介護施設

介護人材採用のカギはネット広告一択

意外と知らない介護経営のポイント
株式会社メディックプランニング 代表取締役 三好 貴之
厚労省の試算では、介護人材不足は2026年で25万人となり、2040年には57万人も不足するとされています。介護求人倍率は全産業の求人倍率よりも約3倍に高止まりし、いよいよこれから人手不足が本当に深刻化してくるでしょう。

▼そもそも人材が足りていたことがない

筆者は、介護保険が始まった2000年から介護施設に関与しています。当時は、現場の作業療法士として介護老人保健施設の開設に関わっていましたが、すでにその時から介護職員の不足が始まっていました。通常、他の業種では、開業する時には、オーナーや家族、友人など小さな規模からスタートし、事業拡大と共に徐々に従業員を増やしていくのがセオリーです。しかし、介護施設のような行政の許認可が必要な業種では、最初から職員や設備をきちんと配置してからの開業となるので、開業当初からたくさんの従業員を抱えなければならず、初期投資が相当かかってくるのが特徴だと言えます。
介護施設での人材不足は、現場レベルでは、介護保険が始まった時からあった話で、25年間で一度も改善されていないのです。さらに、採用してもすぐに辞めてしまう介護職員も多く、離職の問題は、大規模な施設ほど深刻な経営課題でした。

▼2009年から処遇改善の取り組みが開始

そんな中、2009年から「処遇改善交付金」の制度が開始されました。その後、 「処遇改善加算」 になり介護報酬に包括される形になりました。これにより2007年に20%を超えていた離職率は、全産業と変わらないところまで下がっていきました。
しかし、相変わらず、採用の難しさは継続しています。少し古いデータになりますが、2014年の労働研究・研修機構編では、介護職員の採用に関しては、必要数に対して、新卒採用者は不足し、中途採用に依存しているため、景気の影響を大きく受ける 「極めて脆弱な構造」 と指摘しています。そのときから10年以上が経過し、介護福祉士の養成校は減少しています。ある介護福祉士の養成校では、定員数の半分しか学生が集まらず、さらに卒業生もほとんど介護施設に就職せず、一般企業へ就職していると聞きました。つまり、新卒採用ができる介護施設はほとんどなく、中途採用がメインになっています。
日本全体の賃上げムードが高まるなか、2024年は、全産業の賃上げ率が 「5.1%」 に対して、介護施設は 「2.5%」 と半分に留まりました。さらに平均賃金の推移をみても、他の産業と比較してまだ月に 「8万円」 も開きがあるため(図)、この賃上げムードによって、中途採用に依存してきた介護業界はさらに人手不足になっていくことが予測されます。


第120回社会保障審議会介護保険部会の資料について 令和7年5月19日(月)

▼採用の仕組みを作る

筆者も地域密着型通所介護の経営を12年やっていますが、本当に採用に困ったことが何度もありました。開業当初の12年前は、ハローワークと新聞折込の求人広告や求人雑誌を中心に採用活動を行っていましたが、今は、求職活動にハローワークや求人広告を使う人は激減しています。その代わりにネットでの求人サイトが主流になっています。
また、ネットの求人サイトも今では飽和状態ですが、そのなかでも確実に採用できる方法はあります。試行錯誤する中で、どのようにすれば介護職員の採用ができるかを、ある程度見つけ出すことができました。今月も介護職員が1名産休育休に入ったため募集をかけましたが、5名以上の募集があり、ありがたいことに 「選べるほど」 応募はきています。
しかし、一方で、介護業界はまだまだネットに疎い事業所が多く、ハローワークや新聞折込みの求人広告を出していて、求職者の情報収集とミスマッチを起こしています。さらに費用をかけず、ハローワークだけ募集をかけて 「誰も応募してこない」 と嘆いている方もいます。そのような事業所は早くネット求人に移行すべきです。

▼自事業所のホームページを強化すべき

ネットの求人広告に移行すると、応募者が必ず見るものがあります。それは、googleマップとホームページです。これから働く人にとって、通勤のことを考えれば、どこに職場があるのかは重要です。そのため、必ずと言っていいほどgoogleマップで検索します。しかし、そこに掲載されている写真がきれいに撮影されたものでなければ、それだけで応募者は逃げてしまいます。また、ホームページも 「10年以上前から変えていない」 のであれば更新することをおすすめします。更新しなければ、これまた他の事業所へ逃げてしまいます。


【2025年10月15日号 Vol.12 メディカル・マネジメント】