請求業務

「生活習慣病管理料」についての変更点や運用の留意点

再発や重症化予防まで切れ目のない指導を推進
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
生活習慣病において、かかりつけ医機能の重要性は高く、予防から治療、再発や重症化予防まで切れ目のない指導を推進するため、令和4年改定では「生活習慣病管理料」の算定要件と点数区分が見直されました。

本稿では診療所における「生活習慣病管理料」についての変更点や運用の留意点をお伝えいたします。

B001-3 生活習慣病管理料(月1回限り)
 1 脂質異常症を主病とする場合 570点
 2 高血圧症を主病とする場合 620点
 3 糖尿病を主病とする場合 720点
 注3 血糖自己測定指導加算 +500点
 注4 外来データ提出加算 +50点

Q1:令和4年改定における変更点を教えて下さい。
A1:変更点は以下の5点です。
  1.  投薬に係る費用は生活習慣病管理料の包括対象外になり、「院外処方」と「それ以外」で区別されていた点数区分は廃止へ
  2. 「治療管理は看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種連携の実施で差し支えないこと」が通知に明示
  3.  算定要件「糖尿病と高血圧症の患者数の記録」が削除
  4. 「外来データ提出加算」の新設
  5. 「情報通信機器を用いた場合」の廃止
●Point1:前述A1の①の留意点
算定した場合の包括項目
  •  医学管理等(糖尿病合併症管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、外来緩和ケア管理料、糖尿病透析予防指導管理料を除く。)・検査・注射・病理診断以下が別途算定になります。

<院外処方の場合>
 処方箋料、処方箋料の特定疾患処方管理加算1及び2
<院内処方の場合>
 処方料、処方料の特定疾患処方管理加算1及び2、薬剤料算定例
 主病が脂質異常症で月1回 治療管理中。今月は血液検査を実施し、脂質異常症薬28日分を院外処方。

12 再診料 73×1
 外来管理加算 52×1
13 生活習慣病管理料(脂質異常症) 570×1
80 処方箋料3 68×1
 特定疾患処方管理加算2 66×1
※検査は包括のため、算定しません。
※ 生活習慣病管理料を算定した場合は同一機関内での他科受診、他疾患がある場合も包括します。

●Point2:前述A1の②の留意点 多職種連携の多職種とは
看護師、薬剤師、管理栄養士のほか理学療法士、保健所の職員または他の保険医療機関の職員も含みます。
※ 保健所の職員または他の保険医療機関の職員と連携した場合は、療養計画書とカルテに職員への指示内容と職員の実施内容を記載する必要があります。(令和4年3月31日 疑義解釈その1 問161)

Q2: 同じ月に、生活習慣病管理料と在宅自己注射指導管理料は併せて算定できますか?
また、特定疾患療養管理料は算定できますか?
A2: 主病が「糖尿病」で、在宅自己注射指導管理料を算定している場合、生活習慣病管理料を算定できません。
主病が「高血圧症」または「脂質異常症」で、生活習慣病管理料を算定し、糖尿病のインスリンの自己注射を指導する場合は、在宅自己注射指導管理料を算定できます。
生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料は主病に関わらず、併算定できません。

●Point3:注3 血糖自己測定指導加算
<対象患者>
当月もしくは前月HbA1cがJDS8.0%以上(NGSP8.4%以上)の中等度以上の2型糖尿病で、インスリン製剤を使用していない患者
<算定>
血糖自己測定値に基づく指導を行った場合に年1回限り加算。

●Point4:その他算定上の留意点
・患者ごとに算定可否の選択ができる。
・他の医療機関で管理している場合は、算定不可。(以下 厚生局 個別指導における主な指摘事項より)
・ 算定患者は翌月に算定しないことができるのは、症状が悪化した場合とされているので、留意。
・ 翌月に生活習慣病管理料を算定しない場合、病状悪化の所見等を診療録に記載するなど、保険請求の根拠を明確にされたい。
・ 療養計画書により丁寧に説明、患者の同意を得るとともに、計画書に患者の署名を受ける。
・ 療養計画書の内容に変更がない場合も、4月に1回以上は交付。

●Point5:カルテ記載と添付
<記載>
対象:糖尿病と高血圧症の患者
薬物療法の導入、投薬内容の変更等、管理方針を変更した場合 ⇒ 理由と内容等をカルテに記載。
<添付>
対象:算定患者共通
⇒ 交付した療養計画書の写しをカルテに添付。
計画書記載事項:
糖尿病と高血圧の患者は必ず下記を記載。
糖尿病 ⇒ 血糖値とHbA1c値
高血圧症 ⇒ 血圧の値
算定患者は以下について必要な事項を記載。

服薬、運動、休養、栄養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒、特定健診・特定保健指導に係る情報提供及びその他療養を行うに当たっての問題点等


【2022. 10. 1 Vol.553 医業情報ダイジェスト】