組織・人材育成

【続き】病院における人材マネジメントの重要性と人事・賃金制度の構築

令和6年度診療報酬改定でベースアップ評価料が新設
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
人事評価の結果で等級が決まり、等級に応じて賃金水準が決まり、昇給や賞与が決まります。職員は上司に公正に評価されることで、自らの処遇が決まるわけですから、上司を信頼し、上司の判断や指示にしたがい、業務に専念するわけです。
このような形で職員の意欲や行動を引き出すことを「外発的動機づけ」と言います。ただ最近は、職員の意欲を引き出すには、お金や地位に関係なく自分の心の中から湧き上がるように「やりたい」という気持ちになる「内発的動機づけ」が重要と言われます。しかし、そのような職場環境を作ることは、実際には非常に難しく、内発的動機づけを提唱する学者も、賃金や上司の評価を軽視してよいということではないとしています。適正な賃金や評価が行われていない職場環境では、内発的動機づけは起こり難いと言われており、まずは、外発的動機づけの仕組みを構築することが基本と言えましょう。

人事・賃金制度構築の手順とスケジュール

人事・賃金制度を構築する手順としては、等級制度を整備して人事・賃金制度の骨格を固め、その後、賃金制度、人事評価制度の整備へと進めます。そして、これらの制度構築には1年を見ればよいと考えます。令和6年度の診療報酬改定では、ベースアップ評価料が新設されて、賃上げの原資が確保できることを考えると、これを活用して新しい賃金表を作るとすれば、今年であれば、資格等級フレームを作成したら、直ちに賃金表の作成に取りかかるとよいでしょう。いずれにしても、人事・賃金制度は、人と組織のマネジメントを行う上で必須の仕組みであり、現段階で未整備の病院等においては、至急、構築に取り組むべきだと考えます。


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【2024. 5. 1 Vol.591 医業情報ダイジェスト】