診療所

能動的な採用活動でPTの採用に成功した事例

就職説明会&ミニ勉強会の開催
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦

【相談事例】

開業10年目の整形外科クリニックの院長より 「理学療法士の採用を紹介会社に頼っているがなかなか定着しない。紹介会社頼みを脱却する採用活動を教えてほしい!」 という相談を頂きました。

【回 答】

理学療法士(以下 PT)という専門職は医療機関、介護施設など、さまざまな現場で求められています。その分、勤務先の選択肢も広がり、自己研鑽への取り組み、待遇面など、より良い働き方を目指して転職を考える人も増えています。需要と職場の選択肢が多くあるP Tを採用するためには能動的な採用活動が必要です。そこで今回は能動的な採用活動を展開して成功した事例をお伝えしたいと思います。

1)PT対象に就職説明会&ミニ勉強会の開催
弊社のクライアントで開業15 年の整形外科クリニックは、専門職を採用するために 「就職説明会&ミニ勉強会」 を自院にて開催したところ5名の応募者があり、そのうち2名の入職が決まりました。就職説明会の集客は複数のSNSや自院のホームページ、広告媒体を使って告知しました。また、PTの勉強会を企画するスタディーグループやPTと接点をもつ知人を通じて就職説明会を案内しました。PTを紹介してほしいというオーダーになると、依頼される側もハードルは高いですが、 「紹介ではなく就職説明会と勉強会に関心のあるPTに案内してほしい」 であればハードルは下がり、紹介してもらえる可能性が高くなるのでお勧めします。

☆SNSに掲載した文面の事例☆
私たちのチームに加わる新しい理学療法士を募集しています!
特に運動器エコーに情熱を持ち、さらなるスキルアップを目指すあなた!
当クリニックでは、最先端の設備と共に成長できる環境を提供します。
〇月〇日(午後1時~)に、当院にて、当院の設備や診療見学と当クリニックの理学療法士によるハンズオンエコーミニセミナーを開催します。
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2)PT採用パンフレットを作る!
パンフレットは採用活動においてクリニックの案内に役立つ重要な資料です。要は院長の理念や考えをPRするにあたってメッセージを発信できる有効なツールと考えております。中国地方のA整形外科クリニックは新卒PTを採用するために下記の要領で採用パンフレットを作成しました。

●コンテンツ設計
ターゲット設定を受け、パンフレットのコンテンツの基本設計が決まっていきます。つまり教員・父兄にクリニックの理解を深めてもらい、生徒本人に 「いいね!」 をもらう作戦を基本設計に据えます。その核をなすコンテンツを列挙してみます。

●代表者のメッセージ
「就職活動をする皆さんへ」 ということで院長からのメッセージを記載します。

●クリニック創業理念・沿革
クリニックのある場所、地域の皆様に質の高い医療・リハビリテーションを提供する理念を記載します。

●業務内容
勤務時間、業務内容など、求人条件等を記載します。加えて、当院の仕事からどんなことが学ぶことができるかを記載します。

●人材教育・能力開発制度
専門職として腕を磨けるフィールドがあることを伝えるのがポイントです。A整形外科クリニックでは新人教育の内容、研修会参加、学会での発表、院長とのカンファレンスなど専門職としてスキルを磨ける制度や風土があることを記載しています。

●院内のイベント
クラブ活動、新年会、忘年会、懇親会、職員旅行など、クリニックのイベントについて等身大の事実を伝えることがポイントです。

●先輩PTのメッセージ
実際に勤務している先輩、リーダーのPTのお話に一番関心がありますので、ぜひ先輩PTからの実際に勤務した感想と求職者へのメッセージの記載をお勧めします。

3)先輩PTによる勉強会開催
当院で働くとどのようなスキルが身につくか。実際、ミニ勉強会や症例検討の現場に参加してもらって体験してもらうことは、勤務した場合のイメージを持ってもらえると思いますのでお勧めしています。

4)キャリア相談を実施する
参加者がどんなキャリアプランを歩みたいのか、整理できていないケースがあります。自分が持つスキルや経験、実績をいかしながら、さらなるステップアップを望んだとしても、どんな方向に行けばよいかわからなければ、迷子になったまま失敗に終わってしまう可能性があります。A整形外科クリニックでは初めて転職する理学療法士に対して 「将来、どのようなPTとして、どんなスキルを身に着けて、どんな働き方がしたいのか」 面接の中でキャリア相談に乗っています。
キャリア相談した結果、クリニックではなく病院勤務をしたいと辞退するPT もいますが、入職後のミスマッチを防止するために面接の中で必ずキャリア相談を入れています。入職後のミスマッチを予防するためにも求職者のキャリアプランを確認することは有効です。

ぜひ、自院にあった能動的なPT採用活動を見つけて実践していただくことをお勧めします。


【2024.8. 1 Vol.597 医業情報ダイジェスト】