組織・人材育成

【続き】 「どこで言ったら良いのか分からなかった」理事長先生の気付き

気軽に意見が言い合える組織の在り方を考える
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
理事長先生「この出来事は、これまで耳に入っていなかった話では無かったと思いますし、目に入っていなかった出来事でも無かったと思います。ただ、聞こうとも、見ようともしていなかったのだと気が付きました。実は研修後に検査部門のリーダーから 『(改善するために)どこで言ったら良いのか分からなかった』 と言われたのです。こうした発言が出来る場を作ると、色々な景色が見えるのですね。研修の大きな成果です」

その後、理事長先生の指示のもと改革チームが発足し、課題抽出から優先順位付け、ヒアリングや改善に向けた計画が立てられました。話し合いに難航することも度々ありますが、解決のために諦めない法人の皆さまの姿勢に、筆者は頭が下がる思いで一杯なのでした。

このケース、どのような感想を持ちましたか?
この法人だけではなく、医療機関それぞれ(または職種ごと、個人ごと)に独自のルールがあることは少なくないのではないでしょうか。色々な組織で働いたことのある方は特に実感されると思います。そのルールを決めた人(あるいはルールが良いと盲目的に思い込んでいる人)にとっては快適なものであったとしても、全体として組織の調和を乱すようなルールであれば、必ずしもその組織のルールとして適切とは言えないはずです。しかし、そのルールが快適な人たちが上位役職者など組織で力がある場合、疑問を抱いたとしても 「不満がある私たちが我慢すれば良い」 と改善の声を上げにくいものです。

この疑問は例え小さなものだったとしてもいずれ大きな不満の波となり、急な大量離職など、組織に大きな影響を与えかねないリスクの火種になり得ます。 「何も言わないから、この組織は健全に機能している」 ではなく、「何も言わない」という沈黙に潜むリスクを軽視しないことは重要だと考えます。

当たり前ですが、声は耳を傾けないと聞くことが出来ませんし、目を向けなければそちらを見ることは出来ません。皆さまの組織では、このような小さな火種が前向きな改善に繋がる意見として表出されるような環境づくりを行いますか?

「何か意見はありませんか~!」という発言から気軽に意見が言い合える組織の在り方をぜひ考えていただきたいと思い、今回の法人での出来事を紹介させていただきました。


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【2024. 7. 1 Vol.595 医業情報ダイジェスト】