病院・診療所

両側疾患やX線診断算定の留意点について

正しい請求に繋げるために
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
画像診断の算定では、カルテ記載、画像の保存が重要になります。算定あたっては、オーダー方法やセットマスターによって、多くの算定誤りが生じてしまうこともあります。
本稿では診療所、病院ともに算定誤りのケースが多く見られる 「両側疾患に対する算定」 を中心に、X線診断算定の留意点を解説いたします。

【X線診断の基本的な算定(A)】
診断料+撮影料+フィルム料(端数は四捨五入)

診断料+撮影料+電子画像管理加算



●Point:部位と撮影料の加算

◆部位に注意
 肩関節や股関節、鎖骨は 「単純(頭・躯幹)」 ですが、膝は四肢になるため 「単純(その他)」 です。
◆撮影料の加算に注意
 6歳未満の場合は加算があります。

●Point:両側・片側疾患による算定

◆両側疾患で、両側(左右)をそれぞれ撮影
 → 左右を別々に算定
◆片側疾患で、健側比較のため両側を撮影
 → まとめて算定(入力)

●Point:正しい請求に繋げるために

  1. 両側疾患の場合は、左右を分けてオーダーをかける
  2. 健側比較であることが分かるようにオーダーをかける
  3. 両側疾患であっても一連で算定している場合は、画像や照射録を確認する

Q1: 次の算定レセプトについて、正しい請求はどのようになりますか?
[傷病名] 両側変形性膝関節症
[医師オーダー] 両膝X-P(側面・正面)4R、電子媒体保存撮影 4回
[照射録] 膝4R・側面(左右)各 2R
[算定レセプト] 合計 335点


A1:両側疾患に対し、左右それぞれ撮影を行っていますので、左右を別々に算定(入力)します。両側疾患に、左右撮影をしているにもかかわらず、医師のオーダーが両側一連4回で算定しているため、上記のように335点の算定になっていることがあります。
この場合、左右を別々に算定するのが正しい請求となり、点数448点になります。113点の増点です。
正しい算定レセプト 合計 448点


【X線診断(造影剤使用撮影)の算定】
(A)+造影剤注入手技料+薬剤料

●Point:造影剤注入手技料と薬剤料の算定

◆造影剤注入手技としての点滴注射は、同一日に点滴注射または静脈内注射を算定した場合は算定できません。経口投与の場合も算定できません。
◆注射や下剤等の算定は、造影剤と金額を合算して点数を求め、画像の薬剤料に記入します。

●Point:正しい請求に繋げるために

  1. セットマスターを確認しましょう。造影剤使用撮影と写真診断はセットマスターが組まれているものの、電子画像管理加算が組まれていないことがあります。
  2. 特殊撮影を併せて実施した場合、見落とさず算定するようにご注意ください。

厚生労働省保険局 「保険診療確認事項リスト」 に掲載されている、請求の誤りが起きやすく、個別指導の指摘の機会が比較的多い事項のうち、以下が本稿に関わる事項です。
□次のような画像診断の例が認められたので改めること。
  • 結果が診療に反映されていない
  • 段階を踏んでいない
  • 重複とみなされる
  • 必要以上に実施回数が多い
  • 研究の目的をもって行われた
  • 症状等のない患者の希望に応じて実施した
□画像診断は、個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、必要最小限の回数で実施すること。
□実際に行ったものとは異なる、実際に行っていない画像診断を算定している例が認められたので改めること。


【2025. 2. 15 Vol.610 医業情報ダイジェスト】