの後発医薬品の使用割合が施設基準となる加算は、後発医薬品の推進を図りながら、医薬品の安定供給に資する取り組みを評価したものだが、一般名処方加算は、一般名処方によって保険薬局で調剤する医薬品の銘柄が限定されないことで、医薬品供給が不安定な環境下でも患者に安定的に薬物治療を提供することを目的としている。

一般名処方加算は、交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品のある全ての医薬品(2品目以上の場合)が一般名処方の場合に一般名処方加算1(加算1)、1品目でも一般名処方されたものが含まれている場合は一般名処方加算2(加算2)を算定できる。

今回の特例措置では、一般名処方加算にそれぞれ2点が上乗せされる。

F400 処方箋料
 一般名処方加算1 7点 →下記「追加の施設基準」を満たしている場合は 9点(+2点)
 一般名処方加算2 5点 →下記「追加の施設基準」を満たしている場合は7点(+2点)
[追加の施設基準]
 薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する場合には、医薬品の供給状況等を踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

■一般名処方加算はどの程度算定されているのか?

第7回NDBオープンデータより、都道府県別に処方箋料に対する一般名処方加算の算定割合を検証した。
まず全体の算定割合(加算1、加算2の算定割合の合計)は57.7%(加算1:29.2%、加算2:28.5%)だった。
地域性はどうだろうか。
算定率が高かったのは鹿児島、佐賀の九州2県で、いずれも算定割合が65%を超えていた。しかし、九州エリア全体の算定割合が高いわけではなく、長崎、大分は下から数えた方が早い。エリア特性のごとく算定割合が高いのは、岐阜、三重、愛知、静岡の東海4県で、いずれも算定割合が60%を超え、47都道府県のトップ10に入っている。
逆に最も算定割合が低いのは筆者の故郷の山梨で、唯一の40%台だった。当コーナーの恒例ネタになりつつあるが、一般名処方加算の算定割合もまた全国最下位だった。

■算定割合を上げるために

今回の結果をもとに考えると、交付した処方箋の半数以上に一般名処方が含まれているようだ。ただし、今回の検証では後発医薬品のある医薬品(対象薬)が含まれていない処方箋も分母に入っていることには注意したい。

筆者がいくつかの医療機関で検証したかぎりでは、対象薬を含まない院外処方箋の割合は2割前後のケースが多い。仮に対象薬を含まない院外処方箋の割合を20%とすると、対象薬を含む処方箋の3/4の前後で一般名処方加算が算定されていることになる。
とはいえ、すべての医療機関が一律に算定しているわけではない。算定割合が高い医療機関がある一方で、まったく算定していない医療機関もしくは算定割合が著しく低い医療機関もある。後者では、一般名処方加算を認識していない、医師が処方薬を変更不可にしている、院内のシステムの関係で算定できないといった理由が多いのではないだろうか。

一般名処方加算は、1回あたりの点数は大きくないものの、数があるため、まとめるとそれなりの金額になる。変更不可が理由であれば仕方がないが、一般名で処方することに差し障りがないようであれば、できるだけ漏らさずに算定したいところだ。そのためには処方薬を一般名に自動変換するといったシステム上の対応も選択肢になる。まずは自施設の算定状況を確認したい。




【2023. 2. 1 Vol.561 医業情報ダイジェスト】