介護施設
2040年に向けた議論が開始
介護サービス提供の3つのパターン
株式会社メディックプランニング 代表取締役 三好 貴之
2024年12月23日に厚労省介護保険部会にて、いよいよ 「2040年」 に向けた議論が開始されました。2024年度の介護保険法改正までは、 「2025年に向けた」 議論で、人口ボリュームの一番大きな 「団塊の世代」 が75歳になる2025年に向けて地域包括ケアシステムを構築してきたわけです。そして、いよいよ今年が2025年で節目の年となります。
地域包括ケアシステムは、 「住まい」 を中心に、 「医療」 「介護」 「生活支援・介護予防」 を連携させ、いかに住み慣れた地域で、自立した生活ができるかを目指したものです。当初は 「医療」 ・ 「介護」 と 「住まい」 との連携が図られ、多くの医療機関に 「在宅復帰要件」 ができ、老健は 「在宅復帰・在宅療養支援機能」 が追加されました。また、通所や訪問サービスにも機能訓練加算や生活機能向上連携加算など自立支援に向けた加算が新設されていきました。
地域包括ケアシステムは、 「住まい」 を中心に、 「医療」 「介護」 「生活支援・介護予防」 を連携させ、いかに住み慣れた地域で、自立した生活ができるかを目指したものです。当初は 「医療」 ・ 「介護」 と 「住まい」 との連携が図られ、多くの医療機関に 「在宅復帰要件」 ができ、老健は 「在宅復帰・在宅療養支援機能」 が追加されました。また、通所や訪問サービスにも機能訓練加算や生活機能向上連携加算など自立支援に向けた加算が新設されていきました。
▼介護サービス提供の3つのパターン
これから2040年に向けて、さらに高齢化が進み、要介護者が増加していきます。しかし、今までと違う点は、 「全国一律」 同じような高齢化が進んでいくわけではなく、3つのパターンに分けられることです(図)。一つは、①中山間部・人口減少地域で、すでに高齢化もピークが終わり、これから高齢者も含めて人口減少しながら徐々に介護需要も減少していく地域、二つ目は、②都市部で、2040年以降も高齢者、要介護者共に増加していく地域、三つめは、当面、③高齢者、要介護者が増加から減少に転じる地域です。

第116回社会保障審議会介護保険部会令和6年12月23日(月)
① 中山間部・人口減少地域は、2022年~2025年の間にすでに介護サービス利用者数が減少している地域で、これから計画的にサービス提供を減少させていくことになります。
② 都市部地域では、2040年以降も高齢者、要介護者の人口が増え続け、まだまだ介護サービスの提供を増加させていかなければなりません。一方で、労働生産人口は急激に減少していくため、働き手の確保や生産性向上が求められます。
③ ①②以外の地域で、2025年以降に高齢者、要介護者のピークを迎えるものの、その後、減少へと転じる地域です。そのピークも2022年比で 「+20%未満」 の地域が全体の約44%を占め、今後の需要が急増しない地域も多くあります。このような地域では、介護サービスの増加と減少の両方を考えながら介護サービスの提供を決めていく必要があります。

第116回社会保障審議会介護保険部会令和6年12月23日(月)
① 中山間部・人口減少地域は、2022年~2025年の間にすでに介護サービス利用者数が減少している地域で、これから計画的にサービス提供を減少させていくことになります。
② 都市部地域では、2040年以降も高齢者、要介護者の人口が増え続け、まだまだ介護サービスの提供を増加させていかなければなりません。一方で、労働生産人口は急激に減少していくため、働き手の確保や生産性向上が求められます。
③ ①②以外の地域で、2025年以降に高齢者、要介護者のピークを迎えるものの、その後、減少へと転じる地域です。そのピークも2022年比で 「+20%未満」 の地域が全体の約44%を占め、今後の需要が急増しない地域も多くあります。このような地域では、介護サービスの増加と減少の両方を考えながら介護サービスの提供を決めていく必要があります。
▼どこ向けのサービスを提供するか
筆者は、全国の自治体の介護サービスの需要を分析しています。①中山間部・人口減少地域では、軽度者の減少と重度者の増加がみられる地域が増えてきています。このような地域では、通所や訪問サービスが届きにくく、入所サービスのニーズが高まってくると思います。
② 都市部に関しては、今まで通り 「要支援」 の利用者が増加します。要支援者のニーズとしては、通所におけるリハビリや介護予防のニーズが高まってくると思います。
三つめの①②以外の地域が、おそらくここ数年で大きく変わってくると思います。このような地域は、今までは②都市部と同じように要支援が増加していましたが、ここ数年 「要介護1~3」 が増加しています。つまり、同じ通所サービスでも要支援を対象とした 「フィットネスデイ」 「運動特化型」 では不十分となり、理学療法士や作業療法士を配置した機能訓練が充実した通所のニーズが高まってくると思います。さらに、通所だけ、訪問だけのサービスよりも、前回の介護報酬改定にて議論されていた 「通所+訪問」 の複合サービスのニーズが高まってくるのではないでしょうか。
さらに、要支援レベルでは、まだ、自分で外出できていましたが、徐々に車の運転や公共交通機関の利用ができなくなり、人の手を借りないといけなくなります。しかし、地方部では逆に公共交通機関が減少し、タクシー不足が顕著であり、外出支援のための介護タクシーや買い物支援などの保険外サービスのニーズが高まってくるでしょう。
介護サービスのニーズは、人口動態にかなり影響を受けます。自事業所の地域が①~③のどの地域にあるかによって、今後の経営戦略は大きく変わります。
【2025. 2. 15 Vol.610 医業情報ダイジェスト】
② 都市部に関しては、今まで通り 「要支援」 の利用者が増加します。要支援者のニーズとしては、通所におけるリハビリや介護予防のニーズが高まってくると思います。
三つめの①②以外の地域が、おそらくここ数年で大きく変わってくると思います。このような地域は、今までは②都市部と同じように要支援が増加していましたが、ここ数年 「要介護1~3」 が増加しています。つまり、同じ通所サービスでも要支援を対象とした 「フィットネスデイ」 「運動特化型」 では不十分となり、理学療法士や作業療法士を配置した機能訓練が充実した通所のニーズが高まってくると思います。さらに、通所だけ、訪問だけのサービスよりも、前回の介護報酬改定にて議論されていた 「通所+訪問」 の複合サービスのニーズが高まってくるのではないでしょうか。
さらに、要支援レベルでは、まだ、自分で外出できていましたが、徐々に車の運転や公共交通機関の利用ができなくなり、人の手を借りないといけなくなります。しかし、地方部では逆に公共交通機関が減少し、タクシー不足が顕著であり、外出支援のための介護タクシーや買い物支援などの保険外サービスのニーズが高まってくるでしょう。
介護サービスのニーズは、人口動態にかなり影響を受けます。自事業所の地域が①~③のどの地域にあるかによって、今後の経営戦略は大きく変わります。
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