診療所

集患に役立つ!クリニックの良さ(こだわり)を「見える化」するポイント

クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦

【相談内容】

「開業前に想定していたより患者が増えません。集患のために何をすればいいか教えてほしい」というご相談を近畿地方にて開業半年目の整形外科クリニックの院長より頂きました。

【回  答】

最近、開業して1年目までのクリニックの院長から集患に関するご相談を受ける機会が増えています。今回は、集患の相談に対して必ずお伝えする、クリニックの良さ(こだわり)を「見える化」するポイントをお伝えします。

■関係性を拡げ深める活動に取り組む
患者さんと院長・クリニックとの関係性が拡がり深まれば患者さんは増えクリニックの経営は安定していきます。「そんなことは当たり前ではないか!」とご相談頂く先生方からお叱りをお受けしますが、「それでは先生!患者さんとの関係性が拡がり深まる活動をしていらっしゃいますか?」と質問すると8割以上の先生方がそのような活動は実施していないと回答されます。したがって、私どもは集患や増患に対するご相談を頂くと「いかに患者さんとの関係性を拡げ深める活動に取り組むか」に注力していただいております。
関係性を拡げ深める具体的行動の第一歩が、患者さんや地域社会にクリニックの良さ(こだわり)をアピールしていただくことです。具体的には自院の考え方、診療メニュー、患者さんへの説明方法(啓蒙も含む)、手術の実績、治療実績などをいかに患者さんへ見える形でアピールするかという行動です。これらの行動は形のないものなので「見える化」することがポイントとなります。

■ クリニックの良さ(こだわり)を「見える化」するポイント

 1.患者さんの声に耳を傾け丁寧に診察を行う。
患者さんの声に耳を傾け患者ニーズ及び地域ニーズに応えた医療を提供していくこと。特に患者さんへの説明は患者さんに刷り込むぐらいの気持ちで繰り返し伝え説明することではじめて理解されるものです。また、患者さんに理解してもらう工夫も必要です。
病気に関するわかりやすい資料を渡し、一度にすべて説明するのではなく患者さんの理解度に合わせて何回かに分けて説明するなど、患者さんへの説明を工夫しているクリニックは患者満足度も高まります。ぜひ、一人ひとりの患者さんに合わせた丁寧な診察を実践いただきたいと思います。

2. 院内掲示板を有効活用してクリニックのオリジナル情報を発信する。
クリニックの広報力を診断する際、必ず見せていただくのが院内掲示です。医師会からの予防接種等の案内や健康保険の制度改正のお知らせのみを掲示し、クリニック独自の情報が掲示されていない院内掲示板をよくお見受けします。掲示板を有効活用しないことは本当にもったいないと思います。
私どもでは【院内掲示=クリニックの良さをアピールする場】と捉えていただくよう提案しております。例えば、院長のことであれば認定医の認定証の掲示、留学していた時の写真、マスコミに出た実績、講演実績、現在、臨床医として研究していることなどを掲示板で伝え、医師の活動を理解してもらう。スタッフのことであればスタッフ一人ひとりの自己紹介、患者さんへのメッセージを掲示することで患者さんとの関係性を深めるきっかけとなります。また、患者さんの創作物(絵、写真など)や院内で実施したレクリエーション、健康教室の写真などを掲載することで患者さんとの密接な人間関係をアピールすることも効果的です。患者さんは待合室の掲示物をよく見ていることを認識いただきたいと思います。

3.診察以外で患者さんと接点を持つ。
弊社では広報紙、院内新聞、健康教室など診察以外で患者さんとの接点を持ち、クリニックの良さを患者さんにアピ-ルするサポートをさせていただいております。例えば、広報紙の記事は、病気のことだけではなく、院長、スタッフの趣味や日常がわかるアットホームな内容や患者さんの声などを掲載しております。そうすると院内新聞や広報誌が患者さんとの共通の話題になり、コミュニケーションのきっかけづくりに役立ちます。また、ブログやツイッター、InstagramなどSNSを活用してクリニックの活動を短文と写真で伝えているクリニックもあります。継続的な情報発信はじわじわとクリニックを応援してくれる患者さんを増やしていく効果があります。ぜひ、診察以外で患者さんと接点をもつ取り組みを実践していただきたいと思います。

アピールすることを嫌う院長も多いですが、クリニックの良さやこだわりは、アピールしないと伝わらない部分もあります。遠慮せずクリニックに合うやり方で、たくさんのクリニックの良さとこだわりを伝えていただきたいと思います。


【2023. 1. 15 Vol.560 医業情報ダイジェスト】