診療報酬
かかりつけ医機能を評価する地域包括診療料・加算の届出状況
届出医療機関数の地域差は?
株式会社メデュアクト 代表取締役 流石 学あけましておめでとうございます。今年の干支は唯一空想上の動物である辰ですね。辰年は願いを叶え、物事を好転させてくれる縁起の良い年と言われています。皆様にとって良い1年になることを祈念申し上げます。
■ かかりつけ医機能を評価した地域包括診療料・加算
2024年改定では、過去の改定に引き続きかかりつけ医機能にかかる評価が論点の1つになっている。
かかりつけ医機能への評価と言われるとまず思い浮かぶのが、地域包括診療料、地域包括診療加算(以下、地域包括診療料等)だ。
地域包括診療料等は、複数の慢性疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性心不全、慢性腎臓病、認知症の6つのうち2つ以上)を有する患者に対し、継続的かつ全人的な医療を行うことを評価するものとなっている。2014年改定で新設され、その後は医師の配置基準の見直しや対象疾患の拡大など、改定ごとに要件緩和が図られている。前回の2022年改定では対象疾患に慢性心不全、慢性腎臓病が追加された。地域包括診療料は月1回の包括点数として、加算は再診料への加算として算定できる。
一方で、地域包括診療料等の課題といえるのが、届出医療機関の少なさだろう。
本稿の執筆時点で公開されている最新の届出状況を確認したところ、地域包括診療料は病院49施設、診療所228施設、地域包括診療加算は診療所5,965施設だった。中医協総会の資料でも指摘されているが、届出医療機関数はともに横ばいの状態が続いている。国内にある200床未満の病院が約5,700施設、一般診療所は10万施設を超えていることを踏まえると、かかりつけ医機能を評価する項目であるにもかかわらず、地域包括診療料等がいかに届出されていないかがわかるだろう。
かかりつけ医機能への評価と言われるとまず思い浮かぶのが、地域包括診療料、地域包括診療加算(以下、地域包括診療料等)だ。
地域包括診療料等は、複数の慢性疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性心不全、慢性腎臓病、認知症の6つのうち2つ以上)を有する患者に対し、継続的かつ全人的な医療を行うことを評価するものとなっている。2014年改定で新設され、その後は医師の配置基準の見直しや対象疾患の拡大など、改定ごとに要件緩和が図られている。前回の2022年改定では対象疾患に慢性心不全、慢性腎臓病が追加された。地域包括診療料は月1回の包括点数として、加算は再診料への加算として算定できる。
一方で、地域包括診療料等の課題といえるのが、届出医療機関の少なさだろう。
本稿の執筆時点で公開されている最新の届出状況を確認したところ、地域包括診療料は病院49施設、診療所228施設、地域包括診療加算は診療所5,965施設だった。中医協総会の資料でも指摘されているが、届出医療機関数はともに横ばいの状態が続いている。国内にある200床未満の病院が約5,700施設、一般診療所は10万施設を超えていることを踏まえると、かかりつけ医機能を評価する項目であるにもかかわらず、地域包括診療料等がいかに届出されていないかがわかるだろう。
■届出医療機関数の地域差は?
地域包括診療料等の人口10万人あたり届出医療機関数を都道府県別にまとめた。
前述のとおり絶対数は決して多くないものの、それでも九州・四国エリアは、他エリアと比較して人口あたり届出医療機関数が多い傾向がある。とはいえ同じ九州、四国内であっても、県によって数倍の差がある。大都市圏で多いというわけでもなく、高齢化率の高いエリアで必ずしも多いというわけでもなさそうだ。地域包括診療料にいたっては、福井県、山梨県、三重県、奈良県、島根県の5県で届出医療機関がまったくなかった。
令和4年度入院・外来医療等における実態調査によると、地域包括診療料を届出ていない理由として、診療所では、「24時間対応している薬局との連携」「常勤換算2名以上(うち1名以上が常勤)の医師を配置できない」「在宅療養支援診療所ではない」が挙げられている。地域包括診療加算では「24時間対応している薬局との連携」「時間外対応加算等の施設基準を満たせない」「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師を確保できない」が理由の上位となっている。
医師の確保や施設基準は、あくまで医療機関内の問題だが、保険薬局の要件は医療機関の自助努力だけではクリアできない面がある。
某県薬剤師会の公表する保険薬局リストを集計して、24時間対応および24時間開局の状況をまとめたところ、単独もしくは近隣薬局と連携して24時間調剤および在宅訪問業務を速やかに実施できる体制にある保険薬局は8割近くが該当していた。診療所の場合の要件となっている「24時間対応の薬局との連携」は決して難しくはないように見える。ただし、病院が院外処方を行う場合の要件である24時間開局の薬局は皆無だった。200床未満の病院で院内の薬剤師が当直するケースは少なく、施設基準のハードルは高い。実際に当該県で地域包括診療料を届出している病院はなかった。そもそもの施設基準に、まだまだ改善余地がありそうだ。
【2024. 1. 1 Vol.583 医業情報ダイジェスト】
前述のとおり絶対数は決して多くないものの、それでも九州・四国エリアは、他エリアと比較して人口あたり届出医療機関数が多い傾向がある。とはいえ同じ九州、四国内であっても、県によって数倍の差がある。大都市圏で多いというわけでもなく、高齢化率の高いエリアで必ずしも多いというわけでもなさそうだ。地域包括診療料にいたっては、福井県、山梨県、三重県、奈良県、島根県の5県で届出医療機関がまったくなかった。
令和4年度入院・外来医療等における実態調査によると、地域包括診療料を届出ていない理由として、診療所では、「24時間対応している薬局との連携」「常勤換算2名以上(うち1名以上が常勤)の医師を配置できない」「在宅療養支援診療所ではない」が挙げられている。地域包括診療加算では「24時間対応している薬局との連携」「時間外対応加算等の施設基準を満たせない」「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師を確保できない」が理由の上位となっている。
医師の確保や施設基準は、あくまで医療機関内の問題だが、保険薬局の要件は医療機関の自助努力だけではクリアできない面がある。
某県薬剤師会の公表する保険薬局リストを集計して、24時間対応および24時間開局の状況をまとめたところ、単独もしくは近隣薬局と連携して24時間調剤および在宅訪問業務を速やかに実施できる体制にある保険薬局は8割近くが該当していた。診療所の場合の要件となっている「24時間対応の薬局との連携」は決して難しくはないように見える。ただし、病院が院外処方を行う場合の要件である24時間開局の薬局は皆無だった。200床未満の病院で院内の薬剤師が当直するケースは少なく、施設基準のハードルは高い。実際に当該県で地域包括診療料を届出している病院はなかった。そもそもの施設基準に、まだまだ改善余地がありそうだ。
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2024-11-06「疑義解釈資料の送付について(その14)」を追加しました
2024-11-05
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2024-10-04
「「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その3)」の一部訂正について」を追加しました。
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