保険薬局
2024年度の調剤報酬改定をふまえて感じたこと
薬局としてはプラスなの?マイナスなの?
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行2024年度の調剤報酬改定の詳細が答申され、6月の施行に向けて届出の準備を進めている方も多いのではないでしょうか?
2年に1度の改定の内容によって、薬局の経営方針や薬剤師に求められる仕事内容にも変化が出ます。改定内容については既にご存知かと思いますが、改めて大枠を整理しつつ、薬局経営者の視点として思うこと、今後どのように動くべきかをお伝えさせていただきます。
2年に1度の改定の内容によって、薬局の経営方針や薬剤師に求められる仕事内容にも変化が出ます。改定内容については既にご存知かと思いますが、改めて大枠を整理しつつ、薬局経営者の視点として思うこと、今後どのように動くべきかをお伝えさせていただきます。
■2024年調剤報酬改定の主要なポイント
- 調剤基本料は全体として、現行から+3点に変更されます。
- 敷地内薬局は、現行の7点から5点に減少し、後発医薬品調剤加算や地域支援体制加算等も100分の10に減少し、多剤調剤時の薬剤料も減額されるなどの減算があります。
- 地域支援体制加算は全体として、現行から-7点に変更されます。加算の要件は大きく変更され、地域支援体制加算1又は3においては、10個の要件の内3つを満たす必要があります(必須項目あり)。地域支援体制加算2又は4に関しては、10個の要件の内8つを満たす必要があります。(2024年8月31日まで経過措置が適応されます。)
- 連携強化加算は現行の2点から5点に増加し、地域支援体制加算からは別枠に設定されます。
- 医療DX推進体制整備加算が月1回、4点で新設されます。
- 在宅医療に関わる加算として、在宅薬学総合体制加算1(15点)、2(50点)が新設されます。また、在宅移行初期管理料(230点)や、処方箋を交付する前に残薬調整を行った場合にも、在宅患者の重複投薬・相互作用等防止管理料が算定できるようになりました。
- 薬学的フォローアップに関する評価として、調剤後管理指導料(60点)が新設され、糖尿病患者や慢性心不全患者が対象になります。
- 10月から選定療養の仕組みがスタートします。具体的には、先発医薬品(後発医薬品の上市後5年以上経過したもの又は後発医薬品の置換率が50%以上となった長期収載品)を対象に、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とし、4分の1は保険給付の対象外となります。
■薬局としてはプラスなの?マイナスなの?
今回の改定は、経営者の間で賛否が極端に分かれている印象を受けます。特に地域支援体制加算がマイナス7点となることに関しては、加算を既に取得している店舗にとっては、要件が厳しくなる一方で点数が下がるという課題があります。
一方で、全体としての基本料がプラス3点に増加していること、さらに連携強化加算と医療DX推進体制整備加算を取得できるかどうかが、結果として全体の点数がプラスに転じるかどうかに大きく影響します。
無菌調剤を積極的に行い、在宅医療を推進している店舗の場合、在宅薬学総合体制加算2の取得が可能であり、他のプラスになる点数も積極的に取得することで大幅なプラスが期待できる印象があります。
敷地内薬局にとっては、この改定が厳しい評価を受けることが予想されます。
また、薬局の薬剤師、事務職員についての賃上げの内容も今回の改定に加味した形で含まれており、そこを考慮する必要があります。
一方で、全体としての基本料がプラス3点に増加していること、さらに連携強化加算と医療DX推進体制整備加算を取得できるかどうかが、結果として全体の点数がプラスに転じるかどうかに大きく影響します。
無菌調剤を積極的に行い、在宅医療を推進している店舗の場合、在宅薬学総合体制加算2の取得が可能であり、他のプラスになる点数も積極的に取得することで大幅なプラスが期待できる印象があります。
敷地内薬局にとっては、この改定が厳しい評価を受けることが予想されます。
また、薬局の薬剤師、事務職員についての賃上げの内容も今回の改定に加味した形で含まれており、そこを考慮する必要があります。
■薬局経営者の視点として
私自身は、今回の改定は、2015年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」に描かれた内容をさらに具体化して取り入れていると感じています。特に、地域支援体制加算の要件の強化として、健康サポート薬局と同様のOTC商品の取り扱い、そしてより一層、実績ベースの評価基準が導入されたことなどがその例です。また、地域の在宅医療に対する薬局への期待が高まっていることも感じています。
確かに、地域支援体制加算がマイナスになる点は、経営者として課題に感じますが、他の加算項目でのポジティブな変更を考慮すれば、これまでの取り組みが全体として評価された印象を受けます。
特に、在宅医療において、無菌調剤できる設備を整え、今までボランティアで行なっていたような内容もしっかりと評価されたことは非常に嬉しさを感じております。とはいっても、終末期ケアに携わるなかで、まだまだ評価を得たいところもあります。これからも積極的に実績を積み重ね、評価を得るための努力を続けていく必要があると感じています。
今回は、改めて2024年度の調剤報酬改定の大枠を整理しつつ、薬局経営者の視点として思うことをお伝えさせていただきました。
2026年には次の改定が控えています。今回の改定内容から、地域に根ざした薬局がさらに評価される方向に向かっていることが伺えます。そのため、方向性を理解し、早めに対策を練り、積極的に行動していくことが重要だと考えています。
【2024.5月号 Vol.336 保険薬局情報ダイジェスト】
確かに、地域支援体制加算がマイナスになる点は、経営者として課題に感じますが、他の加算項目でのポジティブな変更を考慮すれば、これまでの取り組みが全体として評価された印象を受けます。
特に、在宅医療において、無菌調剤できる設備を整え、今までボランティアで行なっていたような内容もしっかりと評価されたことは非常に嬉しさを感じております。とはいっても、終末期ケアに携わるなかで、まだまだ評価を得たいところもあります。これからも積極的に実績を積み重ね、評価を得るための努力を続けていく必要があると感じています。
今回は、改めて2024年度の調剤報酬改定の大枠を整理しつつ、薬局経営者の視点として思うことをお伝えさせていただきました。
2026年には次の改定が控えています。今回の改定内容から、地域に根ざした薬局がさらに評価される方向に向かっていることが伺えます。そのため、方向性を理解し、早めに対策を練り、積極的に行動していくことが重要だと考えています。
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