保険薬局
SNSの運用について考える
SNSを運用するときに注意すべきこと
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行皆さん、SNSのアカウントはお持ちでしょうか?Twitter(X)、Facebook、Instagramのほか、最近では新しいSNS(Threads)がInstagramから派生して話題となりました。私自身がSNSを活用していることもあり、「会社や薬局の情報発信の方法のひとつとしてSNSを始めたほうが良いですか?」という相談を受けることが増えてきました。私個人としては、今後の業界の流れ、長い目でみると、SNSの運用はしたほうがより良いのではと考えております。今回は、SNSの運用についてご紹介いたします。
■今後の業界の流れを考えてみる
皆さんご存知の「患者のための薬局ビジョン」では、今後の薬局のあり方として、「門前からかかりつけ、そして地域へ」と表現されており、薬局が積極的に地域に貢献していくことが求められています。立地だけではなく患者からどう薬局を選んでもらうのか、という視点が大切になります。薬局のことを地域住民の方に知ってもらうためのひとつの情報発信方法として、SNSを活用することは強みになるはずです。また、若い世代にとってSNSを利用し情報収集することは日常となっていますので、会社のこと、薬局のこと、薬剤師のことを知ってもらうためのきっかけづくりとしても有用だと考えています。
■SNSとは?
そもそもSNSは、「Social Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)」の略です。日本語に置き換えると「社会的なネットワークを築くサービス」で、オンライン上で人と人とのつながりを深めるもの、コミュニケーションを交わすものだとご理解下さい。代表的なサー
ビスには次のようなものがあります。
ビスには次のようなものがあります。
- 文章/写真投稿型:LINE、Twitter、Threads、Facebook、Instagram、note、mixi
- 動画投稿型:YouTube、TikTok
情報を幅広く拡散させたい場合はTwitter、ビジュアルを通してブランドイメージを高めたい場合はInstagram、動画コンテンツでファンを獲得したい場合はYouTubeなど、それぞれの特性を理解して、目的に合わせた施策を行うことが求められます。
リアルな交流では、1日多くても10数人と会話することが精一杯ですが、SNS上では、ファンが増えていくと、ひとつの投稿で数千、数万人の方に声を届けることが可能です。
■SNSの運営事例
SNSを運営する目的は、人によってさまざまです。大きく分類すると、①プライベートでのやりとり、②業界内に向けて情報発信や営業を行う(BtoB)、③一般消費者や地域に向けた情報発信(BtoC)の3つがあると思います。よくみる事例として2つご紹介します。
(事例1)
会社(又は経営者)がTwitterを活用しており、日々、どのような考えを持っているか、どのような活動をしているかを配信。結果的に多くのファンを獲得しており、イベントや研修を開催したときの集客、求職者との相談を交わすことで採用に結びつけている。
(事例2)
薬局(又は個人)がInstagramやYouTubeを活用してお薬や健康に関することを一般消費者向けに情報発信。ファンを獲得することによって健康相談を受けたり、物販、店舗の集客に繋げている。
(事例1)
会社(又は経営者)がTwitterを活用しており、日々、どのような考えを持っているか、どのような活動をしているかを配信。結果的に多くのファンを獲得しており、イベントや研修を開催したときの集客、求職者との相談を交わすことで採用に結びつけている。
(事例2)
薬局(又は個人)がInstagramやYouTubeを活用してお薬や健康に関することを一般消費者向けに情報発信。ファンを獲得することによって健康相談を受けたり、物販、店舗の集客に繋げている。
■SNSを運用するときに注意すべきこと
SNSをはじめてみようと思ったときに注意すべきポイントを3つご紹介します。
①運用ルールを取り決める
情報発信力が高まることによってさまざまなメリットがある反面、SNSでは「炎上」とよばれる価値の低下を起こしてしまうデメリットもあります。従業員の軽率な投稿によって思わぬトラブルが起きてしまうこともあり得ます。あらかじめ、運用ルールをしっかり定めておくことをお勧めします。
②継続的に情報発信を続ける
運用し始めはモチベーションが高く情報発信を続けやすいですが、しだいに更新頻度が減っていき、自然消滅してしまうことも少なくありません。まずは、担当者自身ができるだけ負担なく続けられるような工夫が必要です。どのSNSでも、定期的に情報発信を続けていくことでファンが増え、コミュニケーションが活発になっていきますので、継続することが第一に大切です。
③属人的な運営にならないこと
経営者自身がアカウントを運用するのであれば問題ありませんが、企業や薬局のアカウント運営をひとりの担当者に任せてしまうことはリスクです。万が一、その方が退職した際に、せっかく多くのファンを獲得していても、アカウントを閉鎖せざるをえない状況になってしまう場合もあります。また、画像や動画に従業員に登場してもらう場合にも、事前に確認をとっておいたほうが良いでしょう。複数人で運営する体制をつくるなど、できるだけ属人的な運営にならないような工夫が必要です。
■最後に
冒頭でお伝えした通り、私自身は、今後の薬局のあり方などを考えていくと、SNSの運用はしたほうが良いと考えております。それは、薬局や薬剤師のことを世間一般の方に情報発信していくことが重要だと感じているためです。
情報を発信することが億劫だと感じている方も多いかと思いますので、まずは「情報収集の場」としてSNSをはじめてみることをおすすめします。
【2023.9月号 Vol.328 保険薬局情報ダイジェスト】
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