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骨太の方針2024における医療・介護の賃上げ方向性

ベースアップ評価料が無くなったら医療・介護崩壊へ
株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高

■骨太の方針2024では医療・福祉分野の賃上げ明記

政府は6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2024」、いわゆる 「骨太の方針2024」 を閣議決定した。
骨太方針は2001年度の小泉政権時に開始されており、いかにも 「ワンイシュー」(一つの政策課題のみを争点に掲げる)でワンフレーズが得意な小泉首相らしい分かりやすいネーミングと思ったものだ。最近は内容が総花的で弱くて、すかすかな 「骨粗鬆症の方針」 的な感があった。しかし、今回は全世代型社会保障の構築を目指した医療提供体制の見直しや医療保険改革などの具体的な方向性を 「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」 として、4つの章で示している。

骨太方針2024
第1章 成長型の新たな経済ステージへの移行
第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現~賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上~
第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現~「経済・財政新生計画」~
第4章 当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方

第1章では 「医療・福祉分野等におけるきめ細かい賃上げ支援や最低賃金の引上げを実行する」 と医療・介護関係者にとっては心強い文言が記載されている。第2章ではより具体的に 「医療・介護・障害福祉サービスについては、2024年度診療報酬改定で導入されたベースアップ評価料等の仕組みを活用した賃上げを実現するため、賃上げの状況等について実態を把握しつつ、賃上げに向けた要請を継続するなど、持続的な賃上げに向けた取組を進める」 としている。

医療DX・介護DXについて 「マイナ保険証の利用の促進を図るとともに現行の健康保険証について2024年12月2日からの発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行」 と従来保険証廃止に関する反対意見には揺るがない方針の貫徹を示している。他にも 「 『医療DXの推進に関する工程表』 に基づき、 『全国医療情報プラットフォーム』 を構築するほか、電子カルテの導入や電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DX、PHRの整備・普及を強力に進める。調剤録等の薬局情報のDX・標準化の検討を進める」 としている。3章では 「全世代型社会保障の構築」 「医療・介護サービスの提供体制」 が述べられている。


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【2024.8. 1 Vol.597 医業情報ダイジェスト】