組織・人材育成
視野を広げると心が豊かになる
リーダーの視野の変化が組織に与える影響について
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
季節の変わり目で免疫が落ちていることも影響しているのか、COVID-19やインフルエンザ、RSウイルスなどの感染症が増えているようですね。皆様はお変わりありませんか?さて、今回は忙しい業務の中で視野が狭くなってしまったことで苦しい心の内を吐露された院長先生の事例から、リーダーの視野の変化が組織に与える影響について考えていきたいと思います。
ケース:
日本の真ん中、住宅街の中にあるクリニックのお話です。このクリニックは院長先生が「この地域の健康意識を高めたい」という熱い想いから開院されたクリニックです。開院当初は院長先生の想いが上手く伝わらず、スタッフとの想いのズレから数々の人間関係トラブルが発生していたそうですが、組織作りについて勉強し始めたことで「院長である自分自身がスタッフを理解しなければならない!」と思い立ち、少しずつスタッフとの会話が増え、院長先生の考えを理解するスタッフが増えていったのでした。
そうして月日は過ぎ、家庭の都合などでスタッフが入れ替わったり、患者数が増えたことで新しい医師が加わったり、クリニックの環境は変化していきました。相変わらず院長先生はより良い組織づくりに励んでいたのですが、年々年を重ねていく毎に感じる体の疲れの蓄積やそれと対照的に増えていく業務に、院長先生は心身ともに徐々に追い詰められてきていました。
院長先生「スタッフは頑張っています。本当に頑張ってくれている。でも、クリニックとしての業務の根幹である診察は医師である私がやらないといけない。新しい医師はいるけど小さなお子さんを抱えているから急な休みも発生してしまう。そうなると患者さんに申し訳が無い。本当に申し訳無い…。良い医師に入職してほしいけど、全然見つからないし。正直に言うと、もっとスタッフに頑張ってほしいと思ってしまう自分がいる。(スタッフに対して)頑張っていないとは思わないけど…今の状態であと10年続けられる自信がないのです……」涙ながらに語ります。
この院長先生からのご依頼で、「より業務効率化を図るためにはどうしたら良いか」という議題で研修が行われました。
全体研修の中で活発な意見を交わすスタッフたち。院長先生は積極的に発言せず耳を傾けているのみです。スタッフから続々とアイデアが出てくるたびに、院長先生は苦しそうな表情を浮かべます。
研修が終わろうとしているとき、院長先生は目に涙を浮かべて黙り込みました。その様子をスタッフと一緒に眺めていると、ぽつりぽつりと院長先生から言葉が出てきたのでした。
院長先生「私は今とても反省しています。正直に言うと最近のスタッフの動きに不満が募っていました。私は頑張っているのにみんなは私の想いに答えてくれない。もっと頑張ろうと無理してくれても良いんじゃないかと。自分ばかりが頑張っていると思い込んでいました。これって被害妄想ですよね。スタッフの想いをしっかり汲んでいこうと組織を立て直してきたのに、自分自身が成長できていないことに気が付きました。スタッフのみんな、本当にごめんなさい。そして心からこのクリニックのことを考えてくれてありがとう」この発言の後、やっと院長先生の表情が緩んだのでした。
このケース、どのような感想を持ちましたか?
実は「最近、院長先生がスタッフに対して風当たりが非常に強くて困っている」と事前にスタッフの皆さまからご相談をいただいていたのです。院長先生が目指してきた組織づくりの通り、このクリニックのスタッフは患者さん思いでクリニック思い、そして院長先生思いのとても素敵な方が育っていました。スタッフは最近の院長先生の変化に「何か変だな」と思っていたけれども、ご自身の立場からなかなか言い出せず、ただただ院長先生のことを心配していたのです。この研修でスタッフの皆さまが一人も欠けることなく積極的に改善案を出されているなかで「院長先生に仕事が偏り過ぎないように」という発言が多くあったことも院長先生の気づきに繋がったようでした。
誰しも忙しくなると心が疲れてしまい、視野が狭くなってしまうものです。院長先生の言葉にもあった通り、「自分は悪くない」「周りが変われば良い」という風にまるで被害妄想とも思えるような状況に、気付くと陥っていることもあるようです。残念ながら周りの誰かを変える魔法の言葉や魔法そのものは存在しません。今ある風景を振り返り、狭くなっていた視野を広げることが出来ると、このケースのように組織の良い面に目を向けることが出来るのではないかと思います。スタッフのため、何よりリーダーであるご自身のためにも、組織を客観的に見直してみてはいかがでしょうか?
【2023. 10. 15 Vol.578 医業情報ダイジェスト】
そうして月日は過ぎ、家庭の都合などでスタッフが入れ替わったり、患者数が増えたことで新しい医師が加わったり、クリニックの環境は変化していきました。相変わらず院長先生はより良い組織づくりに励んでいたのですが、年々年を重ねていく毎に感じる体の疲れの蓄積やそれと対照的に増えていく業務に、院長先生は心身ともに徐々に追い詰められてきていました。
院長先生「スタッフは頑張っています。本当に頑張ってくれている。でも、クリニックとしての業務の根幹である診察は医師である私がやらないといけない。新しい医師はいるけど小さなお子さんを抱えているから急な休みも発生してしまう。そうなると患者さんに申し訳が無い。本当に申し訳無い…。良い医師に入職してほしいけど、全然見つからないし。正直に言うと、もっとスタッフに頑張ってほしいと思ってしまう自分がいる。(スタッフに対して)頑張っていないとは思わないけど…今の状態であと10年続けられる自信がないのです……」涙ながらに語ります。
この院長先生からのご依頼で、「より業務効率化を図るためにはどうしたら良いか」という議題で研修が行われました。
全体研修の中で活発な意見を交わすスタッフたち。院長先生は積極的に発言せず耳を傾けているのみです。スタッフから続々とアイデアが出てくるたびに、院長先生は苦しそうな表情を浮かべます。
研修が終わろうとしているとき、院長先生は目に涙を浮かべて黙り込みました。その様子をスタッフと一緒に眺めていると、ぽつりぽつりと院長先生から言葉が出てきたのでした。
院長先生「私は今とても反省しています。正直に言うと最近のスタッフの動きに不満が募っていました。私は頑張っているのにみんなは私の想いに答えてくれない。もっと頑張ろうと無理してくれても良いんじゃないかと。自分ばかりが頑張っていると思い込んでいました。これって被害妄想ですよね。スタッフの想いをしっかり汲んでいこうと組織を立て直してきたのに、自分自身が成長できていないことに気が付きました。スタッフのみんな、本当にごめんなさい。そして心からこのクリニックのことを考えてくれてありがとう」この発言の後、やっと院長先生の表情が緩んだのでした。
このケース、どのような感想を持ちましたか?
実は「最近、院長先生がスタッフに対して風当たりが非常に強くて困っている」と事前にスタッフの皆さまからご相談をいただいていたのです。院長先生が目指してきた組織づくりの通り、このクリニックのスタッフは患者さん思いでクリニック思い、そして院長先生思いのとても素敵な方が育っていました。スタッフは最近の院長先生の変化に「何か変だな」と思っていたけれども、ご自身の立場からなかなか言い出せず、ただただ院長先生のことを心配していたのです。この研修でスタッフの皆さまが一人も欠けることなく積極的に改善案を出されているなかで「院長先生に仕事が偏り過ぎないように」という発言が多くあったことも院長先生の気づきに繋がったようでした。
誰しも忙しくなると心が疲れてしまい、視野が狭くなってしまうものです。院長先生の言葉にもあった通り、「自分は悪くない」「周りが変われば良い」という風にまるで被害妄想とも思えるような状況に、気付くと陥っていることもあるようです。残念ながら周りの誰かを変える魔法の言葉や魔法そのものは存在しません。今ある風景を振り返り、狭くなっていた視野を広げることが出来ると、このケースのように組織の良い面に目を向けることが出来るのではないかと思います。スタッフのため、何よりリーダーであるご自身のためにも、組織を客観的に見直してみてはいかがでしょうか?
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