組織・人材育成
人事評価制度と研修制度
集合研修を効果的にする方法
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
最近は、職員の研修計画を年度初めに立て、計画的に階層別の職員研修等を実施する病院を見かけるようになりました。筆者が在職していた病院でも20年以上前から、新入職員研修、中堅職員研修、リーダー研修、指導職研修、管理職研修、幹部研修といった階層別研修を計画的に実施していました。
これらの内部の集合研修(Off-JT)の効果は、なかなか見えにくいのですが、他部署の職員との交流を深める機会ともなり、また、同じような立場の他部署の職員から刺激を受け、意識の向上につながります。しかし、職員の労働時間を研修に費やしていることによる人件費を考えれば、もっと明確に効果が感じられる研修も取り入れてはどうかと考えます。そこで、今回は、集合研修を効果的にする方法について考えます。
これらの内部の集合研修(Off-JT)の効果は、なかなか見えにくいのですが、他部署の職員との交流を深める機会ともなり、また、同じような立場の他部署の職員から刺激を受け、意識の向上につながります。しかし、職員の労働時間を研修に費やしていることによる人件費を考えれば、もっと明確に効果が感じられる研修も取り入れてはどうかと考えます。そこで、今回は、集合研修を効果的にする方法について考えます。
昇格時研修とOJT
集合研修を効果的にするためには、その研修を、上手くOJT(On the Job Training)や実際の業務に連動させることがポイントではないかと考えます。特に、人材マネジメントのツールである人事評価制度とリンクさせることを推奨しています。例えば、職員が、資格等級が4等級から5等級に昇格したような時に、昇格時研修を行っている病院もあると思いますが、この昇格時研修をOJTなどにつなげていくことが大事でしょう。
最近は、職位ごとに期待する役割行動を示し、それを評価する「役割行動評価」を推奨しています。その主な理由は、人事評価と仕事をできるだけダイレクトに結びつけ、部下のマネジメントをしやすくするためです。そこで、役割行動評価と昇格時研修をリンクさせることを推奨しています。
例えば、5等級(主任)の昇格時研修において、まずは5等級のすべての役割行動を理解してもらった上で、5等級に昇格する職員全員に、その役割行動において、自分はどのようなことをしようと考えるかを書き出し、発表してもらいます。これは、すべての評価要素ではなく、取るべき役割行動が明確に書かれていない評価要素のみ抽出して行えばよいでしょう。例えば、「顧客(患者・利用者・家族・職員・外部機関等)サービス向上に向け、スタッフとともに取り組んでいる」という評価要素があれば、職種によってサービスの内容や顧客も異なるため、具体的に何をするかは、一人ひとりに考えてもらわなければなりません。自分は、この役割行動において、具体的に何をするかを書き出し、みんなの前で発表してもらうことで、翌日から、仕事の中で実行していかなければならなくなり、その行動が取れなければ、人事評価の結果は下がります。研修で学んだことを実行に移していかなければならなくすることで、研修の成果は期待できます。さらには、他部署の主任の考えを聞くことは、よい刺激を受けることになり、自らが行うサービス向上のヒントも得られるでしょう。
このように、人事評価の要素を理解し、ヒントを得る機会ややるべきことを自ら考えさせる機会を集合研修で与え、その後は、上司がOJTとして新任主任の役割行動を観察し、不備があれば助言や示唆を与え、その役割行動が果たせるようにしていく中で、自らの役割を果たせる主任が育成されていきます。なお、目標管理の評価においても、同様のことが期待できます。
最近は、職位ごとに期待する役割行動を示し、それを評価する「役割行動評価」を推奨しています。その主な理由は、人事評価と仕事をできるだけダイレクトに結びつけ、部下のマネジメントをしやすくするためです。そこで、役割行動評価と昇格時研修をリンクさせることを推奨しています。
例えば、5等級(主任)の昇格時研修において、まずは5等級のすべての役割行動を理解してもらった上で、5等級に昇格する職員全員に、その役割行動において、自分はどのようなことをしようと考えるかを書き出し、発表してもらいます。これは、すべての評価要素ではなく、取るべき役割行動が明確に書かれていない評価要素のみ抽出して行えばよいでしょう。例えば、「顧客(患者・利用者・家族・職員・外部機関等)サービス向上に向け、スタッフとともに取り組んでいる」という評価要素があれば、職種によってサービスの内容や顧客も異なるため、具体的に何をするかは、一人ひとりに考えてもらわなければなりません。自分は、この役割行動において、具体的に何をするかを書き出し、みんなの前で発表してもらうことで、翌日から、仕事の中で実行していかなければならなくなり、その行動が取れなければ、人事評価の結果は下がります。研修で学んだことを実行に移していかなければならなくすることで、研修の成果は期待できます。さらには、他部署の主任の考えを聞くことは、よい刺激を受けることになり、自らが行うサービス向上のヒントも得られるでしょう。
このように、人事評価の要素を理解し、ヒントを得る機会ややるべきことを自ら考えさせる機会を集合研修で与え、その後は、上司がOJTとして新任主任の役割行動を観察し、不備があれば助言や示唆を与え、その役割行動が果たせるようにしていく中で、自らの役割を果たせる主任が育成されていきます。なお、目標管理の評価においても、同様のことが期待できます。
外部研修とOJT
病院の目標管理シートを見ていると、自らの能力開発に関する目標が多く見られます。このような目標は本来の目標管理の目標としては適切とは言えませんが、筆者は構わないとしています。しかし、能力開発目標だとしても、単に「外部の研修会に参加する」という目標は認めていません。なぜなら、先述の通り、研修会に参加するだけで能力が開発されるとは考え難いからです。また、目標は、できるだけ病院の運営や経営に貢献するものにしてもらいたいため、ほんの少しでも周りの職員によい影響を与えるものにして欲しいとお願いしています。
例えば、「研修会に参加し、患者の意思決定を支える看護ができるようになる」という能力開発目標であっても、研修会に参加するだけでなく、「研修会で学んだことを、自分の病棟における場面を想定しながら整理し理解を深める、整理した内容を病棟で実践する」という行動目標にまで落とし込めば、実践につながります。また、研修で学んだことを勉強会で報告するといったことまで、アクションプランに挙げてもらえれば、自分の能力開発だけでなく組織によい影響を及ぼす目標になるでしょう。
外部研修においても、内部研修と同じく、研修を受けただけでは、大した効果は期待できません。集合研修に参加した後に、何をするかまでコミットしてもらい、仕事の実践やそれに向けての行動を通じて、力をつけさせる工夫が必要だと考えます。
【2022. 5. 1 Vol.543 医業情報ダイジェスト】
例えば、「研修会に参加し、患者の意思決定を支える看護ができるようになる」という能力開発目標であっても、研修会に参加するだけでなく、「研修会で学んだことを、自分の病棟における場面を想定しながら整理し理解を深める、整理した内容を病棟で実践する」という行動目標にまで落とし込めば、実践につながります。また、研修で学んだことを勉強会で報告するといったことまで、アクションプランに挙げてもらえれば、自分の能力開発だけでなく組織によい影響を及ぼす目標になるでしょう。
外部研修においても、内部研修と同じく、研修を受けただけでは、大した効果は期待できません。集合研修に参加した後に、何をするかまでコミットしてもらい、仕事の実践やそれに向けての行動を通じて、力をつけさせる工夫が必要だと考えます。
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