病院・診療所
ベースアップ評価料の算定にチャレンジしょう!②
手続き書類を簡単に作成できる3ステップ!
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦
【相談内容】
前回、ベースアップ評価料を算定するための届出方法について解説をさせていただきました。さらに、前回ご相談いただいた院長より 「次回の診療報酬改定でベースアップ評価料が廃止された場合、クリニック持ち出しの賃上げをやり続けなければならないのか?」 というご質問をいただきました。
【回 答】
ベースアップ評価料を算定しない無床診療所の院長と奥様にベースアップ評価料を算定しない理由をインタビューしたところ、 「次回の診療報酬改定でベースアップ評価料は存在するのか? 『はしご外し』 があった場合、賃金を下げることができないので算定していません!」 というお話をお聞きしました。今回はベースアップ評価料が廃止された場合でも対応できる方法をお伝えしたいと思います。
■次回改定で 「はしご外し」 があっても大丈夫!
厚労省の説明動画では、介護職員の賃上げの財源となっている 「処遇改善加算」 という介護報酬が10年以上継続しているのと同様に、ベースアップ評価料も次回改定で廃止はないというような継続をほのめかす説明がありました。ただベースアップ評価料を継続すると明言したわけではありません。筆者自身も次回改定で廃止されることはないと考えますが、財源が変わる可能性は十分あると思います。 「基本給」 や 「職務手当」 など、決まって毎月支払われる手当でベースアップ評価料の算定額を充当している場合、ベースアップ評価料が廃止になっても 「基本給」 や 「職務手当」 は減額できません。減額した場合、労働条件の不利益変更となり労働契約法違反となります。
そこで、就業規則の賃金規定で 「ベースアップ評価料手当」 を新設して賃金規定にて以下のとおり記載することにより、ベースアップ評価料が廃止された場合、合法的に手当も廃止することができます。また、賞与、退職金に影響する基本給として増額するよりも、毎月支払われる 「ベースアップ評価手当」 として手当を新設するほうが、将来の人件費増加を防止するメリットがあります。就業規則のない場合はこの機会に作成いただくことをお勧めします。
賃金規定 第〇〇条(ベースアップ評価料手当)
そこで、就業規則の賃金規定で 「ベースアップ評価料手当」 を新設して賃金規定にて以下のとおり記載することにより、ベースアップ評価料が廃止された場合、合法的に手当も廃止することができます。また、賞与、退職金に影響する基本給として増額するよりも、毎月支払われる 「ベースアップ評価手当」 として手当を新設するほうが、将来の人件費増加を防止するメリットがあります。就業規則のない場合はこの機会に作成いただくことをお勧めします。
賃金規定 第〇〇条(ベースアップ評価料手当)
- ベースアップ評価料手当は、令和〇年〇月分から診療報酬で算定する外来・在宅ベースアップ評価料を対象職員にベースアップ評価料手当として支給する。
- 支給対象者は、給与計算期間に在職をしている医師、専ら事務に従事する職員以外の職員とする。ただし、支給対象者であっても試用期間中の職員には支給しない。
- ベースアップ評価料手当は算定実績額に応じて対象職員の能力及び勤務成績などを考慮して職員毎にクリニックが定めた額を支給するものとする。
- ベースアップ評価料手当は、外来・在宅ベースアップ評価料が廃止された場合には支給しないものとする。
■手続き書類を簡単に作成できる3ステップ!
手続き書類作成のポイントとなるのが賃金改善計画書の作成です。じつは以下の3ステップで記載するとスムーズに賃金改善計画書の作成ができますのでご参考にして
ください。
ステップ1:収入見込み額の算出
ベースアップ評価料による算定金額見込みの算出を行います。ベースアップ評価料届出様式の 「(参考)賃金引き上げ計画書作成のための計算シート」 を使って、ベースアップ評価料による算定金額見込みを算出します。事前に直近の初診料・再診料・訪問診療料の算定回数のデータをご用意ください。算定回数のデータは電子カルテやレセコンから出力できる帳票がありますのでご確認ください。
ステップ2:支出見込み額の算出
収入見込み額を算出し見込み額を基準にベースアップ評価料手当の設定を行います。賃金改善計画書用計算ツールの 「計算シート」 を使い、ベースアップ評価料算定
金額や各医療機関・職員の状況を踏まえベースアップ評価料手当を設定します。 「計算シート」 を埋めることでツールの 「転記例シート」 が完成します。
ステップ3:賃金改善計画書の作成
賃金改善計画書用計算ツールの 「転記例シート」 を参考に、ベースアップ評価料届出様式の 「賃金改善計画書」 を記入します。計算シートの記載例を参考にしてください。


賃金改善計画書のⅦ.賃金引上げを行う方法については上記の記載例を参考にしてください。
届出書類の記載方法については、厚労省の解説動画もあります。また、ベースアップ評価料届出に関するご相談先のない読者の方は弊社までお問合せください。
【2025. 1. 15 Vol.608 医業情報ダイジェスト】
ください。
ステップ1:収入見込み額の算出
ベースアップ評価料による算定金額見込みの算出を行います。ベースアップ評価料届出様式の 「(参考)賃金引き上げ計画書作成のための計算シート」 を使って、ベースアップ評価料による算定金額見込みを算出します。事前に直近の初診料・再診料・訪問診療料の算定回数のデータをご用意ください。算定回数のデータは電子カルテやレセコンから出力できる帳票がありますのでご確認ください。
ステップ2:支出見込み額の算出
収入見込み額を算出し見込み額を基準にベースアップ評価料手当の設定を行います。賃金改善計画書用計算ツールの 「計算シート」 を使い、ベースアップ評価料算定
金額や各医療機関・職員の状況を踏まえベースアップ評価料手当を設定します。 「計算シート」 を埋めることでツールの 「転記例シート」 が完成します。
ステップ3:賃金改善計画書の作成
賃金改善計画書用計算ツールの 「転記例シート」 を参考に、ベースアップ評価料届出様式の 「賃金改善計画書」 を記入します。計算シートの記載例を参考にしてください。


賃金改善計画書のⅦ.賃金引上げを行う方法については上記の記載例を参考にしてください。
届出書類の記載方法については、厚労省の解説動画もあります。また、ベースアップ評価料届出に関するご相談先のない読者の方は弊社までお問合せください。
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