病院・診療所

入院時食事療養費アップの「おかわり」

持続性担保は重要なテーマ
株式会社メディチュア  代表取締役 渡辺 優

■ 「令和の米騒動」 でも、外食チェーンなどは業績良好

昨年の夏、小売店の店頭から米が姿を消した。 「令和の米騒動」 とも呼ばれた現象は、24年度産の新米が出回りはじめたこともあり、ようやく落ち着きを見せつつある。しかし、小売価格は高止まりしたままで、24年11月の東京都区部のコシヒカリ(5kg)は3,985円であった=グラフ1=。

グラフ1 うるち米(単一原料米,  「コシヒカリ」 )の小売価格推移

総務省統計局 小売物価統計調査(動向編)を基に作成

病院では、米の価格上昇に対し、抜本的な対策を講じることができない。一方で、大手外食チェーンや冷凍食品メーカーなどが値上げを発表、また、大手弁当チェーンでは使用するごはんの量を減らすなどの対応を取っている※1。
※1: NHK 2024年9月30日ニュース 「コメ値上がり受け 大手外食チェーンなどライス値上げや減量も」 、2024年11月18日ニュース 「 『すき家』 の牛丼 最大で50円値上げへ コメ値上がりで」

このような柔軟な対応が業績にはプラスに働いていると思われる。日本経済新聞によると、外食22社の6~8月決算は、純利益の合計が前年同期比20%増であったと報じている※2。
※2: 日本経済新聞 2024年10月19日 朝刊 「外食22社、純利益20%増、6~8月 値上げと効率化 奏功」

■米どころも価格上昇 持続性への懸念が増す制度欠陥では

米の価格上昇は全国的な事象である。2022年、23年、24年の各10月のコシヒカリの価格で日本地図を塗り分けると、24年の急騰ぶりは明らかである。

グラフ 2 うるち米(単一原料米,  「コシヒカリ」 )の小売価格推移

※県庁所在地の数値を都道府県の代表値として使用 総務省統計局 小売物価統計調査(動向編)を基に作成

2024年10月の最高値は、秋田市の4,057円であった。米どころの秋田で価格が高くなるメカニズムは正直理解しがたいが、それは病院経営にとって本質的な問題ではない。ある程度安定的に米が流通するようになった現時点において、小売価格は以前の水準に戻る気配がない。全国的に価格高騰したままであることが、病院経営において重い課題であ
る。前述の外食チェーンのように、入院患者に費用負担をお願いすることもできない。弁当チェーンのようにごはんの量を減らすことは、治療食の概念に照らし合わせれば、ご法度に違いない。

2024年度診療報酬改定では、物価・人件費高騰を反映して入院時食事療養費が1食当たり30円上がった。しかし、改定議論のあとに沸き起こった 「令和の米騒動」 。この半年の米の小売価格上昇は、1食当たり30円程度(常食2,000kcal、米飯220gで計算)となる。今すぐにでも、入院時食事療養費の30円アップの 「おかわり」 をしたいのが病院の本音だろう。

社会的インフラである医療において、持続性担保は重要なテーマである。食費・水道光熱費の高騰などの物価変動や大規模自然災害などに対し堅牢な仕組みを構築すべきである。従前より提言しているように運輸・航空業界の燃油サーチャージの制度や、保険会社の異常危険準備金の制度など他産業の持続性担保の仕組みを参考にすべきである。


【2025. 1. 15 Vol.608 医業情報ダイジェスト】