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老健は、医療機関との連携強化が義務化
認知症ケアチーム推進加算の新設
株式会社メディックプランニング 代表取締役 三好 貴之令和6年度介護報酬改定で、介護老人保健施設(以下、老健)には多くの改定項目が設定されました。老健に関しては、令和5年介護経営実態調査にて、収支差率が-1.1%の「赤字施設」になってしまったため、基本サービス費が大幅にプラスとなりました。特に強化型以上は4%以上のプラスになり、今まで、在宅復帰や在宅療養支援を頑張ってきた老健にとってはかなりの朗報となりました。
一方、手放しで喜べないのが、「医療機関との連携体制の構築の“義務化”」です。これまでの介護報酬改定では、ターミナルケア加算での看取りや所定疾患施設療養費での肺炎、尿路感染の受け入れなど、医療に関する改定項目が強化されてきました。しかし、これらの医療に関することを老健の施設医師だけで賄うのは厳しく、そこで、「医療機関との連携」が全面的に押し出されました。
一方、手放しで喜べないのが、「医療機関との連携体制の構築の“義務化”」です。これまでの介護報酬改定では、ターミナルケア加算での看取りや所定疾患施設療養費での肺炎、尿路感染の受け入れなど、医療に関する改定項目が強化されてきました。しかし、これらの医療に関することを老健の施設医師だけで賄うのは厳しく、そこで、「医療機関との連携」が全面的に押し出されました。
▼医療機関との連携が「義務化」
今回、老健に対して「協力医療機関との連携体制の構築」として下記3点が要件として示され、これらが義務化されました。
- 協力医療機関と入所者の急変時の受け入れ体制の整備
- 1年に1回、老健と協力医療機関との急変時対応の話し合いと協力医療機関の届け出
- 入院後、症状が軽快した場合の速やかな再入所
一方、診療報酬改定においても「在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、在宅療養支援診療所及び地域包括ケア病棟において、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましい」と施設基準に組み込まれました。また、地域包括ケア病棟では、在宅復帰先に老健が復活し、医療機関側にとっても老健と連携するメリットがたくさん出てきました。
実際には、連携体制の構築の義務化には3年の経過措置が設けられ「次の改定までに」ということですが、筆者は、これは「早い者勝ち」ではないかと思います。老健と直接やり取りをするような医療機関の多くは200床未満の中小規模病院で、そんなにたくさんの老健と連携強化できないのではないでしょうか。そうなると、連携先を決めるにあたっては「今まですでに利用者の入退院の経験があり」かつ「トラブルのない老健」が選択されると思います。また、「連携強化に積極的な姿勢が見える老健」も連携先になりやすく、そうなると、「早めに連携をお願いする」ことが非常に重要だと思います。経過措置が3年あるからとのんびりしていると、他の老健が先に連携先になってしまい、遅れてお願いしてもお断りされるケースもあるかも知れません。経過措置は3年ありますが、すでに連携できそうな医療機関があれば、いち早く「ラブコール」を送りましょう。
▼協力医療機関連携加算
定期的に入所者の現病歴などの情報共有の会議を行えば、「協力医療機関連携加算 100単位/月」を算定できます。しかし、この加算の注意点は、令和7年度は「50単位/月」の半分になってしまうことです。例えば、100床の老健だと、「10万円/月」の収入が「5万円/月」に減額されます。よって、この協力医療機関連携加算も早い者勝ちの加算なのです。
▼認知症ケアチーム推進加算の新設
そして、今回、新たに新設されたのが「認知症ケアチーム推進加算」です。入所者のうち、周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の占める割合が2分の1以上で、認知症の研修修了者を配置し、チームケアを実践すれば「認知症チームケア推進加算(Ⅰ)150単位/月」を算定できます。この加算は、体制加算の要素が強く、認知症の利用者だけではなく、認知症の予防や早期発見も含んでいることから入所者全員に算定が可能だと思います。そうなると、100床の老健だと「180万円/年」の増収が見込めます。また、算定要件が緩和された「認知症チームケア推進加算(Ⅱ)120単位/月」も増収効果は高く、「144万円/月」の増収が見込めます。
▼リハビリ関連は減算回避を
一方、「短期集中リハビリテーション加算」は、LIFEをやらない場合、「240単位/月」から「200単位/月」に減算されます。また「認知症短期集中リハビリテーション加算」は、リハビリ職の配置と居宅訪問の有無で「240単位/月」から「120単位/月」に減点されます(表)。リハビリに関しては、通所リハビリ、訪問リハビリも含めて「LIFEありき」となってきており、現在、LIFEを行っていない事業所は早急な対応が必要でしょう。
【2024. 3. 15 Vol.588 医業情報ダイジェスト】
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