保険薬局

(15)天気痛と付き合う

職場での【気象病】どうしたらいい?
薬剤師 産業カウンセラー 荒井 なおみ
産業カウンセラーとして多くの方からお話を聞く機会がありますが、この時期、気象病で苦しまれている方が多いと感じています。気象病とは、気象の変化により、だるい、めまいがする、頭痛がする、おなかの調子が悪くなるなどの不調を感じることです。このような症状と上手に付き合って、少しでも快適に過ごすことができればいいですね。

1.【気象病】とは

まず、気象病とは何かを見ていきましょう。インターネット百科事典Wikipediaによれば以下のように記されています。頭痛だけでなく、さまざまな症状が出るようです。

近年認知されつつある病名で、気象・天候の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称。
「天気痛」とも。症状は頭痛、食欲不振、気分の落ち込み、鬱、めまい、メニエール病、喘息、腰痛、肩こり、神経痛、関節炎、リウマチ、蕁麻疹、吐き気など様々であり、「天気が悪いと古傷がうずく」と訴える人もいる。心臓発作や脳卒中のきっかけになり、生命にかかわる場合もある。

このように症状が多岐に渡るとなると、自身のまた誰かの不調不良は気象が関係しているのかもしれないな、と思ってみてもいいかもしれません。先日、台風2号が来る前でしたが、ある会合で複数の若者たちが朝から頭痛、めまい、だるさを訴え、昼になっても良くならず「体調不良者のテーブル」と称して、一か所に集まって昼休憩を取っていたことを思い出します。

さて、天気痛とも称される気象病ですが、ロート製薬株式会社と株式会社ウェザーニューズが共同で行った「天気痛調査2020」から概要をいくつかご紹介します。

  •  日本人の約6割が天気痛の自覚あり、女性は約8割が天気痛持ち
  •  発生頻度は平均週2日、約3割は週に3日以上症状あり
  •  天気痛の半数以上が「我慢できない」と回答、5人に1人は学校・仕事を休むなど生活に支障あり
  •  天気痛は2人に1人が雨の日に発症、女性の約3割は曇りの日でも発症
  •  台風接近時は天気痛持ちの約9割が、天気痛持ちでなくても約1割が体の不調を経験

本当に多くの方々が天気痛(気象病)に悩まされていることがわかります。この調査によると、天気痛で最も多い症状は頭痛ですが、性別や年代別で症状の出方に差があるとのこと。男性は腰痛が頭痛に次いで多く、若者は頭痛が多い一方、年齢を増すにつれて肩こり、首こり、関節痛が増えていました。

2.【気象病】と付き合う

体調が悪くても職場ではミスがないように終始神経を使い、また患者さんへ辛い顔を見せるわけにもいかないので無理して笑顔を作っている。そんな経験がある方もいらっしゃることでしょう。これだけ多くの方が悩んでいる気象病ですが、先の調査によれば4人に1人以上が「何も予防策を取っていない」と回答しています。また症状がひどい時の対策として約3割の方々が「痛くてもひたすら耐える」と回答しています。体調が悪くてもじっと耐えるしかない、これでは気持ちよく仕事をすることができません。私たちはこの気象病とどうやって付き合っていけばいいのでしょうか。

まずは気象病について理解しましょう。相手が分かれば対応の糸口も見つけやすくなります。自分が気象病かどうかも確認しておきたいですね。気象病でなかったら、異なる治療が必要です。ネットで探すといくつかセルフチェックを見つけることができます。また、気圧と自身の体調をメモしておくと関係があるかどうかが分かるでしょう。頭痛だけでなく、体調不良全般と気圧の関係を探ると、見えてくるものがあるかもしれません。

 気象病対策をいくつか挙げてみます。ご参考までに。
  • 気圧の波をチェックする
  • 気圧調整機能付き耳栓を使ってみる
  • 薬を飲む(あらかじめ準備しておくと安心)
  • 症状に合わせた生活や仕事の工夫をする
  • 耳マッサージをする(内耳の血流UP)
  • 生活習慣を整える(睡眠は重要)
  • 気圧と体調をメモする(無料・有料アプリの利用)
  • 持病の治療をしておく(悪化防止のため)

3.職場での【気象病】、どうしたらいい?

「天気痛調査2020」によると、隣にいるスタッフあるいは自分が天気痛を持っていてもおかしくないほどの割合で発症していました。天気痛は毎日起こるわけではなく、また症状が出ても予防や対症療法で辛い症状を緩和できる場合もあります。上手に付き合っていけたらいいなと思います。

①酷いときは遅刻・早退・欠勤もやむ無し
→ 【気象病】は甘えではありません。努力では症状をコントロールできないこともあります。
②どんな仕事ならできるか伝える
→ 通常の業務が出来ないほどであれば他の方に伝えましょう。休憩が必要か、他の仕事ならできるかなども伝えましょう。
③体調をリセットする
→ 昼休憩でしっかり休み、午前の疲れを癒してください。こまめに一息つく(患者さんが切れた時など)ことも大切です。

今回は、実は悩んでいる人の多い【気象病】について考えてみました。ご参考になれば幸いです。


【2023.7月号 Vol.326 保険薬局情報ダイジェスト】