保険薬局

【続き】薬局における選定療養制度

医薬品の自己負担の新たな仕組み
たんぽぽ薬局株式会社 薬剤師 緒方孝行
では、薬局はこういった制度が開始されるにあたってどういったことに取り組んでいくのか。1つは患者個々に丁寧に説明を行い、制度の趣旨を理解してもらった上で、後発医薬品の使用を促進していくことだろう。スタートは差額の4分の1の負担となっているが、この割合が今後増大していくことは十分に予測可能であるため、そういったことを見据えて患者へ説明を行うことも必要になる。2つ目はきめ細やかなフォローアップによる患者の不安感の払拭である。ここはむしろ薬剤師にしかできない部分であり、薬剤師の職能を発揮するためにも積極的に取り組んでいかなければないと思われる。3つ目としては、医療機関との密な連携だろう。患者がどういった薬を選択して、受診と受診の間でどういった状態にあるのか、こういった情報が薬局から医療機関に提供できるとすれば、それは非常に有益な情報になり得るだろう。選定療養への付加価値として、薬剤師のフォローアップの実施や医療機関へのフィードバックの実施を行うことは薬剤師の職能の見える化にも貢献するのではないだろうか。
医療上の必要性が認められた場合や後発品不備、供給不安定による欠品など、いくつかの例外はあるものの、選定療養となった場合は、患者負担が増えるため、丁寧な説明が必要であることは自明である。だが、それ以上に細やかなフォローアップや薬剤師にしかできない患者へのサポートを行うことは、薬剤師の存在感や存在価値を引き上げる重要なタスクになっていくように感じる。

※ 厚労省:『後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養』 についてより抜粋



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【2024.10月号 Vol.341 保険薬局情報ダイジェスト】