組織・人材育成

【続き】役割を持って組織の中で発言をするということ

リーダーが与える影響力を考える
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
Aクリニック内の混乱を把握できていなかったBさんはショックを受けた一方、「自分の立場で発言をすると『経営改善の現場リーダー』としての発言だとスタッフが受け止めるという言葉にハッと気が付きました。今まで自分の立場が与える発言の影響について考えたことがありませんでした。とても良い機会をいただきました。自分の中に改善点を見つけられたことが嬉しいです!」とBさんらしく前向きな発言をされたのでした。

さてA院長先生にこの旨をご報告したのち、筆者から質問をしました。

筆者「この度は大変でしたね。Bさんにリーダー業をお願いするときに、どのようなことを伝えられたのですか?」

A院長先生「クリニックをより良く変えていこうね!とお願いしただけで、その後のBさんの言動など全く考えていませんでした。何となく上手くこなしてくれるかなと…。今回の経営改善を行うに当たりリーダーとしてどんなことに気を付けた方が良いか等全く考えていなかったし、そのことについてBさんと話をした方が良いという発想自体がありませんでした。院長としての自分の言動そのものを振り返る必要がありますね」

このケース、どのような感想を持ちましたか?
組織の中ではその人がどういう意図で発言をするかを問わず、発言には色が付くものです。このケースのように、リーダーが発信する言葉はご自身が考えるよりも遥かに影響力のあるもの。リーダーが与える影響について認識しないままに何かしらの業務の指揮を執る立場を任せてしまうと、個人が良いと考える言動を取ることになるため、組織に思わぬ大きな混乱を招くことがあります。

さて、皆さまは誰かにお仕事をお願いするとき(特にリーダーシップを取る必要がある役職など)に、その役割やふさわしい在り方について意識して任命していますか?「こんなことくらい分かるでしょう!」と思っていても、自分の想像を超えた言動を相手がしてしまうことはよくあること。効率よく結果を出していくためにも、「お願いするリーダーに必要なふるまいとは何だと思う?」「リーダーにとって大切なことって何だろう?」と、事前にリーダーのあり方について具体的な話し合いを行うと、このような極端なミスマッチの予防になるのではないかと思います。


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【2024. 6. 1 Vol.593 医業情報ダイジェスト】