組織・人材育成

【続き】兼務による人材活用と兼務者の人事評価の留意点

若手人材の育成と組織への定着促進
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
職員が、将来のキャリアを自ら考える時代になりました。組織の人員配置の関係で、職員が希望する部署に配属することは不可能と言えなくもありません。しかし、兼務という形ならば、本人がやってみたいことを少しでも経験してもらうことは可能なのではないでしょうか。
これからの働き方として、100%別の部署に異動して他の業務を経験してもらうよりも、兼務という形で、少しでも本人の希望に沿った配属ができれば、若い人材の意欲を高め、育成にもつながり、組織への定着も促進できるのではないかと考えます。

兼務者の人事評価の留意点

兼務者の評価についてですが、基本的には、主たる業務と評価者を明確にしたほうが、本人の居場所がはっきりするので、そのようにすべきだと考えます。すなわち、業務を兼務している職員の評価者は、主たる業務のライン上の上司とします。主たる業務が人事であれば、一次評価者を人事課長、二次評価者を人事部長とします。ただし、兼務職員の評価者は、従たる業務の上司に職務遂行状況等を確認の上、評価を行うことが必要です。
先述の専門職は、感染管理については、コロナ禍で緊急対応業務でしたので、院長直轄で動き、院長が評価を行っていましたから、非常に納得感が高く、意欲を高めて活躍していました。目標管理を中心に置いた人事評価制度なので、本人が力を入れている部分を評価することで、よい結果につながっていたと言えます。
しかし、ここで留意する点は、評価を受ける職員が納得することは当然として、さらに、周囲の職員も納得できているか否かということです。周りの人から見れば、好きなことをやって、好きな部分だけ評価をされていて羨ましいということにならないとも限りません。病棟業務もしっかりやった上で、感染管理業務もしているかという評価も重要です。したがって、兼務している2つの業務の上司に同じように評価をしてもらい、両者の評価をウエイトで計算して最終評価を出したほうが、周囲も納得がいくこともあると思われます。本人の納得感とともに、周囲の納得感にも留意して、評価者を決めることが肝要です。


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【2024. 10. 1 Vol.601 医業情報ダイジェスト】