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【続き】看護配置7対1は死守すべきか?

高齢化の進展で10対1病床にニーズ はシフトする
株式会社メディチュア  代表取締役 渡辺 優

■ 高齢化の進展で、7対1病床から10対1病床にニーズはシフトする

急性期一般入院料と地域一般入院料の病床数に占める急性期一般入院料1の割合について、都道府県別に高齢化率との関係を見た=グラフ2=。高齢化が進むと(グラフの上の方ほど)、急性期一般入院料1の病床割合は低くなる(グラフの左側に位置する)。高齢化により入院料1の看護必要度などの施設基準を満たすことが難しくなるとの見方ができる一方で、7対1から10対1の病棟へニーズがシフトするという見方もできる。

グラフ2 急性期一般入院料・地域一般入院料に占める急性期一般入院料1の病床比率と65歳以上人口比率の関係

各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(東北・関東信越・東海北陸・中国:2024年1月1日現在、その他:2024年2月1日現在)、国勢調査(2020年)を基に作成

今回の改定は、高齢患者への評価を厳しくした。そのため、7対1から10対1へのシフトが進むことが想定される。グラフ2で考えるならば、都道府県の点が左にシフトすることを後押しすることになる。
今日明日の戦術として、看護必要度をいかに維持するかが重要であることは言うまでもない。しかし、人口動態や診療報酬改定の方向性を大局的に捉えれば、今すぐではないにしても高齢化などの地域医療のニーズを踏まえ、7対1から10対1の入院料へのシフトを考えるべき病院は多いはずである。そして、検討対象の10対1の入院料には、急性期一般入院料だけでなく、今回の改定で新設された地域包括医療病棟入院料も含めることで、病院の持続性向上や地域における差別化につながる戦略を描くための選択肢が広がるのではないだろうか。


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【2024. 10. 15 Vol.602 医業情報ダイジェスト】