保険薬局
地域フォーミュラリは必要か?
患者のQOL改善という成果を引き出すためのツール
開局薬剤師 岡村 俊子
フォーミュラリ(Formulary)とは学術的には「疾患の診断、予防、治療や健康増進に対して、医師をはじめとする薬剤師・他の医療従事者による臨床的な判断を表すために必要な、継続的にアップデートされる医薬品のリストと関連情報」と定義されている。
患者に対する適正な薬物療法により「患者のQOL改善という成果を引き出すためのツール」であるとともに、「有効かつ経済的な医薬品の使用方針」と認識しているが、似たツールに疾患別ガイドラインがある。
疾患別ガイドラインは「特定の疾患に対する診断や治療の手順や方針を示したものでエビデンスに基づいた最適な治療を提供するための推奨事項」であり、フォーミュラリも疾患別ガイドラインに沿って作成されることが望ましいが、フォーミュラリは医療機関や地域において医学的妥当性や経済性を踏まえて柔軟に作成可能である。
院内フォーミュラリと地域フォーミュラリがあり、院内フォーミュラリは各病院で医師・薬剤師等が共同で採用薬を決める際に作成しているため、選考決定しやすいが経済効果は限定的だ。それに対して地域フォーミュラリは中核病院、医師会、地域保険者、薬局等のステークホルダーが多く、各々の利害が一致しにくいため選考が難しい。ただ経済的有効性を考えると後発医薬品が対象になる場合が多いため、経済効果は大きいので医療費を削減したい保険組合にとっては有難いだろう。団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題が目前に迫っており、少子高齢化により現役世代が負担する医療費削減のために必要なことの一つだ。
地域フォーミュラリは地域医療を担う診療所医師が処方する医薬品が主となるため、まず医師の処方権を侵害しないことを医師に認識してもらうことが大前提だと思う。診療所から紹介された患者が病院から追加処方された薬と逆紹介状を持って診療所に返ってくる、または病院で処方内容が大きく変更になる場合もあるが、そのあとは個々の医師がそのときの患者の状態により判断して変更していくように、診療所医師の処方権が侵害されるものではないと考える。
後発医薬品の使用は比較的若い世代の患者も高齢者も慣れてきた。ただ、高齢者は知識では地域医療の継続性の必要を理解しているが、「自分には」最高で最良な治療を望んでいるので、フォーミュラリで効果が期待できない場合は違う薬に変更すればよい。地域により医療機関の数は大きく違うと思うが、患者数に対して医療機関の数が多い場合、各医療機関の違いは「診断が適切であり、薬が効果的であり、予後が良い」ことだと思うので医療機関によって採用薬が違い、私たち薬剤師が「この医師の処方意図は何か?」と考えながら調剤し、その確認のために服薬フォローすることは有意義だと思う。
ただ、医薬品の安定供給が望めない「今」は時期が悪い。今、薬局から卸に発注する薬の約半数は希望納入日に入らない。納入の見通しが立たない場合も多々ある。そういう状態で薬の選考を行い、もしその薬の安定供給が叶わなかった場合、フォーミュラリは絵にかいた餅となり信用性を失う。多くの医療関係者を巻き込んだ作成労力は徒労に終わる。まずは医薬品の安定供給が先決だと思う。
また地域フォーミュラリを考える際には利益相反がないことが重要だと思うので、利益相反管理委員会のような組織を設置するほうが透明性や公正性を確保でき、普及の根拠になると考える。
【2023.6月号 Vol.325 保険薬局情報ダイジェスト】
患者に対する適正な薬物療法により「患者のQOL改善という成果を引き出すためのツール」であるとともに、「有効かつ経済的な医薬品の使用方針」と認識しているが、似たツールに疾患別ガイドラインがある。
疾患別ガイドラインは「特定の疾患に対する診断や治療の手順や方針を示したものでエビデンスに基づいた最適な治療を提供するための推奨事項」であり、フォーミュラリも疾患別ガイドラインに沿って作成されることが望ましいが、フォーミュラリは医療機関や地域において医学的妥当性や経済性を踏まえて柔軟に作成可能である。
院内フォーミュラリと地域フォーミュラリがあり、院内フォーミュラリは各病院で医師・薬剤師等が共同で採用薬を決める際に作成しているため、選考決定しやすいが経済効果は限定的だ。それに対して地域フォーミュラリは中核病院、医師会、地域保険者、薬局等のステークホルダーが多く、各々の利害が一致しにくいため選考が難しい。ただ経済的有効性を考えると後発医薬品が対象になる場合が多いため、経済効果は大きいので医療費を削減したい保険組合にとっては有難いだろう。団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題が目前に迫っており、少子高齢化により現役世代が負担する医療費削減のために必要なことの一つだ。
地域フォーミュラリは地域医療を担う診療所医師が処方する医薬品が主となるため、まず医師の処方権を侵害しないことを医師に認識してもらうことが大前提だと思う。診療所から紹介された患者が病院から追加処方された薬と逆紹介状を持って診療所に返ってくる、または病院で処方内容が大きく変更になる場合もあるが、そのあとは個々の医師がそのときの患者の状態により判断して変更していくように、診療所医師の処方権が侵害されるものではないと考える。
後発医薬品の使用は比較的若い世代の患者も高齢者も慣れてきた。ただ、高齢者は知識では地域医療の継続性の必要を理解しているが、「自分には」最高で最良な治療を望んでいるので、フォーミュラリで効果が期待できない場合は違う薬に変更すればよい。地域により医療機関の数は大きく違うと思うが、患者数に対して医療機関の数が多い場合、各医療機関の違いは「診断が適切であり、薬が効果的であり、予後が良い」ことだと思うので医療機関によって採用薬が違い、私たち薬剤師が「この医師の処方意図は何か?」と考えながら調剤し、その確認のために服薬フォローすることは有意義だと思う。
ただ、医薬品の安定供給が望めない「今」は時期が悪い。今、薬局から卸に発注する薬の約半数は希望納入日に入らない。納入の見通しが立たない場合も多々ある。そういう状態で薬の選考を行い、もしその薬の安定供給が叶わなかった場合、フォーミュラリは絵にかいた餅となり信用性を失う。多くの医療関係者を巻き込んだ作成労力は徒労に終わる。まずは医薬品の安定供給が先決だと思う。
また地域フォーミュラリを考える際には利益相反がないことが重要だと思うので、利益相反管理委員会のような組織を設置するほうが透明性や公正性を確保でき、普及の根拠になると考える。
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