組織・人材育成
愛があれば良い?良い組織だからこそより良い注意をし合いたい
「注意をし合う」ことの難しさに対峙したケース
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
突然、真夏になったような酷暑となりましたね。体調お変わり無く過ごされていますか?さて、今回は人間関係が非常に良い組織で「注意をし合う」ことの難しさに対峙した院長先生の事例から、より良い組織の在り方を考えましょう。
ケース:
住宅街にあるクリニックのお話です。全部で10名弱のスタッフが日々仲良くお仕事をこなしています。このクリニックの人間関係の良さは近所でも有名で、ホスピタリティの高さも相まって患者さんは絶えることがありません。
人間関係の良さから離職率は低く、結婚や出産等のライフステージの変化以外で退職される人は少なく、また最近では出産等でクリニックを一度退職されても再び戻ってくる人も増えています。このクリニックの状態を院長先生は「こんなに良い人が集まってくれて、私は幸せです」と常日頃から語っていました。
ある日、比較的最近入職された受付担当のAさんが院長先生に「ちょっと相談したいことがあるのですが…」と声を掛けてきました。
普段楽しそうに働いているAさんの深刻そうな言葉かけから、院長先生は何も想像することが出来ないでいると、徐にAさんは語り始めました。
Aさん「実は以前からリーダーのBさん(Aさんと同性)のボディタッチが激しくて…ふざけて蹴られたり叩かれたりするのですが、結構痛い時があるのです。Bリーダーのことは大好きで本当に頼りになる先輩ですし、愛のあるタッチであることは理解しています。私だけではなく他のスタッフに対しても愛情表現が豊かで、分け隔てなく接して下さっていることも知っています。ですが、激しいボディタッチはこれから新しく入ってくる人にとって決して良く思われることだけではないと思うのです。大好きなBリーダーのことを悪く捉えられてしまうことは私の本意ではありません。愛情の伝え方はボディタッチ以外にもあることをBリーダーにも知ってもらいたいのです」
院長先生は大ショック!Bリーダーはこのクリニックで院長先生に次いで長く勤務している院長先生の右腕といえる存在です。ボディタッチがあることは知っていたのですが院長先生に対しては行わないため、どの程度のものであるのか、そしてスタッフがどう感じているか把握していませんでした。この報告を受け、Bリーダーに次いで勤務歴の長いサブリーダーCさんに事実確認を行ったところ事実であることが判明。そこで院長先生は作戦を練りました。
Aさんの報告からさほど日を置かないランチミーティングにて、院長先生は「あるクリニックのケース」としてスタッフ間のボディタッチについてスタッフに相談を持ち掛けました。
その時にふとBリーダーが「私も結構ボディタッチしちゃうけど、みんなどう思っていた?」と振り返る発言が。そこでスタッフから「私はリーダーの愛情表現は大好きです!でもたまに痛いです(笑)」と良い、悪いということではない素直な気持ちを伝えたところ、Bリーダーから「私加減が出来ていなかったね!ごめん!」と謝罪の言葉が出たのです。
それからというものの、Bリーダーのボディタッチは少なくなり愛情表現が言語で伝えられることが増えています。もちろん、更により良い人間関係が継続しています。
このケース、どういう感想を持ちましたか?
近年、組織定着率や求心力向上を目的に、より良い人間関係づくりを意識している医療機関が増えています。一緒に働く仲間を好きになることが出来れば、大変な場面でも助け合うことが出来ますし、医療機関というプロフェッショナル性の高い組織において医療の質を高め合える関係性を築くことも出来るはずです。しかし、人間関係がより良くなるとこのケースのように「お互いに注意し合えるかどうかが試される出来事」が組織の壁として訪れることがあります。
このケースの素晴らしいところは、ただ単に「Bリーダーのボディタッチが強くて痛いから嫌だ」とAさんが訴えていたのではなく、「大好きなBリーダーが強いボディタッチで誤解されてしまうことが許せない」とAさんが憤慨したために院長先生に訴えた点です。このAさんの気持ちが伝わり、Bリーダーの発言に繋がったものと思います(後日Bリーダーから同様のお話を伺いました)。
自分がどう思うか、ではなく、相手を慮って言う注意は相手の行動を変えることが可能なのだと強く感じたケースでした。より良い組織になる過程だからこそ起こり得るこのケースが皆さまのありたい組織づくりの一助となれば幸いです!
【2022. 7. 15 Vol.548 医業情報ダイジェスト】
人間関係の良さから離職率は低く、結婚や出産等のライフステージの変化以外で退職される人は少なく、また最近では出産等でクリニックを一度退職されても再び戻ってくる人も増えています。このクリニックの状態を院長先生は「こんなに良い人が集まってくれて、私は幸せです」と常日頃から語っていました。
ある日、比較的最近入職された受付担当のAさんが院長先生に「ちょっと相談したいことがあるのですが…」と声を掛けてきました。
普段楽しそうに働いているAさんの深刻そうな言葉かけから、院長先生は何も想像することが出来ないでいると、徐にAさんは語り始めました。
Aさん「実は以前からリーダーのBさん(Aさんと同性)のボディタッチが激しくて…ふざけて蹴られたり叩かれたりするのですが、結構痛い時があるのです。Bリーダーのことは大好きで本当に頼りになる先輩ですし、愛のあるタッチであることは理解しています。私だけではなく他のスタッフに対しても愛情表現が豊かで、分け隔てなく接して下さっていることも知っています。ですが、激しいボディタッチはこれから新しく入ってくる人にとって決して良く思われることだけではないと思うのです。大好きなBリーダーのことを悪く捉えられてしまうことは私の本意ではありません。愛情の伝え方はボディタッチ以外にもあることをBリーダーにも知ってもらいたいのです」
院長先生は大ショック!Bリーダーはこのクリニックで院長先生に次いで長く勤務している院長先生の右腕といえる存在です。ボディタッチがあることは知っていたのですが院長先生に対しては行わないため、どの程度のものであるのか、そしてスタッフがどう感じているか把握していませんでした。この報告を受け、Bリーダーに次いで勤務歴の長いサブリーダーCさんに事実確認を行ったところ事実であることが判明。そこで院長先生は作戦を練りました。
Aさんの報告からさほど日を置かないランチミーティングにて、院長先生は「あるクリニックのケース」としてスタッフ間のボディタッチについてスタッフに相談を持ち掛けました。
その時にふとBリーダーが「私も結構ボディタッチしちゃうけど、みんなどう思っていた?」と振り返る発言が。そこでスタッフから「私はリーダーの愛情表現は大好きです!でもたまに痛いです(笑)」と良い、悪いということではない素直な気持ちを伝えたところ、Bリーダーから「私加減が出来ていなかったね!ごめん!」と謝罪の言葉が出たのです。
それからというものの、Bリーダーのボディタッチは少なくなり愛情表現が言語で伝えられることが増えています。もちろん、更により良い人間関係が継続しています。
このケース、どういう感想を持ちましたか?
近年、組織定着率や求心力向上を目的に、より良い人間関係づくりを意識している医療機関が増えています。一緒に働く仲間を好きになることが出来れば、大変な場面でも助け合うことが出来ますし、医療機関というプロフェッショナル性の高い組織において医療の質を高め合える関係性を築くことも出来るはずです。しかし、人間関係がより良くなるとこのケースのように「お互いに注意し合えるかどうかが試される出来事」が組織の壁として訪れることがあります。
このケースの素晴らしいところは、ただ単に「Bリーダーのボディタッチが強くて痛いから嫌だ」とAさんが訴えていたのではなく、「大好きなBリーダーが強いボディタッチで誤解されてしまうことが許せない」とAさんが憤慨したために院長先生に訴えた点です。このAさんの気持ちが伝わり、Bリーダーの発言に繋がったものと思います(後日Bリーダーから同様のお話を伺いました)。
自分がどう思うか、ではなく、相手を慮って言う注意は相手の行動を変えることが可能なのだと強く感じたケースでした。より良い組織になる過程だからこそ起こり得るこのケースが皆さまのありたい組織づくりの一助となれば幸いです!
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