財務・税務
医療機関の源泉所得税について考える
救急対応を行っている医療機関は要確認
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之
12月となり、令和6年も最後の月を迎えることになりました。私個人の感想で恐縮ですが、今年の業務を振り返ると、公認会計士としての監査やコンサルティング業務もいろいろありましたが、もう一つの業務である税理士としての業務に時間を多く要したように思います。その理由の一つとして、医療機関に対する税務調査対応があります。
皆様の印象はいかがでしょうか。令和6年になり、皆様の医療機関でも税務調査を久しぶりに受けたというようなことはありませんか?新型コロナウイルス感染症が蔓延している時期には、医療機関への税務調査がストップしていた分、今年はその反動で多くなっている印象を受けます。
実際、今年は私が関与する監査先や税務顧問先でも多くの税務調査を受けています。また、税務調査の対象税目が法人税や消費税ではなく、源泉所得税の税務調査が突出して多いという点がポイントではないかと感じています。そこで、今回は、税務調査での指摘を踏まえ、医療機関の源泉所得税で指摘された論点のうち、特にご留意いただきたい 「宿日直手当の非課税適用」 ついて考えたいと思います。
皆様の印象はいかがでしょうか。令和6年になり、皆様の医療機関でも税務調査を久しぶりに受けたというようなことはありませんか?新型コロナウイルス感染症が蔓延している時期には、医療機関への税務調査がストップしていた分、今年はその反動で多くなっている印象を受けます。
実際、今年は私が関与する監査先や税務顧問先でも多くの税務調査を受けています。また、税務調査の対象税目が法人税や消費税ではなく、源泉所得税の税務調査が突出して多いという点がポイントではないかと感じています。そこで、今回は、税務調査での指摘を踏まえ、医療機関の源泉所得税で指摘された論点のうち、特にご留意いただきたい 「宿日直手当の非課税適用」 ついて考えたいと思います。
救急対応を行っている医療機関は要確認
最近の税務調査で特に指摘されやすく、影響が大きい論点がこの 「宿日直手当の非課税適用」 になります。令和6年4月から開始された 「医師の働き方改革」 もあり、医療機関の時間外労働の管理が問われています。医師等が長時間労働をせざるを得ない宿日直も、勤務日の状況や勤務先によって実態が大きく異なると思います。
「宿日直」 なのか、 「通常勤務」 なのか、夜間帯の医師等の働き方は急性期医療を提供しているか、慢性期中心の医療を提供しているなど、病院が受け入れる患者の特徴により大きく異なると考えられます。
このような背景があるなか、医療機関における源泉所得税の税務調査では、宿日直手当に対し、 「所得税基本通達 28-1」 に規定される宿日直料の取扱いを適用しているか否かが論点になっています。
― 所得税基本通達 28-1 ―
「宿直料又は日直料は給与等(法第28条第1項に規定する給与等をいう。以下同じ。)に該当する。ただし、次のいずれかに該当する宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となった勤務1回につき支給される金額(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事の価額を除く。)のうち4,000円(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税しないものとする。」
(1) 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料
(2) 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料
(3) 宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(以下この項においてこれらの金額を 「給与比例額」 という。)により支給される宿直料又は日直料(当該宿直料又は日直料が給与比例額とそれ以外の金額との合計額により支給されるものである場合には、給与比例額の部分に限る。)
この通達を適用し、宿日直手当に対し、4,000円までを非課税としている医療機関は注意が必要です。特に、救急診療等を行っている、急性期患者を受け入れている医療機関はこの通達を適用することは難しいと考えられます。
一般的に、労働基準監督署の許可を受け、その許可に沿って勤務しているとして救急診療等を行った場合でも通常勤務ではないと判断し、現状として寝食に係る弁償である宿日直手当を所得税基本通達28-1に規定するただし書に該当するものとして非課税としている医療機関は少なからずあるのではないかと思います。
しかし、税務調査では、救急病院あるいは急性期患者を受け入れているような医療機関では、実際の宿日直勤務は医師としての本来業務である医療行為(診療、治療等)を行うことを前提としており、通常勤務であると指摘を受けます。
これにより、該当する宿日直勤務は、所得税基本通達 28-1ただし書き(2)の非課税規定から除かれる通常勤務を行っている者に該当し、宿日直手当の全額が課税対象となるとされます。
また、対象となる職員は医師に限らず、看護師やコメディカル職員も同様であると考えられます。
昨今の働き方改革への対応に追われるなか、医療機関としても時間外労働の上限管理が問題視され、宿日直の取扱いを含め見直しが進められていると思います。税務的な論点にも関連するため、自らの医療機関にも影響がないか、改めて確認することが必要です。
【2024. 12. 1 Vol.605 医業情報ダイジェスト】
「宿日直」 なのか、 「通常勤務」 なのか、夜間帯の医師等の働き方は急性期医療を提供しているか、慢性期中心の医療を提供しているなど、病院が受け入れる患者の特徴により大きく異なると考えられます。
このような背景があるなか、医療機関における源泉所得税の税務調査では、宿日直手当に対し、 「所得税基本通達 28-1」 に規定される宿日直料の取扱いを適用しているか否かが論点になっています。
― 所得税基本通達 28-1 ―
「宿直料又は日直料は給与等(法第28条第1項に規定する給与等をいう。以下同じ。)に該当する。ただし、次のいずれかに該当する宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となった勤務1回につき支給される金額(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事の価額を除く。)のうち4,000円(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税しないものとする。」
(1) 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料
(2) 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料
(3) 宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(以下この項においてこれらの金額を 「給与比例額」 という。)により支給される宿直料又は日直料(当該宿直料又は日直料が給与比例額とそれ以外の金額との合計額により支給されるものである場合には、給与比例額の部分に限る。)
この通達を適用し、宿日直手当に対し、4,000円までを非課税としている医療機関は注意が必要です。特に、救急診療等を行っている、急性期患者を受け入れている医療機関はこの通達を適用することは難しいと考えられます。
一般的に、労働基準監督署の許可を受け、その許可に沿って勤務しているとして救急診療等を行った場合でも通常勤務ではないと判断し、現状として寝食に係る弁償である宿日直手当を所得税基本通達28-1に規定するただし書に該当するものとして非課税としている医療機関は少なからずあるのではないかと思います。
しかし、税務調査では、救急病院あるいは急性期患者を受け入れているような医療機関では、実際の宿日直勤務は医師としての本来業務である医療行為(診療、治療等)を行うことを前提としており、通常勤務であると指摘を受けます。
これにより、該当する宿日直勤務は、所得税基本通達 28-1ただし書き(2)の非課税規定から除かれる通常勤務を行っている者に該当し、宿日直手当の全額が課税対象となるとされます。
また、対象となる職員は医師に限らず、看護師やコメディカル職員も同様であると考えられます。
昨今の働き方改革への対応に追われるなか、医療機関としても時間外労働の上限管理が問題視され、宿日直の取扱いを含め見直しが進められていると思います。税務的な論点にも関連するため、自らの医療機関にも影響がないか、改めて確認することが必要です。
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