組織・人材育成
馴染めない新人?
組織力が高まるケーススタディ
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
新年度がスタートし、新人さんが一生懸命に仕事を覚えようと励まれていると思います。大きな規模の組織であれば新人さんの人数が複数であることも少なくないため、新人同士で切磋琢磨しているのではないでしょうか。一方、クリニックという小さな規模になると新人さんは1人のみということも多いと思います。
今回は、入職してきた1人の新人さんへの対応に悩むリーダーのお話を共有いたします。
今回は、入職してきた1人の新人さんへの対応に悩むリーダーのお話を共有いたします。
ケース
日本海側にあるクリニックのA院長先生のお話です。このクリニックで働くスタッフは院長先生を含めて6名。うち1名が先日入職した新人さんです。新人さんが入職してから1カ月も経たないある日、院長先生から新人さんに声を掛けたところ、思わぬ言葉が返ってきました。
新人さん 「ベテランスタッフBさんが正直怖いです。入職時にBさんから 『好きな芸能人はいるか』 という質問を受けて、 『特にいない』 と答えてから会話が弾まず気まずい状態です。Bさんはご自身が好きな芸能人のお話を休憩中にスタッフルームでずっとされているので、私は会話に入れずに孤立感があります。他のスタッフはBさんが話す会話に加わっており、私を気にする気配は感じません。仕事はとても好きなのですが、スタッフとの人間関係を考えると継続できるか不安でたまりません」
この言葉を聞いた院長先生は茫然! 院長先生は、お昼休みのスタッフルームは自分が関与するものではないと思っていました。また、院長先生からBさんをはじめとした既存スタッフに 「新人さんは組織に馴染めているか」 を確認したところ、 「問題はない」 という報告を受けていた矢先の発言だったのです。
そこで、院長先生は人当たりの柔らかなスタッフCさんを呼び出しました。院長先生が新人さんからの悩みをCさんに伝えると、
Cさん 「スタッフルームで一緒に過ごしているので、新人さんが疎外感を感じているとは全く想像していませんでした。その時の新人さんは言葉は発しませんがにこやかに話を聞いていたので、 『会話には入れないけどスタッフの仲が良い雰囲気を味わってもらえている』 と好意的に捉えていました。新人さんに気を遣わなければなりませんね」
その後、Cさんの計らいで他のスタッフに声を掛けたことで、新人さんから退職の意思はなくなったとのことですが、院長先生はBさんのことを気にかけています。
A院長先生 「Bさんは仲良くなるととっても人間味のある良い人なのですが、人見知りの面があり、はじめて会う人からは良い印象を受けにくい人なのです。本人も人見知りである自覚はあるようですが、自らの立ち居振る舞いが他の人からどう見られているかどうかは意識していないようで……Bさんは一番のベテランで技術も知識もある大切な人材なのですが、新人さんがすぐに辞めてしまう要因のひとつでもあるのです……」
このケース、どのような感想を持ちましたか? 私は 「新人さんなのだから、既存スタッフはできる限り丁寧に接するべきだ」 とは言いませんし、 「新人さんなのだから、新人さんとして謙虚に立ち居振る舞い、時に我慢が必要だ」 と説くわけではありません。この場合、新人さんもBさん含め既存のスタッフも 【他の誰でもない、自分にとってより良い状態を求めていること】 が問題であると考えます。
組織をより良く成長させていくことができる人は、周囲を巻き込む能力のある人です。自分のことだけを考えている人には、周囲は巻き込まれません。自分だけではなく、自分たちにとって良い環境を考えることで、周囲は自然と巻き込まれるものです。
周囲を巻き込むポイントは、 「理想の組織」 や 「正しい組織」 という問いにしないことです。組織の在り方は千差万別! 組織にいる自分たちが主体です。 「自分たちにとって良い組織」 という問いを組織として向き合うことで、自然とより良い組織作りに巻き込まれてくるものです。
実はこのケースの後、 「あなたにとって良い職場とは?」 と 「わたしたちにとって良い職場とは?」 という2つの問いを全体研修として取り上げました。明確な答えを出すことを目的にするのではなく、 「良い組織を作ろうとしている仲間」 である意識を付けることを目的として行いましたが、結果的にスタッフそれぞれが自由に発言できる空間ができました。
皆さまの組織でも組織全体を巻き込む質問を投げかけることで、自分たちにとってより良い組織を作るための下地づくりを行ってみてはいかがでしょうか。
【2025. 4. 15 Vol.614 医業情報ダイジェスト】
新人さん 「ベテランスタッフBさんが正直怖いです。入職時にBさんから 『好きな芸能人はいるか』 という質問を受けて、 『特にいない』 と答えてから会話が弾まず気まずい状態です。Bさんはご自身が好きな芸能人のお話を休憩中にスタッフルームでずっとされているので、私は会話に入れずに孤立感があります。他のスタッフはBさんが話す会話に加わっており、私を気にする気配は感じません。仕事はとても好きなのですが、スタッフとの人間関係を考えると継続できるか不安でたまりません」
この言葉を聞いた院長先生は茫然! 院長先生は、お昼休みのスタッフルームは自分が関与するものではないと思っていました。また、院長先生からBさんをはじめとした既存スタッフに 「新人さんは組織に馴染めているか」 を確認したところ、 「問題はない」 という報告を受けていた矢先の発言だったのです。
そこで、院長先生は人当たりの柔らかなスタッフCさんを呼び出しました。院長先生が新人さんからの悩みをCさんに伝えると、
Cさん 「スタッフルームで一緒に過ごしているので、新人さんが疎外感を感じているとは全く想像していませんでした。その時の新人さんは言葉は発しませんがにこやかに話を聞いていたので、 『会話には入れないけどスタッフの仲が良い雰囲気を味わってもらえている』 と好意的に捉えていました。新人さんに気を遣わなければなりませんね」
その後、Cさんの計らいで他のスタッフに声を掛けたことで、新人さんから退職の意思はなくなったとのことですが、院長先生はBさんのことを気にかけています。
A院長先生 「Bさんは仲良くなるととっても人間味のある良い人なのですが、人見知りの面があり、はじめて会う人からは良い印象を受けにくい人なのです。本人も人見知りである自覚はあるようですが、自らの立ち居振る舞いが他の人からどう見られているかどうかは意識していないようで……Bさんは一番のベテランで技術も知識もある大切な人材なのですが、新人さんがすぐに辞めてしまう要因のひとつでもあるのです……」
このケース、どのような感想を持ちましたか? 私は 「新人さんなのだから、既存スタッフはできる限り丁寧に接するべきだ」 とは言いませんし、 「新人さんなのだから、新人さんとして謙虚に立ち居振る舞い、時に我慢が必要だ」 と説くわけではありません。この場合、新人さんもBさん含め既存のスタッフも 【他の誰でもない、自分にとってより良い状態を求めていること】 が問題であると考えます。
組織をより良く成長させていくことができる人は、周囲を巻き込む能力のある人です。自分のことだけを考えている人には、周囲は巻き込まれません。自分だけではなく、自分たちにとって良い環境を考えることで、周囲は自然と巻き込まれるものです。
周囲を巻き込むポイントは、 「理想の組織」 や 「正しい組織」 という問いにしないことです。組織の在り方は千差万別! 組織にいる自分たちが主体です。 「自分たちにとって良い組織」 という問いを組織として向き合うことで、自然とより良い組織作りに巻き込まれてくるものです。
実はこのケースの後、 「あなたにとって良い職場とは?」 と 「わたしたちにとって良い職場とは?」 という2つの問いを全体研修として取り上げました。明確な答えを出すことを目的にするのではなく、 「良い組織を作ろうとしている仲間」 である意識を付けることを目的として行いましたが、結果的にスタッフそれぞれが自由に発言できる空間ができました。
皆さまの組織でも組織全体を巻き込む質問を投げかけることで、自分たちにとってより良い組織を作るための下地づくりを行ってみてはいかがでしょうか。
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2026-03-03【雑誌掲載のご案内】医学通信社『月刊/保険診療 2026年2月号』に寄稿が掲載されました
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