組織・人材育成
研修を受けたスタッフの動きに感動した院長先生の気づき
組織力が高まるケーススタディ
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
組織づくりに力を入れる医療機関が増え、外部講師を招いた組織開発の研修を行う組織も増えてきていることを感じています。研修をどのように組織で活用していくかは、それぞれの組織が工夫されていることと思いますが、実際のところ、研修を受けた直後は組織改善のモチベーションが上がっても、忙しい現場に戻ると組織改善の意識が薄まってしまう組織も少なくないと思います。
今回は、研修を受けたスタッフから自発的に起こった学びの連鎖が組織に良い影響を与えた事例をご紹介することで、研修を組織として活かす工夫について考えたいと思います。
今回は、研修を受けたスタッフから自発的に起こった学びの連鎖が組織に良い影響を与えた事例をご紹介することで、研修を組織として活かす工夫について考えたいと思います。
ケース
お米が特産品である地域にあるクリニックのお話です。このクリニックでは組織をより良くするための研修を3年前から実施しており、少しずつ院長先生が作り上げていきたい組織の姿に変わってきていることを、院長先生をはじめとしたスタッフの皆さま全員が実感しはじめています。
ある日、いつものように研修に伺うと、挨拶もそこそこに院長先生とスタッフAさんから 「報告したいことがあります!」 とニコニコ笑顔で話しかけられました。
筆者 「ど、どうされたのですか⁉(あまりのニコニコ笑顔に圧倒されている)」
Aさん 「私はこのクリニックで営業を担当しています。上村先生が行われている研修が本当に勉強になるので、 『私たちクリニックの人 たちが受けているだけでは勿体ない!』 と常日頃考えておりました。そこで、受講した学びを地域の医療機関にも伝えたいと思い立ち、半年ほど前から営業で地域の医療機関に訪問する傍ら、私が理解した研修の学びを伝達研修として伝えているのです」
筆者 「そうなのですか!素晴らしい取り組みですね。地域の医療機関の皆さまはどんな反応をされていますか?」
Aさん 「組織づくりのお話やリーダーシップのお話について学びたかった、という声が大きく、皆さま熱心に耳を傾けていただいています」
筆者 「そうなのですね!今日話をしてくださった理由は何ですか?」
Aさん 「実は先日、伝達研修を行っている訪問看護ステーションの所長から 『あなたのクリニックで働きたい看護師がいる』 と声を掛けていただいたのです。大変勉強熱心な看護師さんで、学ぶ環境がある当クリニックにぴったりの人だとご紹介いただきました!」
院長先生 「実はこの報告を受けてはじめて、Aさんが伝達研修を含めた営業をしていると知りました。Aさんはクリニックのことを本当によく考えて仕事をして下さっており、その方法について私が具体的に指示することはありませんでした。ただ、Aさんの純粋な 『良いものはみんなで共有したい!』 という想いから、まさか素敵な求人に繋がるなんて!夢のような話です」
Aさん 「訪問看護ステーションの所長からは、 『私の大切な看護師仲間が働く場としておすすめしたいクリニックです』 という言葉もいただきました。私はこの言葉を聞いて、すぐに院長先生と共有し、ほんの少し涙を浮かべてしまいました。この感動を上村先生と共有させていただけて、さらに幸せでいっぱいです!」
もちろん伝達研修のアドバイスなどしていない筆者は、このクリニックの皆さまの 「地域の医療を支える医療機関でありたい」 という理念が浸透し、行動に落とし込まれていることを感じたのでした。
このケース、どのような感想を持ちましたか?現役世代が激減する中、さらに採用が厳しくなっていることを痛感しているという声は増えています。組織に根付き、貢献してくれる人材を獲得したいと思いながらも、 「人がいないから……」 と求人応募があるたびに熟考せず採用しては定着せず辞めていってしまう……。このようなことを繰り返してしまう組織は珍しくはありません。このクリニックも昔は求人のミスマッチに悩んでいました。クリニックの院長、スタッフも 「一緒に学び、良い組織を築き上げられるスタッフを募集したい」 と考えていましたが、思うような成果が得られず悩んでいたところでした。Aさんはこの営業活動による採用への効果は考えていなかったとのことですが、組織の姿が地域に波及していくことを痛感したとのことです。まさに自分たちが目指した在り方を実直に行うことで、組織にとって想像以上に良い効果が得られた事例であると感じました。
さて、皆さまはご自身の組織で行われている学びをどのように活かしておられますか?このケースが皆さまの組織作りの参考になれば幸いです。
【2025年8月1日号 Vol.7 メディカル・マネジメント】
ある日、いつものように研修に伺うと、挨拶もそこそこに院長先生とスタッフAさんから 「報告したいことがあります!」 とニコニコ笑顔で話しかけられました。
筆者 「ど、どうされたのですか⁉(あまりのニコニコ笑顔に圧倒されている)」
Aさん 「私はこのクリニックで営業を担当しています。上村先生が行われている研修が本当に勉強になるので、 『私たちクリニックの人 たちが受けているだけでは勿体ない!』 と常日頃考えておりました。そこで、受講した学びを地域の医療機関にも伝えたいと思い立ち、半年ほど前から営業で地域の医療機関に訪問する傍ら、私が理解した研修の学びを伝達研修として伝えているのです」
筆者 「そうなのですか!素晴らしい取り組みですね。地域の医療機関の皆さまはどんな反応をされていますか?」
Aさん 「組織づくりのお話やリーダーシップのお話について学びたかった、という声が大きく、皆さま熱心に耳を傾けていただいています」
筆者 「そうなのですね!今日話をしてくださった理由は何ですか?」
Aさん 「実は先日、伝達研修を行っている訪問看護ステーションの所長から 『あなたのクリニックで働きたい看護師がいる』 と声を掛けていただいたのです。大変勉強熱心な看護師さんで、学ぶ環境がある当クリニックにぴったりの人だとご紹介いただきました!」
院長先生 「実はこの報告を受けてはじめて、Aさんが伝達研修を含めた営業をしていると知りました。Aさんはクリニックのことを本当によく考えて仕事をして下さっており、その方法について私が具体的に指示することはありませんでした。ただ、Aさんの純粋な 『良いものはみんなで共有したい!』 という想いから、まさか素敵な求人に繋がるなんて!夢のような話です」
Aさん 「訪問看護ステーションの所長からは、 『私の大切な看護師仲間が働く場としておすすめしたいクリニックです』 という言葉もいただきました。私はこの言葉を聞いて、すぐに院長先生と共有し、ほんの少し涙を浮かべてしまいました。この感動を上村先生と共有させていただけて、さらに幸せでいっぱいです!」
もちろん伝達研修のアドバイスなどしていない筆者は、このクリニックの皆さまの 「地域の医療を支える医療機関でありたい」 という理念が浸透し、行動に落とし込まれていることを感じたのでした。
このケース、どのような感想を持ちましたか?現役世代が激減する中、さらに採用が厳しくなっていることを痛感しているという声は増えています。組織に根付き、貢献してくれる人材を獲得したいと思いながらも、 「人がいないから……」 と求人応募があるたびに熟考せず採用しては定着せず辞めていってしまう……。このようなことを繰り返してしまう組織は珍しくはありません。このクリニックも昔は求人のミスマッチに悩んでいました。クリニックの院長、スタッフも 「一緒に学び、良い組織を築き上げられるスタッフを募集したい」 と考えていましたが、思うような成果が得られず悩んでいたところでした。Aさんはこの営業活動による採用への効果は考えていなかったとのことですが、組織の姿が地域に波及していくことを痛感したとのことです。まさに自分たちが目指した在り方を実直に行うことで、組織にとって想像以上に良い効果が得られた事例であると感じました。
さて、皆さまはご自身の組織で行われている学びをどのように活かしておられますか?このケースが皆さまの組織作りの参考になれば幸いです。
【2025年8月1日号 Vol.7 メディカル・マネジメント】
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