保険薬局

【続き】2024年度の調剤報酬改定をふまえて感じたこと

薬局経営者の視点として
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行

■薬局としてはプラスなの?マイナスなの?

今回の改定は、経営者の間で賛否が極端に分かれている印象を受けます。特に地域支援体制加算がマイナス7点となることに関しては、加算を既に取得している店舗にとっては、要件が厳しくなる一方で点数が下がるという課題があります。
一方で、全体としての基本料がプラス3点に増加していること、さらに連携強化加算と医療DX推進体制整備加算を取得できるかどうかが、結果として全体の点数がプラスに転じるかどうかに大きく影響します。

無菌調剤を積極的に行い、在宅医療を推進している店舗の場合、在宅薬学総合体制加算2の取得が可能であり、他のプラスになる点数も積極的に取得することで大幅なプラスが期待できる印象があります。
敷地内薬局にとっては、この改定が厳しい評価を受けることが予想されます。
また、薬局の薬剤師、事務職員についての賃上げの内容も今回の改定に加味した形で含まれており、そこを考慮する必要があります。

■薬局経営者の視点として

私自身は、今回の改定は、2015年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」に描かれた内容をさらに具体化して取り入れていると感じています。特に、地域支援体制加算の要件の強化として、健康サポート薬局と同様のOTC商品の取り扱い、そしてより一層、実績ベースの評価基準が導入されたことなどがその例です。また、地域の在宅医療に対する薬局への期待が高まっていることも感じています。

確かに、地域支援体制加算がマイナスになる点は、経営者として課題に感じますが、他の加算項目でのポジティブな変更を考慮すれば、これまでの取り組みが全体として評価された印象を受けます。
特に、在宅医療において、無菌調剤できる設備を整え、今までボランティアで行なっていたような内容もしっかりと評価されたことは非常に嬉しさを感じております。とはいっても、終末期ケアに携わるなかで、まだまだ評価を得たいところもあります。これからも積極的に実績を積み重ね、評価を得るための努力を続けていく必要があると感じています。

今回は、改めて2024年度の調剤報酬改定の大枠を整理しつつ、薬局経営者の視点として思うことをお伝えさせていただきました。

2026年には次の改定が控えています。今回の改定内容から、地域に根ざした薬局がさらに評価される方向に向かっていることが伺えます。そのため、方向性を理解し、早めに対策を練り、積極的に行動していくことが重要だと考えています。


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【2024.5月号 Vol.336 保険薬局情報ダイジェスト】