病院
2022年改定でかかりつけ医機能の充実が図られた
「かかりつけ医機能」関連5つを評価した
株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高■「かかりつけ医機能」関連5つを評価した
2022年4月からは外来機能報告制度が始まり、外来機能分化がより促進されていく。改定で「かかりつけ医」については「外来医療の機能分化・連携に向けた、かかりつけ医機能に係る診療報酬上の措置の実態に即した適切な見直し」が掲げられていた。日本医師会は「かかりつけ医」の定義を「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」としている。2022年診療報酬改定では「かかりつけ医機能の評価」としては下記の5つ評価が行われた。
【2022年度改定によるかかりつけ医機能の評価】
【2022年度改定によるかかりつけ医機能の評価】
- 地域包括診療料・加算の見直し
- 連携強化診療情報提供料の新設
- 機能強化加算の見直し
- 小児かかりつけ診療料の見直し
- 生活習慣病管理料の見直し
- 「地域包括診療料・加算」は脂質異常症、高血圧症、糖尿病、認知症のうち2つ以上を有する患者に算定できる「かかりつけ医機能評価」を代表する点数である。改定で対象疾患に「慢性心不全」と「慢性腎臓病」が追加されて6疾患に拡大した。
- 「連携強化診療情報提供料の新設」は前回2020年度改定で新設された「診療情報提供料(Ⅲ)」(150 点)の名称と要件を変更したもの。(Ⅲ)は「かかりつけ医機能を有する医療機関等から紹介された患者について、紹介元医療機関の求めに応じて診療情報を提供した場合」を評価している。医療連携を代表する点数には、他院への紹介状等の文書による情報提供を評価した「診療情報提供料(Ⅰ)」250点(紹介先医療機関ごとに月1回)、「診療情報提供料(Ⅱ)」(月1回)500点がある。(Ⅰ)は患者を他院に紹介した場合に算定するものであり、どこの医療機関でも日常的に算定されている。(Ⅱ)は悪性腫瘍等の患者の要望を受けて、診療を担う医師以外にセカンドオピニオンを求める場合に算定するが、件数はさほど多くない。
■連携強化診療情報提供料(旧情提Ⅲ)は 3月に1回から月1回算定可能へ
(Ⅰ)(Ⅱ)ともに「患者と診療情報提供書等の患者情報が一緒に医療機関間を移動」する。ところが(Ⅲ)は「情報だけの移動」を評価したものである。今回、連携強化診療情報提供料に名称変更された(Ⅲ)は、具体的に言うと、地域包括診療加算等を届け出ている「かかりつけ医機能」を持った医療機関が患者をA病院に紹介を行った。しばらく、紹介されたA病院において継続的な外来フォローや入院する場合、診療情報を紹介元保険医療機関からの求めに応じ、患者の同意を得て提供した場合に算定できる。なお、診療終了後や退院後に紹介元医療機関に戻る場合は従来の(Ⅰ)となる。
(Ⅲ)には3か月に1回しか算定できないなどの問題があった。弊社クライアントでもほとんど算定はなく、1病院だけが積極的に地域のかかりつけ医と連携して月10件ほど算定していた。2022年改定で名称を(Ⅲ)から「連携強化診療情報提供料」に変更するとともに、算定上限回数を3月に1回から月1回に変更した。さらに2023年度に都道府県から公表予定の「紹介受診重点医療機関」で、地域の診療所等から紹介された患者について診療情報を提供した場合も新たに算定可能とした。
(Ⅲ)には3か月に1回しか算定できないなどの問題があった。弊社クライアントでもほとんど算定はなく、1病院だけが積極的に地域のかかりつけ医と連携して月10件ほど算定していた。2022年改定で名称を(Ⅲ)から「連携強化診療情報提供料」に変更するとともに、算定上限回数を3月に1回から月1回に変更した。さらに2023年度に都道府県から公表予定の「紹介受診重点医療機関」で、地域の診療所等から紹介された患者について診療情報を提供した場合も新たに算定可能とした。
■初診の機能強化加算80点の施設基準は厳しく
2018年度改定で新設された③「機能強化加算」(80点)は、専門医療機関への受診の要否の判断を含めた初診時の診療機能を評価するもので、初診料及び小児かかりつけ診療料(初診時)に加算できる。前回2020年度改定で、(1)健康診断の受診勧奨及び結果等について健康管理の相談、(2)介護・保健・福祉サービスの相談/主治医として介護の意見書の作成、(3)必要に応じて「専門医・医療機関」を紹介、(4)夜間・休日の相談対応――の4点を実施していることを「院内掲示」し、必要に応じて患者が持ち帰ることができるようにすることが施設基準として追加された。
しかし、2022年度改定をめぐる中医協の議論において、支払側は機能強化加算をもっと患者にわかりやすくしたらどうかと提案した。その要望を受けて改定では図1のように(イ)患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品を把握し、必要な服薬管理を行うとともに、診療録に記載すること。なお、必要に応じ、担当医の指示を受けた看護職員等が情報の把握を行うことも可能であること、(ロ)専門医師又は専門医療機関への紹介を行うこと、(ハ)健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じること(ニ)保健・福祉サービスに係る相談に応じること、(ホ)診療時間外を含む、緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うこと――が追加された。
(イ)は看護職員や医師事務作業補助者の代行入力で問題ないが、他医処方の診療録への記載義務化が負担になる。やがてはオンライン資格確認における薬剤情報からダウンロードが可能になるのだろうか。また、図2にあるように地域包括診療料2・同加算2の医療機関が機能強化加算を届け出る場合、算定実績や訪問診療実績が求められるようになった。また、在宅療養支援診療所・病院で在宅時医学総合管理料の医療機関が機能強化加算を届け出る場合も機能強化型でない場合は緊急往診や緊急受入、看取りなどの要件が追加されるなど、実績を求める算定要件のハードルは確実に上がった。これらは支払側が強く求めていたことを反映させたものだ。
④「小児かかりつけ診療料の見直し」は処方箋交付の有無による2区分から、時間外対応体制によって4区分に変更になった。
⑤「生活習慣病管理料」は高脂血症、高血圧症、糖尿病のいずれかを主病とする患者に対して算定できる包括点数である。
改定では包括されていた投薬料が出来高で算定可能になった。院内処方の薬価点数が高いために同管理料算定を躊躇していた医療機関には朗報である。
2022年改定におけるかかりつけ医の評価は「アメとムチ」をうまく使い分けていると言えよう。
【2022. 5. 1 Vol.543 医業情報ダイジェスト】
しかし、2022年度改定をめぐる中医協の議論において、支払側は機能強化加算をもっと患者にわかりやすくしたらどうかと提案した。その要望を受けて改定では図1のように(イ)患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品を把握し、必要な服薬管理を行うとともに、診療録に記載すること。なお、必要に応じ、担当医の指示を受けた看護職員等が情報の把握を行うことも可能であること、(ロ)専門医師又は専門医療機関への紹介を行うこと、(ハ)健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じること(ニ)保健・福祉サービスに係る相談に応じること、(ホ)診療時間外を含む、緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うこと――が追加された。
(イ)は看護職員や医師事務作業補助者の代行入力で問題ないが、他医処方の診療録への記載義務化が負担になる。やがてはオンライン資格確認における薬剤情報からダウンロードが可能になるのだろうか。また、図2にあるように地域包括診療料2・同加算2の医療機関が機能強化加算を届け出る場合、算定実績や訪問診療実績が求められるようになった。また、在宅療養支援診療所・病院で在宅時医学総合管理料の医療機関が機能強化加算を届け出る場合も機能強化型でない場合は緊急往診や緊急受入、看取りなどの要件が追加されるなど、実績を求める算定要件のハードルは確実に上がった。これらは支払側が強く求めていたことを反映させたものだ。
④「小児かかりつけ診療料の見直し」は処方箋交付の有無による2区分から、時間外対応体制によって4区分に変更になった。
⑤「生活習慣病管理料」は高脂血症、高血圧症、糖尿病のいずれかを主病とする患者に対して算定できる包括点数である。
改定では包括されていた投薬料が出来高で算定可能になった。院内処方の薬価点数が高いために同管理料算定を躊躇していた医療機関には朗報である。
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