組織・人材育成
正しい目標設定とそのための訓練
目標管理における個人の目標とは何か
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
最近は、多くの病院が目標管理を導入するようになりました。目標管理は、上司と部下とで話し合って決めた目標が人事評価の基準ですから、その目標を達成したか否かの結果を評価することは、それほど難しくなく、客観的な評価が可能です。また、部署の目標からブレイクダウンされた正しい目標であれば、職員が目標を達成することで、病院の目標も達成され、経営的にも安定するはずです。すなわち、目標管理の目標が達成され、その職員の人事考課の結果が高くなり賃金も上がり人件費が増えたとしても、目標達成によって医業収益が増えていれば、経営的にも何ら問題はありません。したがって、目標管理の人事評価こそ、仕事と賃金のミスマッチが最も小さくなるはずです。
しかし、この前提は、真の目標管理制度を導入した場合に限ります。多くの病院で、現在行われている目標管理のシートを読ませてもらうと、能力を開発するような目標がほとんどであり、とても部署目標からブレイクダウンされた目標とは思えない目標が散見されます。これでは、仕事と賃金のミスマッチは大きくなるばかりではないでしょうか。
そこで今回は、目標管理の目標のあるべき姿と、それができるようにするための訓練について考えます。
しかし、この前提は、真の目標管理制度を導入した場合に限ります。多くの病院で、現在行われている目標管理のシートを読ませてもらうと、能力を開発するような目標がほとんどであり、とても部署目標からブレイクダウンされた目標とは思えない目標が散見されます。これでは、仕事と賃金のミスマッチは大きくなるばかりではないでしょうか。
そこで今回は、目標管理の目標のあるべき姿と、それができるようにするための訓練について考えます。
目標管理における個人の目標とは何か
病院は1年間の事業計画を立てますが、そこには、医業収益を5%上げるといった計画もあるでしょう。医業収益を上げなければ、職員の賃金を上げることもできず、経営は維持できません。すなわち、5%増の医業収益は1年後の病院のあるべき姿であり、病院の目標です。この5%増の医業収益は、普通に考えれば、現状と同じことをしていたのでは達成するはずはありません。達成するために各部署が何をするかを計画します。これが部署の目標です。例えば、地域連携室が、病院の収益を上げるために、地域の開業医からの紹介件数を10%増やすという目標を立てたとします。これを目標に掲げたら自動的に紹介件数が増えるのであれば誰も苦労はしません。目標とすべき紹介件数と現状の紹介件数の差異(ギャップ)を埋めるには、さまざまな問題を解決しなければならないはずです。開業医の先生たちが、病院がどのような患者さんの受け入れが可能か知らないために紹介してもらえないという問題があるのであれば、その解決を誰かにしてもらわなければなりません。すなわち、この問題解決が、個人の目標なのです。このように、病院の目標達成のために部署の目標が立てられ、部署の目標を達成するために、個人の目標が立てられていくことを、目標をブレイクダウンすると言います。したがって、この形ができていなければ目標管理制度を導入しているとは言えないわけです。
目標管理制度の運用をあるべき姿にするためにも、いくつかの課題はあるでしょうが、まずは、管理職や指導職が目標管理の本質を理解しなければなりません。本質とは、このブレイクダウンと、目標の達成手段が具体的に書かれているか、です。すなわち、何を、どの程度、いつまでに、どのような方法でするのかが明確に書かれた目標でなければなりません。目標達成に向けて個人がやるべき行動が具体的に書かれていなければ、上司は安心して目標を任せることはできませんし、それが曖昧では、個人の責任も曖昧となり、個人の秘めている力を引き出すことはできません。逆に、目標管理制度を正しく運用できれば、個人の秘めたる力を引き出し、達成感を感じさせることができます。この状態が、最も人を成長させることができる瞬間だと考えます。目標管理制度こそ、職員に真の力を付けさせる能力開発のツールでもあるのです。
目標管理制度の運用をあるべき姿にするためにも、いくつかの課題はあるでしょうが、まずは、管理職や指導職が目標管理の本質を理解しなければなりません。本質とは、このブレイクダウンと、目標の達成手段が具体的に書かれているか、です。すなわち、何を、どの程度、いつまでに、どのような方法でするのかが明確に書かれた目標でなければなりません。目標達成に向けて個人がやるべき行動が具体的に書かれていなければ、上司は安心して目標を任せることはできませんし、それが曖昧では、個人の責任も曖昧となり、個人の秘めている力を引き出すことはできません。逆に、目標管理制度を正しく運用できれば、個人の秘めたる力を引き出し、達成感を感じさせることができます。この状態が、最も人を成長させることができる瞬間だと考えます。目標管理制度こそ、職員に真の力を付けさせる能力開発のツールでもあるのです。
実際の目標を持ち寄り、チェックリストを作成してチェックする
実際には、目標設定で必要と考えることは他にもあります。筆者が使っているチェックリストは15項目ほどありますが、まずは、先述のブレイクダウンと目標の達成手段をきちんと書くことを実現しようとすれば、この4項目のチェックリストを作成して訓練をすればよいでしょう。すなわち、5名ほどのグループの中で、自分が立てた目標を説明してもらい、他のメンバーが、チェックリストを基にチェックをします。チェックをするにあたり、メンバーは、目標の内容を理解するためにさまざまな質問をしますから、発表者は、自分の書いた内容や表現では具体性がなく曖昧であることに気付くはずです。
この訓練のよいところは、正しいチェックをしようと他の部署の業務に耳を傾け理解しようと努めることと、他の人の目標のほうが、自分の目標よりも問題点に気付きやすいようで、正しい指摘ができることです。最近始めた訓練方法ですが、このような成果を実感していますので、一度やられることをお勧めします。
【2023. 7. 15 Vol.572 医業情報ダイジェスト】
この訓練のよいところは、正しいチェックをしようと他の部署の業務に耳を傾け理解しようと努めることと、他の人の目標のほうが、自分の目標よりも問題点に気付きやすいようで、正しい指摘ができることです。最近始めた訓練方法ですが、このような成果を実感していますので、一度やられることをお勧めします。
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