保険薬局
セルフメディケーション時代における薬局の役割
次世代薬局のポイント・オブ・ビュー[最終回]
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行
少子高齢化の進展に伴い、医療費の増加は日本にとって喫緊の課題となっています。そのなかで、自らの健康を管理し、軽度の体調不良には適切に対応するセルフメディケーションの重要性はますます高まっています。
今後の医療を持続可能にするためには、セルフメディケーションの推進が不可欠であり、その実現には薬局の役割が大きいと考えています。薬局は単に処方薬を提供する場ではなく、地域の健康相談の拠点としての機能がより一層求められるようになるはずです。今回は、セルフメディケーションの時代において、薬局が担うべき役割について考察します。
今後の医療を持続可能にするためには、セルフメディケーションの推進が不可欠であり、その実現には薬局の役割が大きいと考えています。薬局は単に処方薬を提供する場ではなく、地域の健康相談の拠点としての機能がより一層求められるようになるはずです。今回は、セルフメディケーションの時代において、薬局が担うべき役割について考察します。
■セルフメディケーションの現状
医療費抑制の観点から、国はセルフメディケーション税制の導入や市販薬の活用促進を進めています。スイッチOTCの増加により、市販薬の選択肢は広がっていますし、健康食品やサプリメント市場も拡大しています。そして、インターネットやSNSの普及により、誰でも手軽に健康情報を収集できるようになりました。
その一方で、情報が氾濫し、誤情報や不確かな知識が広がるという問題も指摘されています。市販薬の選択肢が増えたことで利便性が向上した一方で、病院を受診すべきかどうかの判断や、副作用・併用薬のリスク管理には、依然として専門家のサポートが不可欠な場面も多くあります。
その一方で、情報が氾濫し、誤情報や不確かな知識が広がるという問題も指摘されています。市販薬の選択肢が増えたことで利便性が向上した一方で、病院を受診すべきかどうかの判断や、副作用・併用薬のリスク管理には、依然として専門家のサポートが不可欠な場面も多くあります。
■薬局が果たすべき役割
薬局にはセルフメディケーションを支援する役割が一層求められています。例えば、地域支援体制加算の要件には、48薬効群のOTC医薬品の取り扱いが含まれており、薬局が積極的にセルフメディケーションに関与することが期待されています。地域のかかりつけ薬局として、単に処方薬を提供するだけでなく、健康相談の拠点としての機能がこれまで以上に求められています。
・市販薬の適切な提供、アドバイス
処方箋がなくても気軽に相談できる環境を整え、症状に適した市販薬を提供することは、薬局の重要な役割のひとつです。また、服薬履歴をもとに、副作用や併用薬のリスクを管理することで、より安全なセルフメディケーションを支援できます。
さらに、市販薬の提供にとどまらず、症状を見極めたうえで 「病院を受診すべきかどうか」 の判断をサポートすることも重要です。これにより、病気の早期発見や重症化の防止にも貢献できます。
さらに、市販薬の提供にとどまらず、症状を見極めたうえで 「病院を受診すべきかどうか」 の判断をサポートすることも重要です。これにより、病気の早期発見や重症化の防止にも貢献できます。
・未病予防への取り組み、健康サポートの拡充
健康食品やサプリメントの市場が拡大する一方で、誤った情報が広まっていることも課題です。薬局は、専門家として正しい知識を提供し、適切な健康管理をサポートする役割を担うべきでしょう。
また、健康測定や栄養相談を通じた健康支援や、症状が気になる場合の適切な医療機関への受診勧奨も、薬局の大切な役割のひとつです。
また、健康測定や栄養相談を通じた健康支援や、症状が気になる場合の適切な医療機関への受診勧奨も、薬局の大切な役割のひとつです。
■薬局が一歩踏み出せない理由
前述のように、セルフメディケーションにおいて薬局に求められる役割は次第に明確になってきています。その一方で、経営的な視点に立つと、薬局が積極的に取り組むことにためらいを感じる要因があるのも事実です。
まず、保険調剤とOTC医薬品の販売を比較すると、OTC医薬品は利幅が小さく、経営的なメリットを得にくいという課題があります。十分な品揃えと一定の販売数量がなければ、利益を確保するのが難しいのが現状です。
さらに、現在の調剤報酬制度では、未病予防に対する評価は反映されていません。そのため、健康支援の取り組みを行っても、物販やサービスに直接結びつけなければ、経営的な収益につなげるのが難しい状況にあります。
まず、保険調剤とOTC医薬品の販売を比較すると、OTC医薬品は利幅が小さく、経営的なメリットを得にくいという課題があります。十分な品揃えと一定の販売数量がなければ、利益を確保するのが難しいのが現状です。
さらに、現在の調剤報酬制度では、未病予防に対する評価は反映されていません。そのため、健康支援の取り組みを行っても、物販やサービスに直接結びつけなければ、経営的な収益につなげるのが難しい状況にあります。
■地域のかかりつけ薬局としての使命
では、薬局はこのまま現状維持の姿勢を続けてよいのでしょうか。私は、セルフメディケーションの推進は、これからの医療において非常に重要な役割を果たすと考えてます。
また、積極的に取り組むことで、地域住民からの信頼を得るだけでなく、薬局のファンづくりにもつながり、結果的に大きなメリットをもたらすと考えています。確かに、短期的には直接の利益につながりにくいかもしれません。しかし、地域に根ざしたかかりつけ薬局として長く愛されるためには、こうした取り組みが不可欠です。
また、積極的に取り組むことで、地域住民からの信頼を得るだけでなく、薬局のファンづくりにもつながり、結果的に大きなメリットをもたらすと考えています。確かに、短期的には直接の利益につながりにくいかもしれません。しかし、地域に根ざしたかかりつけ薬局として長く愛されるためには、こうした取り組みが不可欠です。
■まとめ
現在の医療保険制度が今後も変わらず維持されるとは考えにくく、保険適用外となるセルフメディケーションの分野は、確実に拡大していくでしょう。その中で、薬局が地域の健康相談の拠点としてどのような役割を果たしていくかは、今後ますます重要な課題となります。OTC医薬品の販売や未病予防へのアプローチは、薬局や薬剤師にとって大きなやりがいのある分野です。日本の医療を持続可能なものとするためにも、まずは地域の薬局が率先して、健康を支える存在としての役割を果たしていきましょう。
【2025.4月号 Vol.347 保険薬局情報ダイジェスト】
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