介護施設

通所リハビリの医療介護連携強化とこれからの生き残り策

ケアマネジャー経由ではないのが難点
株式会社メディックプランニング  代表取締役 三好 貴之
令和6年6月に通所リハビリの介護報酬改定が施行され3か月が経過しました。診療報酬との同時改定の影響もあり、入院中の患者が退院後、通所リハビリを利用する場合には、通所リハビリは、入院中のリハビリ実施計画書を取り寄せないといけないということが運営規定内で義務化されました。
このリハビリ計画書のやりとりは、診療報酬でも疾患別リハビリ料の算定要件に規定され、医療・介護ともに取り組む義務が発生しました。しかし、実際は、リハビリ計画書のやりとりのなかで混乱が生じている現場も一部あるようです。実際、筆者の支援先でもリハビリ計画書を医療機関へ取り寄せようとすると 「個人情報なので」 という理由で断られるケースが多発しています。
無床診療所の通所リハビリにて、日頃から他院のリハビリ目的の退院患者を受け入れているような場合は、比較的スムーズにいっているようですが、 「お世話型」 の通所リハビリで入浴と食事、レクリエーションを中心としたサービスを提供し、リハビリ専門職を少ししか配置していないところや、地域のケアマネジャーからの紹介でしか新規利用がない通所リハビリでは、このリハビリ計画書の取り寄せに苦労しているようです。

▼ケアマネジャー経由ではないのが難点

今までこのような医療機関との書類のやり取りは、ケアマネジャー経由でなされることがほとんどで、医療機関と通所リハビリが直接やり取りすることは稀でした。しかし、今回のリハビリ計画書のやり取りはケアマネジャーの要件ではなく、通所リハビリの要件なので、場合によって、通所リハビリの職員が直接、動く必要があります。
しかし、いきなり連絡すると言っても、どこに連絡すればよいのか分かりませんし、いきなり電話で 「〇〇通所リハビリですが、リハビリ計画書の担当の方をお願いします」 といっても繋いでもらえないでしょう。よって、事前の準備が必要です。

▼事前に手紙を出す作戦

筆者の支援先の通所リハビリでは、近隣の病院に対して、4月の時点で手紙を出してもらいました。内容としては、①あいさつ、② 介護報酬でリハビリ計画書の取り寄せが義務化されたこと、③退院患者が利用する場合、リハビリ計画書の取り寄せに連絡する場合があること――の3点を地域連携室やリハビリ部門に送付しました。そのおかげで、今まであまりやりとりの無かった医療機関との連携も比較的スムーズにいくことができました。

▼リハビリ専門職を配置しないと連携は難しい

今後、新規利用者を増加するためには、通所リハビリは、入浴、食事、レクリエーションのサービス提供では非常に難しくなってきています。サービス提供時間に限らず、リハビリのニーズは、軽度者から重度者まであるため、ケアマネジャーは、リハビリ機能の高い通所リハビリを紹介する傾向が強まっているからです。また、今回のように、退院患者が通所リハビリを利用する場合は、リハビリ計画書の連携、つまり 「リハビリの医療・介護連携」 が求められるため、リハビリ専門職が十分に配置されていない 「お世話型」 の通所リハビリの運営はますます厳しくなるでしょう。
実際に、筆者の関係先でも 「新規利用者が増加せず、閉鎖も考えている」 という通所リハビリが増加しています。令和5年10月26日の介護給付費分科会の資料によれば、図のように、近年、通所リハビリの事業所数に関して、厚労省は 「横ばい」 と表現していますが、令和2年の 「8,188件」 から令和4年は 「8,050件」 と 「138件」も減少しています。また、受給者数も令和2年の 「597.9万人」 から令和4年では 「576.4万人」 と 「21.5万人」 も減少しています。さらに、介護経営実態調査では、通所リハビリの令和3年の収支差率は 「0.5%」 しかなく経営的にも苦労しています。



▼通所リハビリの生き残り策

利用者数や収益が減少し、経営が厳しい通所リハビリが採用すべき生き残り策は、 「リハビリ機能の強化」 です。リハビリ専門職を配置して、医療機関との連携を強化し、新規利用者を増加していきましょう。残念ながら、どんなに新しいレクリエーションを考えても、食事のメニューを変えても、根本的な解決にはなりません。医療機関から退院してくる利用者のニーズは、楽しいレクリエーションや美味しい食事ではなく、リハビリをして 「自分らしく生きたい」 からです。


【22024. 9. 15 Vol.600 医業情報ダイジェスト】