組織・人材育成
採用面接のポイント ~入社の決め手は、面接官の印象~
求職者への質問
株式会社ウィーク シニアコンサルタント 長谷川 周重採用面接のポイントということで、前号まで、“おもてなし”の対応で良い噂づくり、心理的安全性を高めてラポールを形成についてお話しをしてきました。今号は、面接の流れの最後「5~8」について触れていきます。特に5の求職者への質問の時間は面接の流れにおいてとても重要なポイントとなります。
面接の流れ(リアル面接の場合)
- 受付
- ご案内
- 自己紹介 アイスブレイク
- 企業説明
- 求職者への質問
- 求職者からの質問
- 事務連絡
- 終了のご案内
- お見送り
5.求職者への質問
ここで重要なポイントは、求職者から逆に見られている視点を持つことです。
株式会社リクルートキャリア発表の第30回転職世論調査によると、「入社の決め手は何ですか?」との質問に対し、「面接官の印象がよかった」と答える人が33.9%で全体の4位となっています(図1参照)。
出典元:株式会社リクルートキャリア 第30回転職世論調査より
つまり、面接時の判断比重が大きく、特に面接官とのコミュニケーションが求職者にとって重要な決め手になっているということです。
実際、今の時代でも面接官の態度が悪かったという理由で辞退する求職者がいます。その理由をお伺いすると、ほとんどが質問時におけることです。
内容はさまざまですが、特に多いのが不適切な質問です。求職者への質問は、良い質問をどれだけするかということよりも、絶対にしてはいけないNG質問をしないことが大切です。それを気を付けるだけで、最低限の良い印象を与えることができます。なお、内定辞退理由として面接時の対応が悪かったと報告がある場合はまだ良い方で、業界が狭いため本音が伝わっていないこともあるので注意が必要です。
<不適切質問の一例>
面接官:調剤薬局の人事責任者(役員)
求職者:44歳 女性 独身 女性薬剤師
質問①:彼氏・パートナーはいらっしゃいますか。
質問②:親は元気でいらっしゃいますか。
ハッキリ言って解説する余地もないとは思いますが、このような質問①②が実際にありました。もちろん、面接官は枕詞をつけて多少の言い回しには気をつけているつもりですが、理由はどうであれアウトな質問です。求職者はその場で、「おりません」、「元気です」と回答をし、面接を終えましたが、面接後、大変ご立腹でした。今後上司となるのであろう人が、しかも会社の役員となる方からこのような不適切な質問を投げかけられたことは、今時ありえないと激怒されていました。パワハラ、セクハラを容認している会社ではないかと疑念を抱かざるを得ない、明らかに信頼を失う発言の事例です。
近年は、口コミサイトやSNSが存在し、面接時の質問などが簡単に公開されてしまう時代です。このようなリスクがあるため質問には十分配慮をしなければなりません。
NG質問について、厚生労働省では、就職差別につながるおそれがある 14事項を挙げています。不適切な質問にならないよう、改めて理解し、面接官の教育・徹底を行うことをお勧めします。
<就職差別につながるおそれがある14の事項>
(a)本人に責任のない事項の把握
●本籍・出生地に関すること
●家族に関すること
●住宅状況に関すること
●生活環境・家庭環境などに関すること
(b) 本来自由であるべき事項の把握(思想・信条にかかわること)
●宗教に関すること
●支持政党に関することの把握
●人生観・生活信条などに関すること
●尊敬する人物に関すること
●思想に関すること
● 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
●購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
(c)採用選考の方法
●身元調査などの実施
● 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
● 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
いかがでしょうか。
昔は問題視もされず何気なく伺っていた項目もあるのではないでしょうか。しかし、時代はコンプライアンス(法令順守)、CSR(社会的責任ある活動)、ダイバーシティ社会へと既に変わっています。特に若い世代ほどその教育を受けて育ってきているため、昔のやり方、考え方は全くと言っていいほど理解されなくなりました。私も今年45歳となりますが、私が経験してきた昭和、平成初期の常識は日々通用しないことを痛感しています。
それから、もう一つだけ質問の質をよくするためにお伝えしたいことがあります。それは、未来のことよりも、過去をしっかりと聞くことです。未来に向けた質問は不確定要素が強いため、質問にあまり意味がありません。1つ2つは聞いても良いですが、それよりも動かぬ事実の過去をしっかりと聞くことがその人の考え方や、やり方を理解することにつながります。従って、未来よりも過去に重点をおいた質問に注力をすると良いでしょう。
株式会社リクルートキャリア発表の第30回転職世論調査によると、「入社の決め手は何ですか?」との質問に対し、「面接官の印象がよかった」と答える人が33.9%で全体の4位となっています(図1参照)。
出典元:株式会社リクルートキャリア 第30回転職世論調査より
つまり、面接時の判断比重が大きく、特に面接官とのコミュニケーションが求職者にとって重要な決め手になっているということです。
実際、今の時代でも面接官の態度が悪かったという理由で辞退する求職者がいます。その理由をお伺いすると、ほとんどが質問時におけることです。
内容はさまざまですが、特に多いのが不適切な質問です。求職者への質問は、良い質問をどれだけするかということよりも、絶対にしてはいけないNG質問をしないことが大切です。それを気を付けるだけで、最低限の良い印象を与えることができます。なお、内定辞退理由として面接時の対応が悪かったと報告がある場合はまだ良い方で、業界が狭いため本音が伝わっていないこともあるので注意が必要です。
<不適切質問の一例>
面接官:調剤薬局の人事責任者(役員)
求職者:44歳 女性 独身 女性薬剤師
質問①:彼氏・パートナーはいらっしゃいますか。
質問②:親は元気でいらっしゃいますか。
ハッキリ言って解説する余地もないとは思いますが、このような質問①②が実際にありました。もちろん、面接官は枕詞をつけて多少の言い回しには気をつけているつもりですが、理由はどうであれアウトな質問です。求職者はその場で、「おりません」、「元気です」と回答をし、面接を終えましたが、面接後、大変ご立腹でした。今後上司となるのであろう人が、しかも会社の役員となる方からこのような不適切な質問を投げかけられたことは、今時ありえないと激怒されていました。パワハラ、セクハラを容認している会社ではないかと疑念を抱かざるを得ない、明らかに信頼を失う発言の事例です。
近年は、口コミサイトやSNSが存在し、面接時の質問などが簡単に公開されてしまう時代です。このようなリスクがあるため質問には十分配慮をしなければなりません。
NG質問について、厚生労働省では、就職差別につながるおそれがある 14事項を挙げています。不適切な質問にならないよう、改めて理解し、面接官の教育・徹底を行うことをお勧めします。
<就職差別につながるおそれがある14の事項>
(a)本人に責任のない事項の把握
●本籍・出生地に関すること
●家族に関すること
●住宅状況に関すること
●生活環境・家庭環境などに関すること
(b) 本来自由であるべき事項の把握(思想・信条にかかわること)
●宗教に関すること
●支持政党に関することの把握
●人生観・生活信条などに関すること
●尊敬する人物に関すること
●思想に関すること
● 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
●購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
(c)採用選考の方法
●身元調査などの実施
● 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
● 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
いかがでしょうか。
昔は問題視もされず何気なく伺っていた項目もあるのではないでしょうか。しかし、時代はコンプライアンス(法令順守)、CSR(社会的責任ある活動)、ダイバーシティ社会へと既に変わっています。特に若い世代ほどその教育を受けて育ってきているため、昔のやり方、考え方は全くと言っていいほど理解されなくなりました。私も今年45歳となりますが、私が経験してきた昭和、平成初期の常識は日々通用しないことを痛感しています。
それから、もう一つだけ質問の質をよくするためにお伝えしたいことがあります。それは、未来のことよりも、過去をしっかりと聞くことです。未来に向けた質問は不確定要素が強いため、質問にあまり意味がありません。1つ2つは聞いても良いですが、それよりも動かぬ事実の過去をしっかりと聞くことがその人の考え方や、やり方を理解することにつながります。従って、未来よりも過去に重点をおいた質問に注力をすると良いでしょう。
6.求職者からの質問 7.事務連絡 8.終了のご案内
5をうまく乗り切れれば、あとは真摯に対応をすればほぼ問題はありません。求職者からの質問に一つ一つ回答し、もし直ぐに回答できないことがあれば後日回答とすれば良いのです。また、事務連絡、終了のご案内においては面接後の流れを説明します。もし、オファー面談が後に控えているならば平常な面接でも構いませんが、面接の流れで是非採用したいと思える人であるならば、「一緒に働きましょう!」という強めのメッセージを最後に投げかけることも重要です。なぜなら、図1をまた見てください。決め手の5番目に「最初に内定が出たから」とあります。これはスピード感の重要性です。早いうちに回答を提示してあげることが成功の近道なのです。
最後に
ここまで3回に分けて採用面接のポイントについてお話ししてきました。面接は、一言で言えば良い雰囲気づくりが大事です。一人でも多くの優秀な求職者を採用し、今よりももっと良い印象を与えられる面接になれば幸いです。
【2023.2月号 Vol.321 保険薬局情報ダイジェスト】
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