病院
リフィル処方箋の交付状況は?
患者ニーズと政策誘導は?
株式会社メデュアクト 代表取締役 流石 学令和4年度改定では、1枚の処方箋を最大3回まで使用できる 「リフィル処方箋」 が導入された。さらに令和6年度改定では、地域包括診療加算、地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)、生活習慣病管理料(Ⅱ)の施設基準に 「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること。」 が設定された。
また今年度スタートの第4次医療費適正化計画でもリフィル処方箋について言及している。第4次医療費適正化計画では、医療資源の効果的・効率的な活用のために、医療資源の投入量に地域差がある医療の例として、白内障手術や外来化学療法に加えて、リフィル処方箋を挙げている(リフィル処方箋は、地域差の実態等を確認した上で必要な取組を進めることとなっている)。方針のなかで 「リフィル処方箋については、保険者、都道府県、医師、薬剤師などの必要な取組を検討し、実施することにより活用を進める必要がある。その際、分割調剤等その他の長期処方も併せて、地域の実態を確認しながら取り組むことが考えられる。」 と示されており、将来的にリフィル処方に関する数値目標等の設定や、それに合わせた政策誘導がなされる可能性がある。
また今年度スタートの第4次医療費適正化計画でもリフィル処方箋について言及している。第4次医療費適正化計画では、医療資源の効果的・効率的な活用のために、医療資源の投入量に地域差がある医療の例として、白内障手術や外来化学療法に加えて、リフィル処方箋を挙げている(リフィル処方箋は、地域差の実態等を確認した上で必要な取組を進めることとなっている)。方針のなかで 「リフィル処方箋については、保険者、都道府県、医師、薬剤師などの必要な取組を検討し、実施することにより活用を進める必要がある。その際、分割調剤等その他の長期処方も併せて、地域の実態を確認しながら取り組むことが考えられる。」 と示されており、将来的にリフィル処方に関する数値目標等の設定や、それに合わせた政策誘導がなされる可能性がある。
■都道府県別のリフィル処方箋交付状況
では、リフィル処方箋の実際の交付状況はどのようになっているのだろうか。
今回は第9回NDBより、すべての処方箋に対するリフィル処方箋の割合を都道府県別に検証した。第9回NDBは令和4年度を対象としており、リフィル処方箋の導入初年度の実績となる。
まず全体の交付状況として、処方箋10万枚あたりに占めるリフィル処方箋の交付枚数は45.1枚だった。交付割合は0.1%に満たない状況になっている。
処方箋あたりの交付枚数が最も多い千葉県では208 .6枚、次いで多い青森県が102.3枚であり、この2県だけが交付割合にして0.1%を超えている。最も少ない鳥取県では、処方箋10万枚あたり10枚に満たず、都道府県間で45倍の差が生じている。
ただし、交付割合が高い地域においても、多くの医療機関からリフィル処方箋が処方されていることは考えづらく、一部の医療機関から交付されている可能性が高いのではないだろうか。
今回は第9回NDBより、すべての処方箋に対するリフィル処方箋の割合を都道府県別に検証した。第9回NDBは令和4年度を対象としており、リフィル処方箋の導入初年度の実績となる。
まず全体の交付状況として、処方箋10万枚あたりに占めるリフィル処方箋の交付枚数は45.1枚だった。交付割合は0.1%に満たない状況になっている。
処方箋あたりの交付枚数が最も多い千葉県では208 .6枚、次いで多い青森県が102.3枚であり、この2県だけが交付割合にして0.1%を超えている。最も少ない鳥取県では、処方箋10万枚あたり10枚に満たず、都道府県間で45倍の差が生じている。
ただし、交付割合が高い地域においても、多くの医療機関からリフィル処方箋が処方されていることは考えづらく、一部の医療機関から交付されている可能性が高いのではないだろうか。
処方箋10万枚あたりのリフィル処方箋枚数
■患者ニーズと政策誘導は?
本年3月の告示以降、弊社に生活習慣病管理料等の施設基準にかかる院内掲示に関する問い合わせがいくつかあった。問い合わせ内容からも、特にリフィル処方箋のことを気にしている医療機関が多い印象を持っている。なお掲示内容については令和6年3月28日の事務連絡で、以下のように示されている。
当該保険医療機関において、患者の状態に応じ、
当該保険医療機関において、患者の状態に応じ、
- 28日以上の長期の投薬が可能であること
- リフィル処方箋を交付すること
のいずれの対応も可能であることを掲示すること。
現行でリフィル処方箋の交付に制度上のメリットがあるのは、特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床数200床以上)、紹介受診重点医療機関のような逆紹介割合を意識しなければならない病院に限られる。逆紹介割合の計算式は「逆紹介患者数÷(初診の患者数+再診の患者数)×1,000(‰)」となるため、リフィル処方箋で再診患者を減らして分母を小さくすれば、逆紹介割合が上がる。何らかの理由で地域の診療所等に逆紹介できない、でも外来の再診患者を減らしたいというときにリフィル処方箋が有効になる。
令和5年社会医療診療行為別統計から、医療機関のタイプ別に院外処方箋の交付状況を確認したところ、院外処方箋の80%近くは診療所から交付されているものの、リフィル処方箋に限ると診療所の割合は50%程度まで縮小する。絶対数が少ないとはいえ、診療所よりも、やはり病院のほうが交付しやすいようだ。
長期処方を行う時点で、多くの場合、症状の安定した慢性疾患であるケースが想定されるが、90日処方と、30日(3回まで)のリフィル処方では、服用期間中に何らかの問題が生じないかぎり、医療機関の立場からすればどちらも差はない。患者の立場でも、リフィル処方では自己負担額や保険薬局に行く手間が増えるため、同様に問題が生じないことを前提にすれば、忙しい人は90日処方を望むだろう(むしろ90日(3回まで)のリフィル処方を望むかもしれないが)。
少子高齢化の影響で大都市を除くほとんどの医療圏で外来患者の減少が見込まれている。そのような状況下でも医療費適正化計画等の動向を考えれば、リフィル処方箋の普及を推し進められる可能性は高い。また今後広がるだろう電子処方箋はリフィル処方との相性が良く、外来の受診回数の減少に一層の拍車がかかることは容易に想像できる。
医療上の必要性と患者ニーズ、さらに政策誘導に挟まれるなかで、医療機関としてどのように立ち振る舞うかは検討を始めておきたい。
【2024.8. 1 Vol.597 医業情報ダイジェスト】
現行でリフィル処方箋の交付に制度上のメリットがあるのは、特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床数200床以上)、紹介受診重点医療機関のような逆紹介割合を意識しなければならない病院に限られる。逆紹介割合の計算式は「逆紹介患者数÷(初診の患者数+再診の患者数)×1,000(‰)」となるため、リフィル処方箋で再診患者を減らして分母を小さくすれば、逆紹介割合が上がる。何らかの理由で地域の診療所等に逆紹介できない、でも外来の再診患者を減らしたいというときにリフィル処方箋が有効になる。
令和5年社会医療診療行為別統計から、医療機関のタイプ別に院外処方箋の交付状況を確認したところ、院外処方箋の80%近くは診療所から交付されているものの、リフィル処方箋に限ると診療所の割合は50%程度まで縮小する。絶対数が少ないとはいえ、診療所よりも、やはり病院のほうが交付しやすいようだ。
長期処方を行う時点で、多くの場合、症状の安定した慢性疾患であるケースが想定されるが、90日処方と、30日(3回まで)のリフィル処方では、服用期間中に何らかの問題が生じないかぎり、医療機関の立場からすればどちらも差はない。患者の立場でも、リフィル処方では自己負担額や保険薬局に行く手間が増えるため、同様に問題が生じないことを前提にすれば、忙しい人は90日処方を望むだろう(むしろ90日(3回まで)のリフィル処方を望むかもしれないが)。
少子高齢化の影響で大都市を除くほとんどの医療圏で外来患者の減少が見込まれている。そのような状況下でも医療費適正化計画等の動向を考えれば、リフィル処方箋の普及を推し進められる可能性は高い。また今後広がるだろう電子処方箋はリフィル処方との相性が良く、外来の受診回数の減少に一層の拍車がかかることは容易に想像できる。
医療上の必要性と患者ニーズ、さらに政策誘導に挟まれるなかで、医療機関としてどのように立ち振る舞うかは検討を始めておきたい。
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