組織・人材育成

職員の主体的なキャリア形成に向けて、副業・兼業を解禁する

週休3日制で副業・兼業のできる職場
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
先日、病院の事務の幹部の方と会食をした際、今のポジションは、自分のやりたいことができて充実しているが、若い人を育成するためにもポストを空けなければならないと思っている、と話されていました。その際、経営に困っている病院の支援を副業でできると、自分の経験を他の所で活かせるので、就業規則が改定されれば病院経営のコンサルティングをやってみたいとも話されていました。
この方の病院では、就業規則を改定して副業を認めようという動きがあるようです。若い理学療法士などは、収入を増やすとともに、キャリア形成にも活かせると考え、副業を認めている病院への就職を希望する傾向があるため、副業の解禁を検討されているとのことでした。そこで今回は、病院等における副業・兼業について考えます。

病院等における副業・兼業

病院では、医師については副業を認めている部分もありましたので、これを他職種にまで広げればよいと考えます。そのためには、まずは就業規則の改定が必要です。病院では、就業規則で副業・兼業禁止となっている所が多いと推察します。
しかし、これに関する裁判例においては、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとしています。ただし、すべて自由ということではなく、長時間労働等によって健康を害する恐れがあり労務提供上支障があると判断されるような場合など、いくつかの場合に、副業・兼業を禁止または制限することができるとしています。これらを踏まえ、厚生労働省が示しているモデル就業規則(令和5年7月版)では、以下のようになっています。

第70条(副業・兼業)
労働者は、勤務時間外において、他の会社の業務等に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止または制限することができる。①労務提供上の支障がある場合、②企業秘密が漏洩する場合、③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合、④就業により、企業の利益を害する場合

副業・兼業は、他の会社に雇用されることだけではなく、事業主となって行うものや、請負・委託・準委任契約により行うものも含みますから、病院で働きながら筆者のように事業を起こすことも可能となります。冒頭の幹部の方も、将来は病院経営のコンサルタントとして起業したいようでしたが、リスクを考えれば、いきなり病院を辞めて起業することはできないでしょう。副業・兼業という形で、コンサルタントとしてのキャリアを積めれば、それに越したことはありません。
若い人にポストを空けるためにも、力のある人材は、今いる組織の中だけでなく、外にも目を向けて活躍の場を広げていく必要があるように思います。65歳定年延長により、役職定年も導入されてくるでしょうが、役職を解かれて65歳まで元部下の下で仕事を続けるのか、それとも、新たな道を模索するのかということになります。副業・兼業は、新たなステップへ進むための助走期間ともなり、中堅以上の職員にも魅力のある働き方だと考えます。
若い医療技術職の人たちにとっては、離職しないで、別の技術を身に付けたり、自分のやりたい仕事にチャレンジすることもでき、自らのキャリアを主体的に作っていけるシステムです。また、所得を増やすこともできそうです。病院にとっても、優秀な人材を獲得し、また、その流出を防ぐことができます。もともと、副業・兼業を認めないのは法的にも問題があるのですから、早急に就業規則を見直し、これを解禁すべきだと考えます。

週休3日制で副業・兼業のできる職場

副業・兼業を認めるとした場合、自院の職員の労働時間と副業・兼業先の労働時間を通算する必要があります(起業等は不要)。長時間労働となって、健康を害しては何にもなりませんから当然です。そこで、自院の労働時間や日数を減らして、副業・兼業をしてもらってはどうかと考えます。例えば、筆者が支援している病院では、看護師に選択制の週休3日制を導入し上手く運用されている所があります。賃金は5分の4になりますが、規程の夜勤回数をしてもらっていますし、人件費も少し浮くので、病院としてのメリットもあります。また、希望する職員が多くいるということは、看護師にとってもメリットがあるのでしょう。この1日浮いた日で副業・兼業をすれば、長時間労働になることもないわけです。 「週休3日制+副業・兼業可」 という職場は、自分のキャリア形成において、魅力的な働き方ではないでしょうか。先んずれば人を制すと言いますから、一度検討されてはどうかと考えます。


【2025. 1. 15 Vol.608 医業情報ダイジェスト】