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効率性係数と複雑性係数の関係に変化あり
自助努力が係数に反映しやすくなった
株式会社メデュアクト 代表取締役 流石 学令和6年度改定では、DPC制度のルールが大きく見直された。
変更点の1つで今回テーマに取り上げるのが、効率性係数の算出根拠となる効率性指数の計算方法が変わったことだ。効率性係数は機能評価係数Ⅱを構成する係数の1つで、各医療機関における在院日数短縮の努力を評価した係数である。
効率性指数の従来と新制度の計算方法は以下の通りとなる。なお、当該医療機関において12症例(1症例/月)以上ある診断群分類のみを計算対象とすること、包括評価対象の診断群分類のみを計算対象とすることへの変更はない。
変更点の1つで今回テーマに取り上げるのが、効率性係数の算出根拠となる効率性指数の計算方法が変わったことだ。効率性係数は機能評価係数Ⅱを構成する係数の1つで、各医療機関における在院日数短縮の努力を評価した係数である。
効率性指数の従来と新制度の計算方法は以下の通りとなる。なお、当該医療機関において12症例(1症例/月)以上ある診断群分類のみを計算対象とすること、包括評価対象の診断群分類のみを計算対象とすることへの変更はない。
■従来の計算方法
〔全DPC/PDPS対象病院の平均在院日数〕/〔当該医療機関の患者構成が、全DPC/PDPS対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数〕
■新制度の計算方法
〔全DPC/PDPS対象病院の患者構成が、当該医療機関と同じと仮定した場合の平均在院日数〕/〔当該医療機関の平均在院日数〕
効率性指数の計算にあたり、従来は自院の患者構成を、全DPC/PDPS対象病院の患者構成に置き換えて計算していた。新制度では逆になり、全DPC/PDPS対象病院の疾患構成が自院の患者構成と同じと仮定した場合となる。そのため従来は効率性指数を効率的に上げるためには、全国的に患者数の多い診断群分類の平均在院日数を短くすることが有効だった。しかし新制度では全国の患者数に関係なく、自院で患者数の多い診断群分類の重要度が高くなった。
またあまり認識されていないが、従来の計算ルールでは、自院の対象患者は年間12症例以上の診断群分類のみであるものの、分子の 「全DPC/PDPS対象病院の平均在院日数」 はそれ以外の診断群分類も含めて計算していた。そのため、個々の診断群分類の平均在院日数が入院期間Ⅱを超えていても、疾患構成によって効率性係数が高くなるケースがあった。
効率性指数の計算にあたり、従来は自院の患者構成を、全DPC/PDPS対象病院の患者構成に置き換えて計算していた。新制度では逆になり、全DPC/PDPS対象病院の疾患構成が自院の患者構成と同じと仮定した場合となる。そのため従来は効率性指数を効率的に上げるためには、全国的に患者数の多い診断群分類の平均在院日数を短くすることが有効だった。しかし新制度では全国の患者数に関係なく、自院で患者数の多い診断群分類の重要度が高くなった。
またあまり認識されていないが、従来の計算ルールでは、自院の対象患者は年間12症例以上の診断群分類のみであるものの、分子の 「全DPC/PDPS対象病院の平均在院日数」 はそれ以外の診断群分類も含めて計算していた。そのため、個々の診断群分類の平均在院日数が入院期間Ⅱを超えていても、疾患構成によって効率性係数が高くなるケースがあった。
■効率性係数・複雑性係数を双方同時に高めやすくなった?
図に令和5年度、令和6年度の効率性係数、複雑性係数における、それぞれの上位20%と下位20%に該当する医療機関の割合を示した。
まず効率性係数、複雑性係数がともに上位20%に該当する病院(グループ1)は、令和5年度は2%に満たなかったものの、令和6年度は3倍以上に増加した。いずれも下位20%に該当する病院(グループ4)も同様で、令和6年度は割合が3倍以上に増加している。
一方で、効率性係数が上位20%、複雑性係数が下位20%に該当する病院(グループ2)、効率性係数が下位20%、複雑性係数が上位20%(グループ3)に該当する病院の割合は、令和5年度と比較して半数程度に減少した。
グループ1に、令和6年度から該当することになった病院にどのような傾向があるかと言えば、令和5年度の効率性係数は上位20%ではなかったものの、複雑性係数は上位20%であった病院が多い。複雑性係数のポジションは変わらず、効率性指数の計算方法が変わったことで、効率性係数が上位20%に上がったというパターンだ。
グループ4に該当する病院も同様で、複雑性係数が下位20%だったところに、計算方法の変更によって効率性係数の相対的な位置が低下した病院が多い。効率性係数が上位20%から下位20%に低下し、グループ2からグループ4に移行した病院もある。
まず効率性係数、複雑性係数がともに上位20%に該当する病院(グループ1)は、令和5年度は2%に満たなかったものの、令和6年度は3倍以上に増加した。いずれも下位20%に該当する病院(グループ4)も同様で、令和6年度は割合が3倍以上に増加している。
一方で、効率性係数が上位20%、複雑性係数が下位20%に該当する病院(グループ2)、効率性係数が下位20%、複雑性係数が上位20%(グループ3)に該当する病院の割合は、令和5年度と比較して半数程度に減少した。
グループ1に、令和6年度から該当することになった病院にどのような傾向があるかと言えば、令和5年度の効率性係数は上位20%ではなかったものの、複雑性係数は上位20%であった病院が多い。複雑性係数のポジションは変わらず、効率性指数の計算方法が変わったことで、効率性係数が上位20%に上がったというパターンだ。
グループ4に該当する病院も同様で、複雑性係数が下位20%だったところに、計算方法の変更によって効率性係数の相対的な位置が低下した病院が多い。効率性係数が上位20%から下位20%に低下し、グループ2からグループ4に移行した病院もある。
■自助努力が係数に反映しやすくなった
従来の計算方法では、疾患構成によって効率性係数が上がるケースがあった。具体的には眼科、小児科、耳鼻咽喉科等の入院日数の短い患者が多いと、効率性係数は高くなりやすかった。しかし、新制度の計算方法では、全DPC/PDPS対象病院の疾患構成が自院の患者構成と同じと仮定した場合となるため、疾患構成による有利、不利といった状況が生じづらくなった。
筆者はこれまで、効率性係数は「自助努力で上げることのできる係数」だと説明してきたが、新制度では自助努力がより反映しやすくなったと言えるだろう。
かつては、全国的に入院患者数の多い診断群分類の平均在院日数を短くすることが効率性指数の計算に有利に働いたが、新制度では自院で患者数の多い診断群分類の在院日数を短縮することがポイントになる。実際、診断群分類ごとの平均在院日数が入院期間Ⅱと比較して短くても、疾患構成の関係で効率性係数が上がりづらかった病院では、今回の改定によって効率性係数が大幅に上がっている。
競技スポーツと同じで、ルールが変われば戦略を変えなければならない。ルール変更は追い風にも、向かい風にもなりうる。院内の病床管理の状況を再度確認したい。
【2024. 10. 1 Vol.601 医業情報ダイジェスト】
筆者はこれまで、効率性係数は「自助努力で上げることのできる係数」だと説明してきたが、新制度では自助努力がより反映しやすくなったと言えるだろう。
かつては、全国的に入院患者数の多い診断群分類の平均在院日数を短くすることが効率性指数の計算に有利に働いたが、新制度では自院で患者数の多い診断群分類の在院日数を短縮することがポイントになる。実際、診断群分類ごとの平均在院日数が入院期間Ⅱと比較して短くても、疾患構成の関係で効率性係数が上がりづらかった病院では、今回の改定によって効率性係数が大幅に上がっている。
競技スポーツと同じで、ルールが変われば戦略を変えなければならない。ルール変更は追い風にも、向かい風にもなりうる。院内の病床管理の状況を再度確認したい。
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