組織・人材育成
求人情報は、求職者視点をコンセプトに
求人情報の工夫が重要
株株式会社ウィーク シニアコンサルタント 長谷川 周重
今月は、求人情報について触れていきたいと思う。ホームページでの情報発信や人材紹介会社への依頼を行ったからといって、そう簡単に応募が来ないのが現状だ。応募してもらうには、求人情報の工夫が重要である。その工夫とは、求人内容や一連の求職者対応が“求職者視点であるか”という点に尽きる。基本的な求人情報を並べただけでは厳しい。
薬局薬剤師の求人の場合、仕事の内容や条件面で他社と差別化するのは難しいところがある。そのため、結果的に立地や年収条件で決められてしまいがちだ。しかしながら、逆に差別化が難しく、同じような求人で溢れているからこそ、自社のこだわりや実際にやっていることを公開することで簡単に差別化ができる。小さな自慢でも構わない。極端な話、お店が綺麗、整理整頓がされている、最新機器を取り入れている、薬剤師ファースト経営であるなど、些細なことでもここで働く魅力をPRして欲しい。
よくある典型的な悪い求人依頼にこのようなケースがある。
「勤務薬剤師、40代までOK、年収は500万円~600万円前後、週40時間のシフト制、残業は月平均10時間程度、閉局まで働ける人、仕事内容は、調剤薬局業務全般。この条件でとりあえず探してもらえますか?」
嘘のようなよくある本当の話だ。求人票もなければ、企業や店舗の状況もわからない依頼がある。そのため、人材紹介会社は基本ヒアリングをしているはずだ。
人材紹介会社は、求職者を基本的に2つの方法で集客している。1つは、求人広告(ほぼインターネット)。2つめは、スカウト(ネット媒体)だ。大手であれば過去の登録者に求人発信をするケースもあるかもしれないが、どちらにしても最初の入り口は「このような求人がありますがいかがですか?」と広告し、その後、求職者の応募判断のために求人の魅力を伝える必要がある。
そもそも中途採用は薬剤師のみならず採用競争が激しくなってきている。そのため、最近民間企業では、求職者視点を意識した採用活動が活発になってきている。日本が抱えている大きな問題の1つに人口減少・少子高齢化における労働力確保の問題があるためだ。その結果、民間企業では、既にグローバル目線で優秀な若手人材を確保する動きが活発化しており、海外採用にも力を入れている。
採用とは、企業が求職者を採用するものである。そのため、従来から企業側が求職者に対してマウンティングしてしまう傾向があった。しかし、そのような時代はとっくに過ぎ去ったといっても過言ではない。今時、圧迫面接という言葉すら聞かなくなった。求職者が来なければ企業は選ぶこともできず、当然、採用もできない。したがって、企業は、求職者に一人でも多く会社を知ってもらい、興味を持ってもらい、さらに応募してもらえるように対策を取らなければならない。たまに何をやっているかわからない会社が、社名だけを印象付けるテレビCMがある。そのCMの意図は、認知度アップであり、実は人材採用が目的のCMなのだ。
さらに、自ら求職者を採りに行くという活動も一般化し、ここ数年でダイレクトリクルーティングという言葉も定着した。ただでさえ国内の人材確保が厳しく競争が激しい中、指を加えて待っているわけにはいかないのだ。
薬剤師の採用も同様であり、例外ではない。このような民間企業と事情が異なるにせよ、その競争の激しさは歴然で、国内32万人の薬剤師を採り合う状態になっている。そこから少しでも優秀な人材を採用したいと思っているはずだ。
一点誤解がないように述べておくが、求職者視点が大事というのは、求職者のわがままを叶える求人にしましょう、ということではない。求職者視点とはもっと普遍的なことで採用の本質的なところだ。
採用活動をマーケティング手法の「プロダクトアウト」「マーケットイン」に置き換えて説明するとわかりやすい。プロダクトアウトの一般的な定義は、会社の方針や作りたいもの、作れるものを基準に商品開発を行うことであり、言わば、企業側の提案、発信を主体とするもの。薬剤師採用でいえば会社側が求める人物像を基本としたもの。マーケットインの一般的な定義は、プロダクトアウトとは反対に顧客の意見・ニーズを汲みとって製品開発を行うことである。薬剤師採用でいえば、求職者側が求める求人内容にしたものとなる。時代の変化に伴い、「プロダクトアウトからマーケットインへの転換だ」とよく言われる。企業側都合では物を買ってもらえず、答えは顧客にあるというマーケットインの発想が広まっているのだが、実は今でもこれは議論がなされているところである。というのも、プロダクトアウトが顧客視点を抜きに行われているのではないと評する意見があるからだ。
一方で、マーケットインについても、顧客の意見やニーズを汲み取って開発しても必ずしもヒット商品が生まれているわけでもないということがある。つまり、どちらのやり方が正しいかというよりも、どちらのやり方も正しいと言える。
したがって、プロダクトアウト(企業側都合)の求人であっても、マーケットイン(顧客側都合)の求人であっても、事の始まりは顧客視点(=求職者視点)で、共通な原理原則だ。採用活動において、求職者視点を意識した募集内容にすれば自ずと採用が好転する。至極当たり前のような話だが、実際に日々求人を見ていると、基本情報しかない求人が驚くほど多い。少しでも自社の魅力を伝える工夫を取り入れて頂きたいと思う。
【2022.9月号 Vol.316 保険薬局情報ダイジェスト】
薬局薬剤師の求人の場合、仕事の内容や条件面で他社と差別化するのは難しいところがある。そのため、結果的に立地や年収条件で決められてしまいがちだ。しかしながら、逆に差別化が難しく、同じような求人で溢れているからこそ、自社のこだわりや実際にやっていることを公開することで簡単に差別化ができる。小さな自慢でも構わない。極端な話、お店が綺麗、整理整頓がされている、最新機器を取り入れている、薬剤師ファースト経営であるなど、些細なことでもここで働く魅力をPRして欲しい。
よくある典型的な悪い求人依頼にこのようなケースがある。
「勤務薬剤師、40代までOK、年収は500万円~600万円前後、週40時間のシフト制、残業は月平均10時間程度、閉局まで働ける人、仕事内容は、調剤薬局業務全般。この条件でとりあえず探してもらえますか?」
嘘のようなよくある本当の話だ。求人票もなければ、企業や店舗の状況もわからない依頼がある。そのため、人材紹介会社は基本ヒアリングをしているはずだ。
人材紹介会社は、求職者を基本的に2つの方法で集客している。1つは、求人広告(ほぼインターネット)。2つめは、スカウト(ネット媒体)だ。大手であれば過去の登録者に求人発信をするケースもあるかもしれないが、どちらにしても最初の入り口は「このような求人がありますがいかがですか?」と広告し、その後、求職者の応募判断のために求人の魅力を伝える必要がある。
そもそも中途採用は薬剤師のみならず採用競争が激しくなってきている。そのため、最近民間企業では、求職者視点を意識した採用活動が活発になってきている。日本が抱えている大きな問題の1つに人口減少・少子高齢化における労働力確保の問題があるためだ。その結果、民間企業では、既にグローバル目線で優秀な若手人材を確保する動きが活発化しており、海外採用にも力を入れている。
採用とは、企業が求職者を採用するものである。そのため、従来から企業側が求職者に対してマウンティングしてしまう傾向があった。しかし、そのような時代はとっくに過ぎ去ったといっても過言ではない。今時、圧迫面接という言葉すら聞かなくなった。求職者が来なければ企業は選ぶこともできず、当然、採用もできない。したがって、企業は、求職者に一人でも多く会社を知ってもらい、興味を持ってもらい、さらに応募してもらえるように対策を取らなければならない。たまに何をやっているかわからない会社が、社名だけを印象付けるテレビCMがある。そのCMの意図は、認知度アップであり、実は人材採用が目的のCMなのだ。
さらに、自ら求職者を採りに行くという活動も一般化し、ここ数年でダイレクトリクルーティングという言葉も定着した。ただでさえ国内の人材確保が厳しく競争が激しい中、指を加えて待っているわけにはいかないのだ。
薬剤師の採用も同様であり、例外ではない。このような民間企業と事情が異なるにせよ、その競争の激しさは歴然で、国内32万人の薬剤師を採り合う状態になっている。そこから少しでも優秀な人材を採用したいと思っているはずだ。
一点誤解がないように述べておくが、求職者視点が大事というのは、求職者のわがままを叶える求人にしましょう、ということではない。求職者視点とはもっと普遍的なことで採用の本質的なところだ。
採用活動をマーケティング手法の「プロダクトアウト」「マーケットイン」に置き換えて説明するとわかりやすい。プロダクトアウトの一般的な定義は、会社の方針や作りたいもの、作れるものを基準に商品開発を行うことであり、言わば、企業側の提案、発信を主体とするもの。薬剤師採用でいえば会社側が求める人物像を基本としたもの。マーケットインの一般的な定義は、プロダクトアウトとは反対に顧客の意見・ニーズを汲みとって製品開発を行うことである。薬剤師採用でいえば、求職者側が求める求人内容にしたものとなる。時代の変化に伴い、「プロダクトアウトからマーケットインへの転換だ」とよく言われる。企業側都合では物を買ってもらえず、答えは顧客にあるというマーケットインの発想が広まっているのだが、実は今でもこれは議論がなされているところである。というのも、プロダクトアウトが顧客視点を抜きに行われているのではないと評する意見があるからだ。
一方で、マーケットインについても、顧客の意見やニーズを汲み取って開発しても必ずしもヒット商品が生まれているわけでもないということがある。つまり、どちらのやり方が正しいかというよりも、どちらのやり方も正しいと言える。
したがって、プロダクトアウト(企業側都合)の求人であっても、マーケットイン(顧客側都合)の求人であっても、事の始まりは顧客視点(=求職者視点)で、共通な原理原則だ。採用活動において、求職者視点を意識した募集内容にすれば自ずと採用が好転する。至極当たり前のような話だが、実際に日々求人を見ていると、基本情報しかない求人が驚くほど多い。少しでも自社の魅力を伝える工夫を取り入れて頂きたいと思う。
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2026-01-14【セミナーのご案内】新社会システム総合研究所主催 これからの薬局経営の方向性と戦略
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